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毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。 マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです
【アメリカ】FRBの異例の利上げが企業の業績にブレーキ
アメリカで25日「今後の金融政策を方向付ける」とも言われる注目のシンポジウムが始まります。
注目されるのは会合で講演するFRBのパウエル議長の発言です。
というのもアメリカでは食料品の値上がりや企業の業績悪化が広がっているからです。
カリフォルニア州のサクラメントで早朝から人々が次々に車で訪れているのは、食料を無償で提供するフードバンクです。
食料品の価格が43年ぶりの水準にまで上昇し、生活が厳しくなり貧困層以外にも利用が増えていると言います。
フードバンクの主催者は「これまで支援など必要ないと思っていた人たちが支援を求めている。それが今アメリカで起きていることだ」と実感していると言います。
またインフレを抑えるためのFRBによる異例の利上げは、企業の業績に急ブレーキをかけており、ワシントンDCの不動産会社は、先月の売り上げは、去年より27%も減少しました。
経営者は「不動産を購入したい人が減っている。金利上昇で住宅ローンの審査が通りにくくなっていて、人々は景気の先行きに不安を抱え始めている」と話しており、この会社は去年の業績が過去最高となったにも関わらず、一転、急激な減速となりました。
利上げで景気がさらに冷え込めば、結局、国民に打撃を与えることになり、非常に難しい舵取りを迫られるパウエル議長の発言が注目されます。
鉄道郵便など各分野で賃上げ求めストライキ頻発するイギリス
郵便大手の「ロイヤル・メール」の労働組合員11万5000人あまりによる計4日間のストライキ実施が発表されました。
5%あまりの賃上げを提示した経営側に対し、組合側は10%を越えるインフレ率に
見合わず「実質の賃下げだ」と提案を拒否し、交渉は決裂していました。
王立の郵便事業として始まった「ロイヤル・メール」の歴史は古く、設立は1516年で、日本で言うと室町時代です。
現在は完全民営化し、2020年は数千万件にのぼる新型コロナウイルスの検査キットの回収や配送を担い、コロナ禍のイギリスを支えた需要の高い企業です。
猛暑で電力需給ひっ迫 中国で工場一時停止の通知も
内陸部の一部では最高気温が連日40度超えの猛暑の中国では、電力需給がひっ迫、トヨタ自動車の現地工場が一時停止するなど、影響が懸念されています。
超高級物件のはずが廃墟に…タイ
1997年、タイの通貨バーツの暴落に端を発したアジア通貨危機の象徴とされるのが、バンコク中心部にそびえる49階建ての高層ビルです。
25年前、金融機関からの融資が止まって建設が中断し、いまも廃虚同然の状態で残されており、超高級物件となるはずだったビルの荒れ果てた姿は、通貨危機の恐ろしさを今に伝えています。
当時は、アメリカのドルと事実上連動していたタイの通貨バーツが、“実力をこえた価値”になっていると投資家から疑われ暴落しました。
その後、危機を教訓にタイをはじめアジア各国は経済基盤の強化を進めてきましたが、あれから25年経った今、ドル高が進む一方で、タイでは通貨安に。
また、スリランカは深刻な経済危機に陥っているほか、アジアでは急激なインフレになる国も出ています。
(この動画は5分31秒あります)