目撃!にっぽん
水俣病の公式確認から65年。今も闘い続ける人たちがいる
- 母親の胎内で水銀の被害を受けた坂本しのぶさん。水俣病の悲惨さを訴え続けてきた。
- ©Ishikawa Takashi / 1970年代、3年間にわたって水俣を撮り続けた写真家ユージン・スミス
- 水俣病特有の症状を抱えながらも患者と認定されない、佐藤英樹さん。
- ©Larry Horricks /ジョニー・デップが主演の映画「MIANAMATAーミナマター」
終わらないMINAMATA
初回放送日: 2021年10月3日
公害の原点ともいわれる「水俣病」。9月、水俣病を題材としたハリウッド映画「MINAMATA―ミナマタ―」が公開され再び注目が集まっている。主人公の写真家ユージン・スミスを演じたジョニー・デップが「水俣病の問題はいまだ続いている。それが衝撃的だ」と語るように、公式確認から65年たった今でも問題は解決していない。水俣病に苦しみながらも闘い続け、懸命に生きようとする人々の「今」を見つめる。
出演者
語り (瀧本美織)
番組ディレクターから
番組ディレクターから
【取材をする中で印象に残った言葉】 「健康じゃないと水俣病にはなれない」 今回の主人公のお一人、佐藤英樹さんは水俣病患者と認定してもらうため、裁判を闘っています。そんな佐藤さんと水俣の支援者の方々が雑談をしていたときに、ふと耳にした言葉です。佐藤さんは幼い頃から手足のしびれや針を刺したような痛みに悩まされてきました。しかし、その症状を裁判で主張しても、その原因が他の病気である可能性も否定できないとされ、去年の裁判でも訴えを退けられました。 人は誰しも年をとれば、様々な病気にかかります。その症状が水俣病によるものかどうか、一対一対応の因果関係を証明するのはとても難しいのです。佐藤さんたちがそんな現状に対して、笑い混じりに皮肉を込めて言われたのが印象的でした。そして同時に、佐藤さんたちがいかに厳しい闘いを強いられているか、リアルに言い表している言葉だと感じました。 【番組の見どころ】 今回の番組は、映画「MINAMATA-ミナマタ-」の原案にもなった写真集「MINAMATA」を読み解きながら、現代の水俣を生きる人々の強く生きる姿を見つめます。およそ半世紀前に出版された写真集ですが、よく読み進めてみると、決して過去のものではなく、現代とリンクする部分が多くあることに気づかされます。今回の主人公のお二人と写真集「MINAMATA」がどう繋がっていくのか、ぜひ注目していただければと思います。