【解説】ロシアがイランから短距離弾道ミサイルなど兵器を調達?(油井'sVIEW)

NHK
2022年12月14日 午前11:09 公開

欧米が、今さらに懸念を強めているのがロシアとイランの連携です。

ロシアが無人機以外にもイランから兵器を調達するおそれが高まっているとしています。

イギリスのウッドワード国連大使は「ロシアは数百発の弾道ミサイルを含むさらなる兵器の調達を今試みている。その見返りとしてロシアはイランに前例のない軍事・技術支援を提示している」と述べたのです。

イギリス政府によりますと、ロシアはウクライナの攻撃に使用していた短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の在庫が少なくなっており、その代わりとしてイランから短距離弾道ミサイルの調達を模索しているといいます。

これは欧米による制裁で、ロシアが自国でのミサイル増産が難しくなっているという見方です。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「ロシアの軍事産業は完全に機能していて、他国の支援は必要ない」とこうした欧米の見方を否定しています。

しかし欧米は、ロシアとイランの連携に対抗するため、さらなる制裁を検討しています。

EUは、ロシアが使用しているイラン製のドローン・無人機から欧米や日本の製品や部品が多く見つかったことを重く受け止めています。

特にエンジンはオーストリア企業のものが確認されたと報告されていて、輸出規制を強化する方針です。

EUのフォンデアライエン委員長は「我々はすべての無人機やドローンに対するロシアのアクセスを断つ。ドローンのエンジンのロシアへの輸出禁止やイランなど第3国への輸出禁止を提案している」と発言しています。

日本では、ドローンのエンジンがロシアに輸出される可能性がある場合、通常、許可制になっていますが、EUがより厳しい措置を導入すれば、日本にも影響を与えるかもしれません。

ロシアはイランだけでなく北朝鮮にも接近しているという見方も出ています。

欧米やG7の制裁から逃れてどう生き残るのか。

その道を探る連携が強まることになりそうです。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分32秒あります)

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