ヨーロッパに駐留するアメリカ軍は冷戦後期には30万人以上がいましたが、冷戦終了の1989年以降に一気に縮小し、10万人態勢が続いていました。
その後アメリカがアジア重視政策をとったためさらに減少していた兵力が、ロシアの脅威が高まったことで、再びヨーロッパに戻っています。
アメリカはポーランドやバルト3国など東ヨーロッパに部隊を派遣し、今や十数年ぶりに10万人近くの態勢になりつつあると言われているのです。
バイデン大統領はNATOの首脳会談に合わせて「NATOは全ての脅威に備えなければならない。アメリカはヨーロッパでの軍事態勢を強化する計画を発表する」と述べました。
バイデン大統領によると、スペインの基地に配備されているアメリカ海軍の駆逐艦4隻を6隻に増やすほか、ポーランドにはアメリカ軍の常設の司令部を設置するということです。
バイデン政権は去年夏、中国への対応に戦力を振り向けたいとして、アフガニスタンからアメリカ軍の撤退を強行しました。
ロシアによる軍事侵攻でヨーロッパ防衛の優先度が上がる中、バイデン政権はヨーロッパとアジアの両方でアメリカ軍の態勢を強化できるのかが問われており、同盟国日本に対する期待や要求も高まることにもなりそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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