あなたの“自転車モヤモヤ”を調査!

NHK
2023年5月26日 午後5:15 公開

あなたの“自転車モヤモヤ”を調査!

① 岐阜は「ケッタ」率が高い?!

② 自転車保険のポイントは…?

駐輪された自転車

今年4月からヘルメットの着用が努力義務になり、注目が高まっている自転車。 岐阜のみなさんは、日頃、自転車についてどんなモヤモヤを感じているでしょうか? 街で疑問や気になっていることを聞いて、かわりに調べました!

<目次>

  • なぜ岐阜では自転車を“ケッタ”と呼ぶ人が多いのか?

  • 由来は「蹴りたくる」 名古屋で生まれた言葉が…

  • 少年たちが胸をときめかせた「ケッタマシーン」とは

  • 自転車保険には入ったほうがいい?

  • ポイントは損害賠償への備え
      

●なぜ岐阜では自転車を“ケッタ”と呼ぶ人が多いのか?

“自転車のモヤモヤ”について岐阜市のみなさんに聞きました。

※ヘルメットが着用義務になって探しているけど売っていない
※買い物に行ったときヘルメットの置き場所に困る
※高校生のスピードの出し過ぎが気になる

それぞれに悩みや困りごとがある様子でした。
ただ、意外なモヤモヤもあって…。
県外から岐阜に来て10年になる高島恵美さんからはこんな疑問が…。

「なぜ岐阜の人たちは自転車を“ケッタ”と呼ぶの?」

岐阜ならではの自転車の呼び方がずっと気になっていたそうです。
岐阜出身の担当ディレクターからするとあまりに当たり前のことで、
ケッタの由来について深く考えたことはありませんでした…。
でも、たしかに、なぜだろう?!
いざ、調査開始!!

(疑問を教えてくれた高島恵美さん)
  

● 由来は「蹴りたくる」 名古屋で生まれた言葉が…

由来を教えてくれたのは、岐阜大学で方言の研究をしている山田敏弘教授。
“ケッタ”という言葉の使われ方を調査したことがあるといいます。
(後ろにある旗は何だろう…?)

(方言を研究している 岐阜大学・山田敏弘教授)

「ケッタ」は、強く蹴るという意味の「蹴りたくる」から派生した言葉。
戦後に名古屋で生まれ、その後、岐阜に伝わったといいます。
しかし、不思議なことに、今では、発祥の地である愛知よりも、
岐阜のほうがケッタと呼ぶ人が多いんだとか…。
いったい、なぜなのか?

調査をしてきた山田教授は、愛知と岐阜の地域性の差が関係していると見ています。

「大都市の名古屋は人口の動態が激しいので新しい言葉が入りやすかった」

一方、人の流入が少ない岐阜は、言葉の流入も少ないため、
一度広まった言葉は定着しやすいということ。それが県民性にもあらわれて…。

「岐阜県は保守的なところがある。いったん受け入れたものは使い続ける」

…と分析しています。
いわば、言葉のドーナツ化現象…?!うーん、興味深い。
  

● 少年たちが胸をときめかせた“ケッタマシーン”とは?

ちなみに、山田教授が小学生の頃に大人気だった“ある自転車”は、
こんな風に呼ばれていました。

その名は、ケッタマシーン!

光る方向指示器やレバー型の変速機がついた、スーパーカーのような自転車。
岐阜の少年たちが胸をときめかせて走らせたケッタです。

(昭和50年代に流行した“ケッタマシーン”)

ケッタマシーンに乗っていたという山田教授。

「坂道はなかったけど、カチャカチャと変速ギアを動かしながら走っていました…。
ケッタという言葉は男子にとってピッタリでした!」

「ケッタ」という言葉に強い思い入れがあるご様子でした…。

「蹴りたくる」=「力いっぱいこぐ」のも自転車の楽しさですが、
スピードの出し過ぎには気をつけましょう!
  

● 自転車保険には入ったほうがいい?

続いて出会ったのは、こちらの親子。
なんと、最近、小学3年生の息子さんが自転車でケガをしたといいます。
大好きなロードバイクで走っているときに、散歩中の犬と遭遇。
よけようとしたところバランスを崩して転び、骨折してしまったそうです。

それ以来、お父さんは、自転車保険のことが気になりはじめたようで…。

「死亡事故もいっぱい起きている。どこまで保険でカバーできるのか…?
やはり自転車保険には入ったほうがいいのでしょうか?」

(自転車保険について質問してくれた五藤さん親子)

ということで調べてみると…。

岐阜では、去年10月から県の条例で、自転車保険への加入が義務化されていました。
しかし…!加入率は58.5%。まだ多くの人が保険に入っていないという現状…。
大丈夫なのでしょうか?

自転車保険には色々な種類があり、補償の内容はさまざまですが…。
そもそも、加入が義務になっているのは、他人をケガさせてしまったときなど、
事故相手への損害賠償に備える保険です。
  

● ポイントは損害賠償への備え

自転車の安全利用促進委員会の遠藤まさ子さんによると、
この備えが最も重要で、保険のない状態で事故を起こすと、
高額の賠償金を自力で捻出しなければならないリスクがあるといいます。

過去には、こんな事例も。
自転車で坂道を下っていた小学生が、歩行中の女性と正面衝突。
被害女性は意識が戻らない重症を負い、
小学生の保護者に9521万円の支払い命令が出たこともあるそうです。

(自転車の安全利用促進委員会 遠藤まさ子さん)

「(事故相手への)賠償責任をカバーできる補償内容が含まれていることが自転車保険の最低要件」

さらに、いざ賠償となると、大変なのはお金の問題だけではありません。
おすすめなのが…。

「事故相手との交渉はすごく精神的な負荷がかかります。
一番いいのは示談交渉サービスをつけること。
相手と示談できるまで保険会社が窓口になって話を進めてくれます」

さらに…。

「自転車事故にあってしまったら、どんな事故でも、110番することを忘れずに!
 事故の記録がないと、いくら保険に入っていても、
保険金が支払われないケースもあるので注意してください」
  

● 保険に加入するには?

事故相手への損害賠償に備える保険に加入するには、
大きく分けると次の3つの方法があります。

  1. 損害保険会社が取り扱っている自転車保険に加入する
    →ネットやコンビニでも簡単に契約することができます

  2.  すでに加入している自動車保険や火災保険に特約をつける
    →特約で加入すると安くなる場合が多い

  3. 自転車販売店で点検と保険がセットになったTSマーク付帯保険に加入する
    →通勤・通学などで自転車を使う頻度が多い人にオススメ
      年齢制限もないので高齢の方にもオススメ
       1年更新が必要

安心して自転車を利用するために、ぜひこの機会に検討してみてください。


NHK岐阜放送局
ディレクター 冨久尾有里予
岐阜県出身 二児の母 娘の「脱・補助輪」を応援中!