9月1日、ウクライナでも学校が再開され新学期を迎えました。
しかしロシアがみずから支配する地域で、ウクライナの子どもたちの「ロシア化」を進めるという懸念が高まっています。
ロシア政府は支配する地域で、ロシアのカリキュラムに沿ったロシア式の教育をウクライナの子どもたちに施す方針で、学校に行くよう呼びかけているのです。
ロシア政府は、この地域に高額の報酬と引き換えにロシア人教師を送り込んでいる模様で、ウクライナ政府によりますとルハンシク州では100人あまりのロシア人教師が新たに到着したとしています。
さらにプーチン大統領は先週、ウクライナの子どもを対象にロシア式の学校に通えば1万ルーブル(日本円で約2万30000円)をその子の親に支払う指示を出したと発表しました。
ユネスコに緊急対応求めるウクライナ
これに対してウクライナ側は、ロシア政府が金と脅しでウクライナの子どもたちを無理やりロシア式の学校に通わせてロシア語とプーチンの歴史観を学ばせようとしていると批判しているのです。
子どもを学校に登録しない場合は14万8000ルーブルを罰金として科すという情報や家からの立ち退きを命じられるといったケースもあるということで、 ウクライナ政府はロシアの支配に嫌気がさしたウクライナ人家族の避難が増えていると主張しています。
ウクライナ外務省の報道官は、ツイッターに「ロシアは子どもを学校に登録しない場合、孤児院に送ると脅迫している。ユネスコに緊急に対応するよう求める」と書き込んだのです。
そのユネスコは、「ユネスコに寄せられたさまざまな報告を考慮し事実確認を進めている」と述べていて、実態調査に乗り出したと明らかにしたのです。
「子どもたち」のロシア化を通してロシア支配を根付かせたい思惑のプーチン政権ですが、ウクライナ南部では抵抗運動にあっているとも伝えられていて、その行方は今後のウクライナ情勢に大きな影響を与えることになりそうです。
【「ロシア化」懸念についてはこちらにも】
石川一洋解説委員:ウクライナ侵攻 最新の指揮系統とロシア化の”キーマン”とは
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分38秒あります)