目撃!にっぽん
「苦手なことは、可能性だ〜“教えない授業” 半年間の記録〜」
初回放送日: 2021年4月11日
「好き」を極めると「苦手」への意識が変わる!?ある中学校で始まった、先生が教えず、生徒が好きなことを探求する「教えない授業」。異色の学校改革の日々に密着した。 「好き」を極めると「苦手」への意識が変わる!?舞台は、2年前から大胆な学校改革に取り組む私立中学校。特徴のひとつが、毎週水曜日に国語や数学など個別の授業を一切行わない「教えない授業」の日を設けることだ。1年生から3年生まで全校生徒が参加し、自分の好きなことを自由に探求する。苦手な勉強を面白いと思うようになったという生徒や、引っ込み思案な性格を変えようと奮闘する生徒。十人十色の成長を見つめる。
出演者
俳優 (満島ひかり)
番組ディレクターから
番組ディレクターから
【この番組を企画したきっかけは】 2年前に子どもが生まれて、その可愛さに圧倒されると同時に、ひとつの疑問が頭から離れなくなりました。それは「これからの時代にふさわしい教育とは・・・?」というものです。「正解のない時代」といわれて久しいですが、改めて考えてみると、本当にあらゆる場面に正解がないなと思います。働き方も人生の価値観もどんどん変化し、「いい大学に入る」「安定した企業に入る」などかつて理想とされていたゴールは、必ずしも幸せを約束するものではなくなりました。昨日よしとされていた社会が、明日も同じであるかは誰にもわかりません。 そんな時代に、私たち大人が子どもたちに教えてあげられることは何だろう。その答えを探し始めたときに、番組の主人公である山本先生の“教えない授業”と出会いました。子どもたち自身が、自分の“好き”をとことん突き詰める中で、学びの楽しさを発見していくというコンセプト。「何を教えてあげられるだろう」と思っていた私にとって、“教えない”という選択肢があることは、大きな衝撃でした。でも、“教えない”からといって大人が黙って見ているだけではないはず・・・。一体どんな秘密があるんだろう?と興味がわき、取材をはじめました。 【取材をする中で印象に残った言葉】 番組タイトルのもとになった、山本先生の「できないことは可能性」という言葉です。 ある日取材に行くと、先生は大きなスクリーンで生徒たちに一本の動画を見せていました。それは、長年字が読めなかった高齢男性が、本を読むために文字の勉強をはじめるという感動的なショートムービーでした。動画のあと、先生は生徒たちに「できないことは未来への可能性だよ。何歳になっても挑戦すればできるようになるかもしれないし、人やテクノロジーの力を借りることだってできるし、苦手なことがあっても落ち込む必要なんてないんだよ」と呼びかけていました。 学校改革の取材に訪れた私でしたが、その言葉はまさに、30歳を超えて育児と仕事の両立や今後の生き方に悶々としている自分自身の胸に響きました。「そうだ。できないことに悩むより、その悩みをどう自分や社会に生かすか考えてみよう」と強く思わされました。そんな風に思考を転換すると、「自分が今感じている苦手や生きづらさは、この先誰かの力になるかもしれない」「自分や他人のできないことに対して、もっと寛容になろう」など、どんどん前向きな発想が浮かんできました。私自身が強く心を動かされた言葉だったので、年代問わずきっと多くの人に届くのではないかと思い、今回、番組のテーマにしました。