バイデン大統領と習近平国家主席は今週中にも電話かオンラインでの会談を行う見通しです。
中国側は2週間前に行われた米中外相会談の場で、アメリカ側に対して「宿題」とも言えるものを突きつけています。
王毅外相はブリンケン国務長官に「4つのリスト」を渡したのです。
その「4つのリスト」とは、
(1)アメリカが是正すべき誤りのリスト
(2)中国が懸念する重要案件のリスト
(3)中国が懸念する中国に関する法案のリスト
(4)8分野で両国が協力できるリスト
中国政府は内容の詳細は明らかにしていませんが、中国の立場や要求をまとめたリストだと説明し「アメリカは中国のリストを真剣に受け止め、バイデン大統領が実際に行動に移すことを希望する」とアメリカに迫ったのです。
アメリカの一部メディアはこうした中国のやり方を「リスト外交」と呼んでいます。
というのも中国政府がこうしたリストをバイデン政権に渡すのは、今回が初めてではないのです。
去年もアメリカのシャーマン国務副長官が中国を訪れた時、中国側はアメリカに求める行動をまとめた要求リストを手渡しました。
この時要求したリストにアメリカはほとんど応じていませんが、中国のIT大手ファーウェイの副会長の身柄引き渡し措置の撤回については結果的にアメリカも応じ、中国側の要求が実現しました。
もしかしたら二匹目のどじょうを狙って今回、米中首脳会談を前に改めて要求リストを突きつけた可能性もありそうです。
特に今回は、ウクライナ情勢がアメリカの最重要課題となる中で行われる米中首脳会談です。
「バイデン大統領がロシアに対抗するために中国に歩み寄る可能性がある」と中国共産党の指導部が考え、台湾の問題などで高い要求を突きつけても不思議ではなく、両国の駆け引きが続きそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分41秒あります)