国際社会、特に欧米の人権団体から、ロシアとベラルーシ国内の言論弾圧を批判する声が高まっています。
ロシアとベラルーシの裁判所で今月、2人が有罪判決を受けました。
まずはモスクワのゴリノフ区議会議員。
ゴリノフ議員は ことし3月、区議会で「隣の主権国家で敵対的な行動が行われている」と述べ、ロシアによる軍事侵攻を批判する発言をしました。
この発言が問題視され、「ロシア軍に関する嘘の情報を広めた」として拘束され、禁錮7年の実刑判決が言い渡されたのです。
裁判の時に撮影された写真を見ると「私は戦争に反対だ」と書かれたプラカードを持っており、反戦の姿勢がプーチン政権による弾圧を招いたようです。
続いてロシアの同盟国ベラルーシでは、20歳の大学生ペレドニャさん。
インターネット上に、ロシアによる軍事侵攻に反対する意見とともに、プーチン大統領とルカシェンコ大統領を批判するメッセージを掲載。
拘束され、今月、ベラルーシの国益を害し大統領を侮辱した罪で禁錮6年半の実刑判決を言い渡されました。
欧米の人権団体はいずれも不当な判決だと強調して釈放を訴えています。
さらに「この2人は氷山の一角に過ぎない」としています。
現にロシアでは、野党の政治家が「ロシア軍に関する嘘の情報を広めた」として拘束されました。
軍事侵攻に反対する人たちが拘束されるケースが続いていると言われているのです。
ウクライナへの侵攻で多くの人たちの命を奪ったプーチン大統領とそれを支持するルカシェンコ大統領。
2人の指導者は自国でも罪のない人たちの生活と人権を破壊しているようです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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