ロシアとイランの関係に欧米が一段と警戒を強めています。
プーチン大統領の側近パトルシェフ安全保障会議書記がイランを訪問。
ロシアがイランから無人機だけでなく弾道ミサイルを調達するための協議ではないかという見方が出ています。
アメリカ国防総省の高官は「ロシアは兵器不足のため弾道ミサイルの能力をイランに求めている可能性があるので注視している。イランとロシアはウクライナで罪のない市民を標的にし戦闘を不必要に長引かせている」と述べて警戒感を示しました。
弾道ミサイルをめぐってはウクライナも「ロシアは弾道ミサイルをウクライナの北側に配備し、そこから撃ち込む可能性が高い。ウクライナ全土の脅威になる。現在の防空システムでは対航空機なので迎撃が難しい」と被害が拡大すると懸念を表明しています。
無人機見返りにロシアが手に入れた欧米の兵器をイランに?
このイランとロシアの軍事的な関係をめぐっては、新たな疑惑も報じられました。
イギリスのスカイニュースなどが報じたもので、イランがロシアに対してイラン製の無人機を供与した見返りにロシアはイランに対して1億4000万ユーロの現金とロシアがウクライナの戦場で手に入れた欧米の数々の兵器を8月にテヘランまで輸送機で運んだとしています。
兵器はウクライナ軍が使用していたアメリカ製の対戦車ミサイル「ジャベリン」などとされ、イランは欧米の兵器を手に入れることでみずからの兵器開発のために詳しく研究する狙いと見られています。
イランは今も、表向きは中立的な立場を示しています。
しかし欧米やウクライナはロシアが戦争を続けるために、イランが重要なパートナーになりつつあると見ていて、両国が核開発などでも連携しないか目を光らせているようです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分31秒あります)
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