目撃!にっぽん
「ベトサダ漂流記〜ホームレス支援施設で〜」
初回放送日: 2020年8月30日
新型コロナウイルスの影響で、行き場を失う人が急増している。札幌にある自立支援施設「ベトサダ」にカメラを据え、社会復帰を目指す人たちの奮闘を記録した。 全国に先駆けて、新型コロナウイルスの脅威にさらされた札幌。その片隅にある「ベトサダ」という名前の自立支援施設で異変が起きていた。入居者の多くはホームレスだったが、ここ数か月で、サラリーマンや派遣社員が目立つようになってきていた。仕事や家族を失い、自暴自棄になって事件を起こしてしまう人もいる。生きる希望を失わせ、人の心まで蝕んでいくコロナ。負けずに、社会復帰を目指す人たちを記録した。
出演者
語り 浅野温子 (女優)
語り
番組ディレクターから
番組ディレクターから
【この番組を企画したきっかけは】 今年の2月、毎年恒例の雪まつりが行われていたころ、北海道は「日本の武漢」とネットで騒がれていました。全国で最も早く感染が広がった北海道で、私は当初 感染症対策の最前線だった医療機関に取材に赴き、感染症という“災害”のやっかいな面を目の当たりにしました。 経済面での影響も早く、4月には観光バス会社などが数社倒産に追い込まれていく中で、困窮者支援の現場には、さらに大きな影響が出ているのではないかと考え、ホームレスの人々の支援施設である「ベトサダ」を訪れました。感染のリスクや、元サラリーマンなどの入居希望者の増大で「生活のセーフティネット」とも言えるシェルターでさえも、崩壊の危機に瀕していることを目の当たりにしたときに、ここにカメラを据えようと決めました。 【制作でこだわった点、もしくは、苦労した点】 普通に生活していると、気に留めることが少ない困窮者支援の現場。仕事や家を失うリスクが他人事ではなくなったコロナ禍でこそ、伝わるものがあると考えました。「仕事と家をなくして駆け込む入居者」では終わらずに、そこに至るまでの人生も、しっかり描こうと心がけていました。 一方で、決して“綺麗事”で終わらないように作ろうと意識していました。ただ「かわいそうな人たち」と、それを支援する「聖人のような支援者」ではない、リアルな人間模様があるのではないか。コロナ禍という異常事態とはいえ、入居する側にも「弱さ」があり、救いの手を差し伸べている支援者側にもそれがあることが取材の結果分かってきました。それぞれの立場がリンクすることで、人間が誰しも抱える「弱さ」があり、そんな立場であるからこそ出来る支援のあり方もきっとある・・・そんなことが番組を通して伝わったら嬉しいです。