11月27日はロシアでの「母の日」です。
その「母の日」を前にプーチン大統領が行った「兵士の母親たちとの面会」が波紋を広げています。
「戦死こそ尊い死に方」と受け取れるような考え方をプーチン大統領が示唆したのです。
プーチン大統領は「問題はどう生きたかだ。ウォッカが原因で死ぬ人もいて、生きた意味が不透明だ。しかしあなた方の息子は生きた意味があったのだ。目標を達成したからだ」と述べました。
さらに物議を醸しているのが、ここに招かれた女性たちです。
政府機関の職員や政権寄りの団体のトップなど政権側に都合の良い人だけが招かれたという見方が出ていて、兵士の母親たちの間で反発の声が出ているのです。
ある母親はネット上に動画を公開し「プーチン大統領、あなたは本当に男ですか?あなたの周辺から選んだ女性ではなく、あなたに会うためにさまざまな都市から来た私たち本物の女性を直視する勇気はありますか?」と声を上げました。
兵士の母親たちの反発が広がる兆しも
先ほどの母親などが結成した団体「母と妻の評議会」が、ロシアの各地をオンラインで結び11月に会合を開きました。
およそ2000人が参加し「国民をだますのはやめてほしい。大切な人について知る権利がある」などと不満の声が相次ぎました。
ロシア国内で懸念されているのは、さらなる動員の恐れです。
ウクライナ軍は「ロシア軍は追加の動員を12月10日からロシア国内とウクライナの占領地で始める準備を行っている」と、ロシアが兵力不足を補うため動員に踏み出す情報があると警告しています。
ロシア兵の死傷者数はすでに10万人を超えているとも指摘されています。 プーチン政権が国内統制を強める中でも母親の不満そして怒りは広がりそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分34秒あります)