『僕は甘えていますか？』 今回、取材を受けてくださったトミーさんの日記より、抜粋させていただきました。 仕事にいけなくなった自分を責める日の記録です。 今回番組で取材したのは、滋賀県守山市にある「自立援助ホーム」。 生まれた家で暮らすことが難しいとされる若者たちに、生活や就職のサポートをする施設です。ここにくる若者の多くが、虐待や育児放棄など、一人で抱えるには重すぎる過去を経験してきました。 この施設で出会った若者のひとりが、トミーさんです。 シングルマザーだったお母さんが病気で倒れてしまい、施設で暮らしました。 家族が何より大好きだと話すトミーさん。趣味は料理と掃除。真面目な性格で、夢をもち、勉強を惜しまない努力家。「好青年」という言葉は彼のためにあるのでは、という第一印象でした。だからでしょうか、「お母さんを苦しめたのは僕の存在ではないか」「会社に行けないのは自分に問題があるからではないか」。トミーさんのインタビューにはいつも、原因を自分の中に探そうとする声が入っていました。 他にも、多くの若者に取材をさせていただきましたが、虐待の記憶を思い出し「年上の方と話すことが怖い」と会社に行けなくなる方もいれば、「自分は必要とされていない存在だから」と死を考えていた方もいました。 どんな環境で育つか、自ら選ぶことができる子供はいません。その環境がきっかけで、社会でしんどい思いをするのだとしたら、それは“誰のせい”となるのでしょう。社会なのか、親なのか、本人のいうように自分の問題なのか。 施設を取材させていただいて２年間、私にはその答えよりも撮りたいものが生まれたので、カメラを回しました。 「今を、これからを、どう生きていくのか」 トミーさんたちが選ぶこの先の未来を、見届けていただければ幸いです。