【解説】相次ぐ"決裂" 進むロシア-欧米の分断 (油井'sVIEW)

NHK
2022年9月5日 午後8:13 公開

国際的な会議の場で欧米とロシアが対立して合意できない事態が相次いでいます。

G20エネルギー相会合終了 共同声明まとまらず

G20では軍事侵攻後、閣僚会議が何回か開かれたものの共同声明が採択できませんでした。

NPT=核拡散防止条約 再検討会議 ロシアの反対で「最終文書」採択できず

また大きかったのが、8月に開かれたNPT=核拡散防止条約の再検討会議です。

世界の核軍縮の方向性を協議する極めて重要な会議が7年ぶりに開かれたものの、草案にロシアが反対したことから、成果となる「最終文書」には合意できず決裂しました。

海洋生物多様性の保護協定を作る政府間協議も決裂

さらにこのNPTと同じ時期・同じ場所で行われていた、もう1つ重要な国際会議も欧米とロシアの対立が原因で決裂したのです。

公海の海洋生物多様性を保護するための新しい協定をつくる政府間協議です。

各国の規制が及ばない公海では、誰もが自由に生物を捕獲でき乱獲などが問題となっていることから、それを防ぐための対策やルールを作る会議で、今回の政府間協議では新たな協定で合意できるという期待が高まっていたのです。

しかしこの会議でも欧米とロシアの対立が…。


EU代表:我々は国際法を強化するためここにいる。ロシアの軍事侵攻を非難しウクライナとの団結を表明する。

ロシア代表:ロシアに対する欧州の政策はすべての国に害を与えた。国連のどんな会議も軍事侵攻と関係ないはずだが、あなたたちは毎回軍事侵攻した国としてロシアを判断する。


環境保護団体グリーンピースは「ロシアが意図的に交渉を妨害した。世界的な情勢を受けて欧米との譲歩を拒み合意を妨げた」と指摘。

ウクライナ情勢をめぐる欧米との対立がロシアの交渉姿勢に影を落としています。

イラン核合意の立て直しなど他の国際的な交渉にどこまで影響を及ぼすのか注視していく必要がありそうです。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分56秒あります)

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