目撃!にっぽん
「泣き寝入りはしない〜密着“コロナ切り”との闘い〜」
新型コロナ感染拡大の中、解雇や雇い止めで失職する人が急増。現場で何が起きているのか。相談が殺到するある労働組合に密着した3ヶ月間の記録。(アンコール放送) 取材を始めたのは今年4月。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、三重県の労働組合には解雇や雇い止めにあった人が殺到していた。所持金わずか数百円となり3日間何も食べていない派遣社員。アパートの退去を迫られている日系人女性…。しかし、彼らを支えようと計画した「派遣村」には壁が立ちはだかる。そして助けを求めに行った行政の窓口では…。命と生きる尊厳をどう守っていくのか。密着3ヶ月の記録。(アンコール放送)
出演者
語り 玉山鉄二
番組ディレクターから
番組ディレクターから
【この番組を企画したきっかけは】 新型コロナウイルスの感染が徐々に拡大し始めた3月上旬。直前に、非正規雇用の問題について番組を作ったばかりだった私は、いまその人たちがどうなっているのか、再び取材を始めていました。そんな中、話をうかがった一人が、以前取材でお世話になった、労働組合「ユニオンみえ」の神部 紅(じんぶ・あかい)さん。「すでに“コロナ切り”が始まっている」と言います。世の中では、東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まり、急速に自粛の空気が広がり、医療現場の切迫が日々伝えられるようになっていました。働く人たちの現場でも、何か大きな変化が起きている…。“今”を記録しなければ、という強い思いに駆られ、デジカメ1台を持って向かいました。現場では、仕事を失った途端に生活が脅かされる人たちが相談に押し寄せていました。「子どもを守れない・・」「家を追い出される・・」。彼らの声に耳を傾け、カメラを回す日々が始まりました。 【番組の見どころ】 派遣会社から解雇され、組合に駆け込んだ中尾カオリさんは、解雇の撤回を求めて、組合と共に会社に交渉を求めます。それは、大変な覚悟と労力がいることです。次第に生活が立ちゆかなくなっていく様子を取材しながら、「そこまで闘わなくても、ひとまず行政の支援で生活をつなぎ、また仕事を探すのも一つの手ではないか」と、思ったことがありました。神部さんにその考えを話してみると、こう返事が返ってきました。「泣き寝入りすることは簡単。でも、どこかでクサビは打たなきゃいけない」―。 3か月後、カオリさんが、これまで見せなかった表情を、初めて見せます。彼女が背負ってきたものの一端を見た気がしました。 「泣き寝入りはしない」― その先にあるものとは…。「理不尽」な扱いを受けた人たちが、あきらめたり堪え忍ぶのではなく、自分も「声をあげていいのかな」と、思えるきっかけにもなったら嬉しいです。 【取材で印象に残った言葉】 「解雇です、寮も出て行って下さい」と突きつけられて、「分かりました」と言える人は、どれほどいるでしょうか? その状況に立たされたカオリさんは、3人の子どもを育てる中、“そんなカンタンじゃない”と言います。この短くも鋭い彼女の言葉から、「私たちは ”労働者” である前に ”生活者” だ」 という当たり前のことを、伝えたいと思うようになりました。 一方で、企業に対して声を上げたり、行政に支援の手を求めても、断られ続ける現実。返ってくるのは、“コロナだから仕方ない”という言葉でした・・。この“仕方ない”という言葉によって、”生活者” であることすら、諦めざるをえない人たちを目の当たりにしたとき、この言葉は凶器でもあると感じました。 (番組ディレクター)
見逃し配信
東京・国立に半年前、オープンしたカフェ。聴覚に障害があるスタッフたちが満面の笑顔で迎え、手話で接客する。訪れる人に元気をくれるカフェ、そのわけ、見てみませんか? 東京・国立に半年前、オープンしたカフェ。人通りが多い駅前にあってにぎわっていても、店に入ってみると驚くほど静か。「いらっしゃいませ」の声もない。それは、聴覚に障害があるスタッフたちが手話で接客しているから。手話や筆談、時にはジェスチャーも交えて“会話”する。その笑顔あふれる接客に、常連さんも増えている。訪れる人が元気になれるカフェ、そのわけ、見てみませんか?