香港に行ったら観て回りたいアートスポット・ガイド

NHK
2022年3月6日 午前9:00 公開

日曜美術館HPでは放送内容に関連した情報を定期的にお届けしています。こちらは3/6放送「開館!アジア最大のアートスポット 香港M+美術館」(再放送3/13)に合わせた情報です。M+と合わせて、香港に行ったら観て回りたいアートスポットについてご案内します!

3/6放送「開館!アジア最大のアートスポット 香港 M+美術館」放送詳細はこちら

M+(エムプラス)

香港・「西九文化区」でオープンしたアジア最大級の現代視覚文化ミュージアム「M+」。※番組映像より

  

まず、番組で紹介した「M+」。香港・西九文化区でつい先頃、2021年11月12日にオープンしました。総床面積は約6万5000平方メートル、展示ギャラリーの数は33もあり、圧倒的スケールの美術館として話題を集めています。 

番組で触れていた通り、美術、建築、デザイン、動画に至るまで展示内容は多岐に及んでいますが、見どころのひとつは中国現代美術を精力的に収集してきたスイス人コレクター、ウリ・シグ氏が寄贈した約1500点にも及ぶ「シグ・コレクション」でしょう。

駐中国スイス大使でもあったウリ・シグ氏が収集した中国現代美術のコレクションが寄贈されている。※番組映像より

  

シグ・コレクションでは1970年代から2000年代にかけての中国現代美術を包含していますが、この30年の間に中国は大きく変化してきました。そのダイナミズムをアーティストの目線を通して体感することができます。包括的に中国の現代美術が観られる貴重な展示です。

M+のEast Galleryではアジアや世界で影響を与えた建築・デザインが展示されている。※番組映像より

  

また、番組でナビゲーターもしていただいたM+のデザイン&建築チームリードキュレーター、横山いくこさんが担当したデザイン・建築に関するコレクションも秀逸で、日本のデザインもたくさん含まれています。デザイナー倉俣史朗が手掛けた伝説のすし屋「きよ友」も移設されており中に入って見学することが可能です。

CHAT(Centre for Heritage, Arts & Textile)

古い紡績工場を文化施設として生まれ変わらせた「The Mills」。その中にアート&テキスタイルの美術館「CHAT」がある。画像提供:CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile)

  

1960年代に建てられた紡績工場の建物をリノベーションして生まれた文化・商業施設「The Mills」の中にある、アートセンター「CHAT」。2019年3月にオープンしました。香港経済の基礎をつくり上げたテキスタイル産業を振り返る展示と共に、国際的に活躍するアーティスト、デザイナー、地域の人々が共創する新しいスタイルの文化施設です。

香港の紡績産業史について見せる常設展示室を設計したのは、著名な現代アートの賞として知られる「ターナー賞」の2015年大賞に選ばれた建築家集団「アセンブル」。メンバーの一人は香港にルーツを持っています。

イギリスの建築家集団「アセンブル」がデザインしたCHATの常設展示室。2020年のグッドデザイン賞にも選ばれた。画像提供:CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile), Hong Kong

  

「SEED TO TEXTILE」と呼ばれる、藍の種を蒔くところから始まり、収穫して織物にして、芸術家とコラボレーションするまでを、地域の人々も巻き込みながら行うプロジェクトも実践されています。

CHATのエグゼクティブ・ディレクター兼チーフキュレーターは日本人で、水戸芸術館で長年キュレーターをされていた高橋瑞木さん。

M+がある西九文化区からだと電車で30分程度の、荃湾(チュンワン)と呼ばれるダウンタウンにあります。

Tai Kwun(大館)

香港島・中環(セントラル)地区の古い旧警察本部跡地を活用したミュージアム「Tai Kwun」を空中から眺めたところ。 画像提供:Tai Kwun

  

中国に返還される以前、イギリスの植民地であった時代からの中心市街地であった香港島。その中心、中環(セントラル)地区において中央警察署や留置所として使われてきた建物群をミュージアムに生まれ変わらせたのが、2018年にできたTai Kwun(大館)です。産業史博物館であるのと同時に、最新の美術の発信地としても知られます。

リノベーションによる古い建物の活用と、新築の建物とが組み合わせられている。手前の建物の壁面の作品はLawrence Weiner「Hard Stone, Soft Earth」画像提供:Tai Kwun

  

M+の建物を設計したのと同じ建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンが手掛けた新館では、グローバルに活躍する世界トップクラスの現代アーティストの個展などが行われています。日本人では村上隆さんの個展がこの場所で開催されました。

香港島のギャラリー群

M+から対岸の香港島を眺めたところ。※番組映像より

  

中環(セントラル)地区は金融街としても知られ、香港経済の中心地。Tai Kwunの周りには世界的に知られるギャラリーやオークションハウスが何軒も集まっています。香港島はセントラル以外に、島の南側、黃竹坑(ウォンチュクハン)地区や香港仔(アバディーン)にもギャラリーが集まっています。香港島北東部にある「Para site(パラ・サイト)」は、香港でも特に古くから実験的なアートスペースとして一目置かれてきた存在です。

香港故宮文化博物館

今年2022年7月、西九文化区ではM+のすぐ近くに香港故宮文化博物館がオープンする予定です。北京・紫禁城の跡地が故宮博物院というミュージアムになっていることはよく知られていますが、そこから名品を借り出して展示していく美術館になる予定です。

西九文化区にはその他にもM+竣工に先駆けて、広東オペラを上映するシアター「シーチュー・センター」やパフォーミングアーツの専門シアター「Freespace」などの施設が2019年にオープンしており、さらに今後も劇場などの文化施設がつくられる予定です。

新型コロナウイルスが落ち着くまではなかなか渡航が難しい状況ですが、再び自由に移動できるようになったあかつきには、香港が「アートを観に行くため」に訪れる目的地となるはずです。足を運べる日を心待ちにしましょう。

今回の記事は、CHATのエグゼクティブ・ディレクター兼チーフキュレーター高橋瑞木さんより情報協力をいただき執筆しました。

美術館のリスト

◎M+
M+, West Kowloon Cultural District, 38 Museum Drive, Kowloon, Hong Kong

◎CHAT(Centre for Heritage, Arts & Textile)
The Mills, 45 Pak Tin Par Street,Tsuen Wan, N.T., Hong Kong

◎Tai Kwun
10 Hollywood Road, Central, Hong Kong

◎香港故宮文化博物館
※2022年7月開館予定