70歳となるプーチン大統領の誕生日にあわせて行われたのがCIS=独立国家共同体の非公式首脳会議です。
CISは旧ソビエトの9か国でつくる枠組みで、誕生日の翌週に公式の首脳会議がもともとカザフスタンで行われる予定になっているだけに、なぜその前に開催する必要があるのかという疑問がわきますが、プーチン大統領が国際社会の中で孤立していないことを示すためにロシア政府が急きょ誕生日会もあわせて企画したのではないかという臆測も出ているのです。
タス通信によりますと、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「CIS各国の首脳がプーチン大統領に誕生日のお祝いを伝える機会になるだろう」という見通しを示したということです。
関係近い国でも足並みの乱れ?
しかしCISの間でもプーチン大統領による軍事侵攻を受けて足並みの乱れが表面化していることもあり、気まずい雰囲気の可能性もあります。
特に最近、立場の違いが際立っているのがカザフスタンです。
カザフスタン政府は、9月にロシア側による"住民投票"と称する活動について承認しない立場を明らかにしました。
さらにカザフスタンに駐在するウクライナの大使の発言を巡って激怒したロシア政府がカザフスタン政府に対して大使の国外追放を要求したにも関わらず、カザフスタン政府がロシアの要求を拒み、関係のギクシャクぶりが目立っているのです。
プーチン大統領は住民投票やウクライナの4州の併合をCISなど他国に認めてもらいたい意向ですが、現時点で承認しているのは北朝鮮だけとなっています。
一方欧米は、ウクライナへの軍事支援を強める姿勢を示しています。
チェコのクラウドファンディングではウクライナ軍に供与する戦車を購入する資金を集めたとしていて、チェコの国防相は「適切な誕生日プレゼントだ」と発言したと伝えられています。
ウクライナで罪のない人々が大勢命を失っている中で迎えた誕生日。
この日が歴史にどのように刻まれるのか、プーチン大統領は問われています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分27秒あります)