フィンランドとスウェーデンのNATOへの加盟申請を受けて、ロシアの対抗措置の可能性として指摘されているのが「サイバー攻撃」と「偽情報の発信」です。
ロシアによるサイバー攻撃については、一部で、ロシアの能力を疑問視する見方も出ています。
しかしアメリカ政府とEUはそれぞれ発表した声明で、ロシアが軍事侵攻の直前にアメリカの通信会社にサイバー攻撃を仕掛けてウクライナ国内の通信を断絶させたなどと明らかにした上で、ロシアの能力を侮るべきではないと警鐘を鳴らしています。
また情報戦としてロシアの国営メディアがSNS上でプロパガンダを展開しているとの指摘があります。
これは多言語に渡っていて、例えばアラビア語では「NATOに加盟するフィンランドとスウェーデンは核弾頭に直面する」などが書かれています。
プロパガンダだけではなく、フィンランドとスウェーデンが警戒しているのが偽情報です。
これまでスウェーデンではNATOに加盟すれば「NATOがスウェーデン国内に核兵器を秘密裏に配備する」「スウェーデン政府の許可なくNATOがスウェーデン国内からロシアを攻撃する」という偽情報が発信されたことがあったということです。
またフィンランドは、第二次世界大戦中にナチスドイツと協力してソビエトと戦った歴史から、ナチス支持などという偽情報が発信される可能性があるとしていて、各国も警戒を強めています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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