Monday Biz
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。 マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです
(「国際報道2023」で1月23日に放送した内容です)
中国:春節で懸念される人手不足
春節、真っただ中の中国。
のべ21億人近くの移動が見込まれます。そうした中、懸念されるのが、「人手不足」です。
北京では、連休前から従業員が帰省し、休業や営業時間を短縮している飲食店などが多くあります。
そこで、帰省しない人を『優遇』する措置を各地の地方政府が相次いで打ち出しています。
中国メディアによれば、都市によって配達員などに1人あたり1日2800円余りを補助したり、帰省をしない人に1人あたり1万1000円余りのクーポン券を支給したりするといったものです。
連休中の都市部でサービス業に支障が出ないようにする他、帰省した労働者が戻ってこないといった事態を防ぐ狙いもあるとみられます。
スウェーデン:レアアースの中国依存“脱却”始まる?
スウェーデン北部で、今月(1月)埋蔵量が100万トン以上あるレアアース鉱床が発見されたと国営の鉱業会社が発表しました。
「レアアース」は、スマートフォンなど身近な製品のほか、EV=電気自動車のバッテリーや風力発電のタービンなどクリーンエネルギー技術の製造に欠かせない希少資源です。
しかし、脱炭素を加速させるヨーロッパでは採掘されておらず、実に98%が中国から輸入されています。
今回見つかったレアアース鉱床はヨーロッパ最大規模とみられ、スウェーデンのエネルギー相が「中国依存からの脱却が始まる」と発言するなど、ヨーロッパ諸国の間で期待が高まっています。
ただ、課題もあります。
採掘には生態系などに及ぼすリスクを考慮する必要があるため、認可がおりるまでにかなりの年月がかかると予想されています。この会社では、採掘と出荷を始めるまでに、10年から15年かかる可能性があるとしています。
先週のダボス会議で、EUのフォンデアライエン委員長は、EUをクリーンテックや産業の技術革新における中心地にすることを目指すとする「グリーン・ディール産業計画」を発表しました。
スウェーデンの鉱床が今後、こうした産業のサプライチェーン=供給網の多様化の実現を果たすことになるか、注目です。
タイ:12月の貿易統計 輸出減が続くか
24日に、タイの去年(2022年)12月の貿易統計が発表されます。焦点は、輸出の動向です。
タイでは去年10月の輸出額が、前の年の同じ月と比べて20か月ぶりのマイナスになって以降、
「輸出減」が続き、12月もマイナスではと予測されています。
東南アジアでは、シンガポールでも「輸出減」が続き、去年12月には、マイナス20.6%と大幅な減少になりました。世界経済の減速が懸念されるなか、アジアの輸出への影響は長引くことも予想されます。
アメリカ:景気後退懸念の中、GDPは?
26日に、去年10月から12月のGDPが発表されます。
去年は、前半が2期続けて前の年の同じ時期と比べてマイナスになるという、1990年以降で3度しかない異例の事態となりましたが、7月から9月はプラス3.2%と大きく改善。
10月から12月も、プラス3.5%の予想です。
FRB=連邦準備制度理事会アトランタ地区連銀の予想 (1月20日時点)
ただ先週、ダボス会議に参加したサマーズ元財務長官は、インフレ抑制に向けてFRBが高い金利を続けているため、ことし後半にも、景気後退に陥る可能性があると指摘しています。
GDPのデータは予想通りの強い数字となるのか注目です。