目撃!にっぽん
「京都“おせっかいバンカー”物語」
初回放送日: 2021年3月28日
営業マンが客を訪ねてもカネの話はしない。そんな不思議な信用金庫が京都にある。“おせっかい”と称して客の課題解決に全力を尽くす、異色のバンカーたちを追う。 歴史と伝統の町・京都に業界の常識を打ち破る信用金庫がある。営業マンが客を訪ねてもカネの話はしない。業績が低迷する中小企業、起業する若者…「おせっかい」と称して1人1人にじっくりと向き合い、支店総出で課題解決に全力を注ぐ。地域の企業が元気にならないと、自分たちの利益は生まれないと、目先の利益は捨てることにしたのだ。“縮小する”地方で生き残るために独自の道を貫く、異色のバンカーたちを追う。
このエピソードのよくあるご質問
番組ディレクターから
「ふつうの金融機関と何か違う・・・」 きっかけは約1年前、新型コロナウイルスの感染拡大で日本中が混乱するなか、私はこの信用金庫を取材し、京都経済への打撃を伝える番組を制作しました。当時は苦しむ事業者の方々の現状を伝えるのに終始してしまいましたが、その時に「ここはふつうの金融機関と何か違うのではないか」と強く感じました。金融機関に対して、どちらかと言えば「冷たい、堅い、ちょっと怖そう・・・」というイメージを持っていた私ですが、この信用金庫の皆さんが纏う、独特の”金融機関らしからぬ”空気に惹かれて、今度はここで働く人達を主人公にした番組を作りたいと取材を重ねました。コロナが常態化するなかで、そろそろ悲惨な現状を伝えるだけでなく、「じゃあどうするの?」という未来に向かうヒントを伝えたいという思いもありました。 見えてきたのは、変わりゆく時代のなかで、地域に密着しながら、自分たち自身の存在意義や新しい価値をどう生み出していくか、試行錯誤している1人1人のバンカーの姿でした。 取材を始めた頃、大胆な改革を連発する理事長の榊田さんに、「リスクはないのか」と尋ねると、「リスクはある。けれど我々は”人と人との関係性”でリスクをカバーする。従来のような担保や保証ではない。」と答えられました。当時は「そんなふわっとした・・・」と思いましたが、数ヶ月の取材で、その意味を体感できた気がしています。フィクションでしか知らなかった熱い金融マンが、ドラマとはちょっと違うけれど、リアルに存在している、今ははっきりとそう言えると思います。 最初は金融機関としての面白さに興味をひかれて取材を始めましたが、取材を進めるにつれ、これはより普遍的なテーマなのではないかと感じました。「時代は変わった」「改革が必要だ」。そうした言葉が溢れる昨今ですが、大切にしたいことは何か、それさえ見失わなければ、きっと未来は自分たちの力で築いていける。今回の番組で取り上げる、一見思い切ったように見える改革も全て、実は「地域のニーズに向き合い、活性化させる」という金融機関としての原点に立ち返ったものだとも言えます。派手な結果は出ないかもしれないけど、自分が大事にしたい相手や信じたい価値を地道に積み上げていく。そのために必要なことであれば、大胆に変えていく勇気を持つ。そしてそれは現場の1人1人が、自分なりの個性をもってもがくなかで見出していくものなのだと、私自身が後押しされました。 番組後半で支店長さんが「あげなきゃいけない実績って何なのか・・・」と自問自答される場面がありますが、今回の番組は、働く人であれば、どんな職業、どんな年代でも、きっとどこか共感できる部分があると思っています。自分の大切にしたいことは何か、そんなことを考えて頂けるきっかけになれば幸いです。