ロックシンガー矢沢永吉 72歳で挑む大舞台

NHK
2022年6月16日 午後5:01 公開

日本を代表するロック・シンガー矢沢永吉さんが8月、新しくなった国立競技場でオリンピック後、初の有観客ライブに挑む。

今年、デビュー50周年の節目の年。真夏の大舞台に向けて下見に訪れた

矢沢さんに青井実キャスターが単独インタビュー。

― 実際にここを訪れてどうですか。

今年50周年でしょ。いまでも矢沢さんでも緊張するんですかってよく言われるんですけど、緊張します。それがものすごく大事だしいいことなんです。

ワクワクしながらドキドキしながら、はじまったらいっちゃう!

― ファンの存在は?

ありがとう。矢沢と一緒に50年間、ずっと応援してくれたファンもいるし、時期によって矢沢のことに興味を持ってくれる、10年なんですというファン、3年なんですというファン、いっぱいいます。

去年ライブやったときに、最初は50%しか観客ダメだった。武道館チケットが即完できるようなアーティストでも60%くらいしか入らないのが普通だったんですよ。普通だったら武道館満タンでいくのが6割入ったらいいとこぐらいだったとき、(自分のライブには)8割5分、9割、結構入ってる。横浜の最終なんか超満員。僕、その時ね、うれしいと言うより、何となくわかっていたけれど僕のファンの根性の熱さ、俺のファンって熱いんだって、前から熱いと分かっていたが、思いが違うんだって思いましたね。

「永ちゃん、暮れの武道館みないと年越せないよ」って言ってくれるファンがいっぱいいたんですけど、そういうのはフィーリングで盛り上がって言ってくれてると思っていたけれど、去年、コロナ禍で本当にそうなんだって思いました。うちのファンに言ったら怒られちゃうけど、今頃気づいたのかっていわれるけど、本当に去年は思ったんですよ。

― 本当は観客も声を出して盛り上がりたいですか

去年、初めての経験だから、マスクして、永ちゃんコールだめよ、タオル上げるな、拍手だけで手拍子だけでこたえる、これコンサートどうなっちゃうんだろう、乗っけられるかな、どういうコンサートになっちゃうんだろう。ドキドキしながらスタートを切ったんですけど、これはこれで、矢沢の声はよく聞こえた、バックのミュージシャンの細かいフレーズがよく見えて、これありじゃないって言う声もいっぱいもらいました。それは結構ほっとした。

― 年齢体力は感じることありますか?

めちゃくちゃあります。もうね、それを苦しいととるか、予定通りだよ、きてるよミックジャガーが出来ておれにできないわけないよって、そのへんですかね。それをその上でやろうじゃないのって。ちょうどコロナがくる直前だったんじゃないですかね、『海の向こうには70歳超えた現役はいっぱいいます。日本にまだいません。だったら俺がやりますから』。

僕はカッコマンだから僕基本的に。それ言っちゃいました。

― かっこいい自分を見せたいという気持ちはある?

「良い格好しい」ですから、「良い格好しい」だから歌を歌ってるんですから。

矢沢さん実際の年齢との差ありますよね、めちゃあります。あるけれど、ポンっとステージが始まって、2時間半の2時間以上ですね、そんなことはファンは見てませんよ。お客さんはそんなことはみてませんよ。シンプルに乗っけて、飛ばして、永ちゃん、飛ばしてくれるよねって見てますから、帰るときに、いいステージやれたら、いいステージやれてすごく飛べたら、帰るときに、終わっていっぱい飲むときに、ところで永ちゃんもう70いくつだぜって出たらこっちの勝ち。やってる最中は関係ないんですよ。

― バイタリティー、モチベーションはどこから?

僕も考えたことあるんですけど、歌を歌い続けられることってこんな幸せなことないよねって、若いときわからなかったですよ。正直言うと、若いときはそんなこと分からないじゃないですか。わお、おれ手に職を持ってるよ、歌、「歌手」っていうこれ最高だよね、ありがたいって思うようになりました。

― ありがたいと思えること、歌えることへの感謝が力に?

そうですね。だって好きなことやってるんだもん。好きなことやって家族も養うって言うのは過ぎた話ですけど子どもも大学生いかせたし、最高じゃないですか。

仕事はって言われたら「おれ、ロック歌手です」みたいな。

― イメージしていた通りの72歳でしょうか?

イメージなんてしてないですよ、自分が40の時、70の俺なんて想像つかない。

ただ最近、そういえばおばあちゃんがあっち痛いこっち痛い、朝起きてそんなことを言っていたなあ。起きて、えいって動くの。動いて、動いたらものの30分でちょうど良くなる。簡単に言えば血流がめぐるから。それがわかりゃ、おばあちゃんはそういうことを言ってたんだって今分かるから。おばあちゃん分かるよって。

― 細かいこと気にせず、今を生きる?

自分なりに夢中になれるモノ、年をとればとるほど、夢中になることは、そんなにないかもしれないけど、探してでも、作ってでも、なんかあったらいいよねって。自分がそうだから。自分はいま追っかけるモノがあるってわかるから、それだなって。

― コロナのエンタ不況、やってやるという思い?

みんなびっくりしたんじゃないですか?このコロナ禍。だって僕2か月くらいで終わると思ってましたもん、最初は。とんでもない、3年目ですよ。誰が想像しました?キャンセルキャンセル、秋のコンサートはキャンセル、みんなキャンセルしてるんだから、やってる場合じゃないでしょ。来年の春はこれは出来るんだろうって準備しても、また月日が経って次の春、やっぱりキャンセル。まだやってる場合じゃない。キャンセル。わお、もう丸どれくらい?

初めての経験ですよ。ただひとつ言えることは信じるよね、信じようとする。絶対出られるから。ここから、われわれみんな出られるから。みんなが絶対出られるから信じよう、それしかないじゃないですか。

― 歯がゆさみたいなものは?

歯がゆさありますけど、これはみんなだから、みんながここ超えなきゃダメなんだから信じようみたいなことですよね。

絶対、絶対、超えられると思ってました。もちろんまだ終わってません

― どんなライブをしたい?

肩の力をぬいてって言葉あるじゃないですか、野球選手でもサッカー選手でもみなさん同じこと言いますよね。肩の力を抜いて、腹7分くらいで。

自分が楽しんで気張らなくていいって。

例えばね、WOWOWの同時中継やるでしょ。今日、WOWOW入ってるって聞いたら、もともと「良い格好しい」だから、今日カメラが回ってると思うと、そこで構えてる。そうするとちょっと動いても歌っても何をしていても違うんだ違うんだ違うんだと思ってしまう。でも再放送をゆっくり見たとき、ちっとも悪くないんだよ。だったら楽しむことをベースにした方が絶対コンサートはもっと僕のモノになるんじゃないかって思いますね。

― 気を張るのをやめて何か変わった?

一番僕がほしがってるモノだったんじゃないかなって。だから50周年だけど、ずっと考えてきたポイントって必ずあって、いつもそんなことをしている。

レコーディングでもこんなに長くやってもこれかよってことは発見があるって言うでしょ。今までいったいなにやってんのっていうようなものが発見だったり、レコーディング、あれ深いですよ。どの仕事もそうなんじゃないですか。

― 観客が入るライブでのこだわりは?

こだわりは、観客が入ります!生です本番、楽しみましょう!

― 観客を楽しませるんじゃなくて

僕が楽しむ!僕がほんとに楽しめたらその楽しんでる姿をお客さん見て、もっと楽しくなる。あれ、おもしろいもので、良いステージやった後にメールくるでしょう。永ちゃんがすごく楽しそうにやってて、うれしくなりましたっていうのがよくあるんですよ。なるほどね、やってる人がブスっとしわ寄せてやってるようなステージ見たくないんですよ

パ-っとやってるステージが見たいんですよ。

― 楽しませたい人だと思っていましたが?

その壁みたいなモノに歌手としてアーティストとして結構、自問自答してきたと思うんですよ。その前はやったるぞ、きめるぞというのが強すぎたから、なんだろう、どっか空回りしてない?空回りしてない?というのを僕だけじゃなくて歌を歌ってる人、表現している人が皆さん誰もが1回は、そういうことを考えてるんじゃないすか。

(聞き手)青井実キャスター