名著137「100分de名著 for ユース」

NHK
2024年3月6日 午後6:39 公開

古今東西の名著を25分×4回=100分で紹介する「100分de名著」。これまでスペシャル版として「100分de名著forティーンズ」を二回放送し、10代の視聴者層に名著の魅力を発信してきました。今回は更にバージョンアップ!

2024年の春休み、若者からの支持が厚い加藤シゲアキさんを司会に迎え、対象年齢層の幅を更に広げ10代~30代に向けて「100分de名著 for ユース」というスペシャル・シリーズを立ち上げます。

3月といえば、新しい旅立ちをまもなく迎える季節。でも新たな職場や学びの場で、人間関係や仕事上の挫折、恋愛や友情のもつれ等々、若さゆえの悩みに直面し始める時期でもあります。そこで番組では、若者たちが参考になるような、人生の先輩としての助言を交えながら名著の解説を展開。「生きづらさにどう向き合う?」「仕事に取り組む姿勢とは?」「学び続けることの意味とは?」「人生を支えてくれる詩の言葉とは?」といった普段扱わないテーマの名著を取り上げ若者層が深く楽しめる知的エンターテインメント番組を目指します。

<出演者>

【司会】加藤シゲアキ(タレント・小説家)・安部みちこアナウンサー

<各回の放送内容>

第1回 学び続けることの意味

【放送時間】

2024年3月4日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】

2024年3月5日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ

2024年3月11日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ

※放送時間は変更される場合があります

【指南役】齋藤孝(教育学者)

【朗読】藤間爽子(俳優)

【語り】矢野香

取り上げる名著:シュリーマン「古代への情熱」

トロイア戦争を絵本でよんだ少年シュリーマンは美しい古都が必ず地下に埋もれていると信じその発掘を志す。驚異的努力で十数カ国語を身につけやがてその夢を実現する。あくなき学びの精神が持続できた理由とは? 学業にあっても仕事にあっても、創造的に学び続けていく意味を考える。

第2回 仕事に取り組む姿勢を学ぶ

【放送時間】

2024年3月11日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】

2024年3月12日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ

2024年3月18日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ

※放送時間は変更される場合があります

【指南役】土井英司(ビジネス書評家)

【朗読】藤間爽子(俳優)

【語り】矢野香

取り上げる名著:松下幸之助「道をひらく」

昭和43年の発刊以来、累計560万部を超え、いまなお読み継がれるロングセラー「道をひらく」。松下幸之助が実体験と人生に対する深い洞察をもとに綴った短編随想集だ。「仕事をより向上させるために」「事業をより

よく伸ばすために」「みずから決断を下すときに」等々あらゆる若者がぶつかるであろう場面で、名経営者ならではの実践的な知恵がひらめく。仕事に悩める若者たちに仕事の原点を学んでもらう。

第3回 生きづらさに向き合う

【放送時間】

2024年3月18日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】

2024年3月19日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ

2024年3月25日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ

※放送時間は変更される場合があります

【指南役】河合俊雄(臨床心理学者)

【朗読】藤間爽子(俳優)

【語り】小口貴子

取り上げる名著:ロビンソン「思い出のマーニー」

養い親のもとを離れ海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちに。だがマーニーはある日忽然と姿を消す。そこには大きな秘密があった。生きづらさを抱える若者が、人々との「つながり」の中で見出す生きる意味とは?

第4回 言葉で自分を見つめ直す

【放送時間】

2024年3月25日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】

2024年3月26日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ

2024年4月1日(月)午後2時30分~2時55分/Eテレ

※放送時間は変更される場合があります

【指南役】文月悠光(詩人)

【朗読】藤間爽子(俳優)

【語り】小口貴子

取り上げる名著:「石垣りん詩集」

14歳で銀行に就職し、定年まで家族の生活を一人で支えつづけた詩人、石垣りん。さまざまな困難にぶつかったとき、何かを感じる力がさびついてしまったとき「詩の言葉」は自分の人生を支えてくれる…そんなことを感じさせてくれるのが石垣の詩だ。家と職場、生活と仕事の描写のうちに根源的な力強さを潜ませた彼女の詩から、私たちにとって「詩とは何か」「言葉の力」とは何かを学び直す。

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☆番組プロデューサーAが、今回の番組の注目ポイントをご紹介します。

若い世代へ、名著と言葉を届けたい

「私はもう人目ばっかり気にして、働いた最初の時からいつも人の心をはかり、顔色をうかがって、本当に思っていることを表現する場所がなかったんですよね、仕事の上では。そのために本当に自分の言葉がほしかったんじゃないか。これだけは、どんなことがあっても言いたい。言うからにはどんな目に遭ってもいいって、そういう思いで。結局のところ、そういう気持ちが、普段何も言わないけれども詩を書く時だけは全く何物も恐れないといっては大げさだけど、書いちゃったんだと思います。最低その程度の覚悟はあったと思うんですけどね」

「100分de名著forユース」第四回の後半で紹介した、生前の石垣りんへのインタビューの一部だ。放送終了後一週間はNHKプラスで。その後もNHKオンデマンドで配信中だから、ぜひ見返してほしい。石垣りんが、穏やかな表情ながら、なみなみならぬ思いを込めて、自分の思いを語りだしているくだりだ。

よくぞ記録しておいてくれたものだ……このインタビューを。「詩が一人の人間の底を支え、生かすことがある」。そんな厳粛な真実がこのインタビューには詰まっている。

「こぼれ話」というタイトルがいつの間にか「今回の注目ポイント」というタイトルに変わっていることに驚かれた方も多いかもしれない。ホームページに掲載する情報は、あくまで番組コンテンツそのものに即した内容に限定していく…というルール変更が行われつつあり、このコーナーもできる限り、「こぼれた」話ではなく、番組コンテンツに即しつつ、もう一度、大事なところを見返してもらおうという主旨で、このコーナーは今後も続けていきたいと思っている。

先にあげた石垣りんへのインタビューは、何よりも配信コンテンツで見返してほしいところだ。このインタビューを聴いたあとでは、彼女の詩の迫り方がまるで変わってくることだろう。そんなところこそ、今回のシリーズの肝なのである。

「100分de名著forユース」企画の発端は、実は、石垣りんの詩との再会だった。それはこんな一節だ。

「やがて焼場の鑵(かま)にはいると/とじた扉の上に/石垣りん殿と札が下がるだろう/そのとき私がこばめるか?/様も/殿も/付いてはいけない、/自分の住む処には/自分の手で表札をかけるに限る。/精神の在り場所も/ハタから表札をかけられてはならない/石垣りん/それでよい。」 (石垣りん「表札」より)

「石垣りん/それでよい」

この言葉に撃ち抜かれた。私自身、ハタから表札をかけられまくっている人生ではないか。自分の手で表札をかけているのか? 他者の評価ばかり気にして右往左往している自分。痛切に、今の自分の情けなさを恥じた。そして思った。

こんな言葉なら、きっと若い世代に生のまま届くはずだ……と。

暮らしの実感から湧き上がってきた、自分自身に向けて発せられた言葉。だからこそ、痛烈な批判力をもちながら、決してお説教くさく聞こえない言葉。自分の在り方をきゅっと引き締めてくれるような言葉。

こんな言葉たちを若い世代に届けたい。そんな思いからこのシリーズは始まったのだった。

もちろん、日々のSNS、ネットニュース、ゲーム、ショート動画コンテンツの中にも、そうした瞬間はときどきあるのかもしれない。だが、古今東西の名著が遺してくれた言葉には、より高い純度と強度で、自分の存在に問いかけてくれる力が確かにある。それに気づいてもらえたら……石垣りんの詩との再会によって、若い世代に届けたい言葉の世界が、ばあーっと広がり、つながっていった。

そんな連想の力も借りながら、「古代への情熱」「道をひらく」「思い出のマーニー」といった名著を、講師の皆さんと相談しながら決めていった。10代~30代の若い世代にしっかりと届く言葉を内包した名著が、勢ぞろいしたと自負している。

講師陣の人選にも、新しい風を吹かせたいと心を砕いた。これまで起用してこなかったビジネス書の専門家や、若手を代表する詩人にも出演いただいた。土井英司さん、文月悠光さんいずれも、出会いは、音声系SNSの場で、たまたま時間を共にし、生の声を聴き、言葉を交わさせていただいたことがきっかけだった。お二人の声の力に惚れ込んだ。これまでに全くない知り合い方だった。

もちろん、人生の大先輩からの意見も聴いてみたい。若い世代へ伝わる豊かな言葉をお持ちの斎藤孝さん、河合隼雄さんという、とても信頼している一流の専門家お二人にも登場いただいた。世代も専門分野も語り方も視点の取り方も、それぞれ全く異なる4人が集まった。こうした全体が奏でる交響楽も、NHKオンデマンドなどで見直してぜひ体感してほしい。

最後に、司会を担当してくれた、加藤シゲアキさんにも心からの感謝の言葉を捧げたい。ちょうど二年半ほど前「100分de名著forティーンズ」という10代向けのシリーズでも司会を担当していただいたが、今回、講師の言葉を受けて自身の体験を語る言葉の深度がさらに深まっていた。この二年半ほど、おそらく悩み苦しみながら小説を紡いてきた経験が、確かに彼の言葉に厚みを与えていた。彼のフィルターを通して、若い世代にしっかりと沁みとおるようなトークが広がっていったと思う。彼のリアクションも、間違いなく今回の番組の注目ポイントの一つである。

大きな冒険だった。4人の講師、4冊の著作としっかりと向き合う労力は、通常回をはるかに超えるものだったが、得たものは、それをはるかにしのぐ体験だった。その一端が視聴者に少しでも伝わったら、企画者としてこれ以上の喜びはない。

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