ウクライナ軍による要衝リマンの奪還を欧米は歓迎し、ウクライナへの軍事支援を続けていく姿勢です。
NATOのストルテンベルグ事務総長は「リマン奪還はウクライナ軍が前進しロシア軍を追い返せることを示している。ウクライナ軍の勇気と技量、そして欧米が提供する高度な兵器のおかげで、毎日の戦場で違いを生み出している」と発言しました。
またドイツはランブレヒト国防相がウクライナの南部オデーサを電撃訪問しました。
ドイツの最新の防空システムが近くウクライナに到着する見通しであることを明らかにしたほか、ドイツはデンマーク・ノルウェーと連携し新たに榴弾砲16門を来年追加供与する方針を発表したのです。
しかしそのドイツとウクライナは9月、軍事支援をめぐりウクライナのクレバ外相が「ドイツから失望させられるメッセージだ」と書き込むなど足並みの乱れが目立っていましたがそれは完全には解消されておらず、というのも現在もウクライナ側が強く求めている戦車レオパルト2や歩兵戦闘車マルダーについては、ドイツは依然慎重な姿勢だからです。
ドイツのショルツ首相は、先日、アメリカの新聞ニューヨーク・タイムズのインタビューで、戦車を送らない理由を聞かれ「非常に危険な戦争だ。エスカレートしてロシアとNATOの戦争にならないようにしながらウクライナを支援している」と発言したのです。
この慎重な姿勢はショルツ首相だけでなくアメリカのバイデン大統領なども同様と言えます。
核をちらつかせて威嚇を続けるロシアをどう止めるのか、欧米はその回答を見いだせず、どこまで強力な兵器をウクライナに提供するか模索が続いているようです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分7秒あります)