「軍事侵攻を続けるロシアに対してイランが無人航空機の供与に乗り出した」
アメリカ政府の発表で、イランの軍事支援が注目されています。
アメリカ国務省の副報道官が30日の電話会見で「ロシアは8月、輸送機でイランからロシアへ無人機を空輸した。ロシアがイラン製の様々な種類の無人機を数百機購入する計画の一環だ。イラン製の無人機は地上への攻撃や電子戦などが可能で、ロシアはウクライナの戦場に投入するつもりだと我々は見ている」と発言しました。
イラン政府は先週、国営メディアを通して無人機の演習を行ったと発表し、数々のドローンの映像や次から次へと地上を攻撃する様子などを公開。
イランは"ドローン大国"であるとアピールしました。
その上でイランの陸軍司令官は「ドローンは将来の戦争で決定的な兵器の1つだ」とも述べています。
ロシアは欧米の経済制裁によって自国で無人機を製造するのが困難になっていると指摘されていて、イランによる無人機供与は、ロシアにとってはありがたい支援になると見られます。
イランの無人機はどこまで戦況に影響を与えるのか
アメリカ国務省の副報道官は「ロシアはイランのようなあてにならない国に頼らざるを得ない状況だ。現に我々の情報では今回輸送された無人機にすでに多数の不具合があった」と気になる発言をしているのです。
この不具合が具体的に何を意味するのかわかっていませんが、アメリカなどはイランが今後どこまでロシアと協力を深めるのか注視していく構えです。
今回の無人機供与をきっかけに、ロシアに対する他国からの軍事支援が繰り返される事態は避けたいと考えるアメリカなどはイランに対して制裁の発動も視野に対応を検討していると見られています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分50秒あります)