🆕新型コロナ「BA.5」徹底解説! 潜伏期間は?うつす期間は?

NHK
2022年7月15日 午後8:00 公開

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。

東京都の専門家は「増加比が継続すると、これまでに経験したことのない爆発的な感染状況になる」としていて、私たちも、警戒しないといけません。

この急拡大の背景にあるのが、「BA.5」です。これまでより感染力が高いとされています。

東京で「BA.5」の疑いがあるウイルスが、初めて確認されたのは、5月30日までの1週間でした。それからおよそ1か月後の、今月4日までの1週間で、全体の56点4%になり、急速に置き換わりが進んでいます。

「BA.5」は、今後も増加を続けるとみられ、来月、8月の第1週には、全国的に、ほぼ全体が「BA.5」に置き換わるとの推定もあります。

この「BA.5」について、①特徴、②症状や重症化のリスク、③ワクチンの効果、④どう備えていけばいいのか、科学文化部の籔内デスクとお伝えします。

Q)まず、特徴について、改めて、教えてください。

A)「BA.5」は、これまで主流となってきたオミクロン株よりも感染力は強いとみられています。

ことしのはじめ以降に広がったオミクロン株は、「BA.1」「BA.2」といいますが、その時点で感染の広がるスピードは高かったですが、東京都のデータの分析では、「BA.5」は、「BA.2」よりも、さらに1点27倍広がりやすく、イギリスのデータでも、1.35倍はやく広がっているとされています。

感染力が強いというのは間違いがなさそうです。

Q)すでに感染し、免疫がある人でも再び感染する可能性はどうでしょうか?

A)「BA.5」には、免疫を逃れる性質があり、感染する可能性はあるとみられます。

「免疫逃避」と呼ばれています。

ウイルスの表面には「スパイクたんぱく質」という突起があり、この部分に、感染やワクチン接種によってできた抗体がくっついて、感染や発症を防ぐことになります。

このスパイクたんぱく質に、「L452R」「F486V」などの変異が起きていて、抗体が結びつきにくいと考えられています。

アメリカ・コロンビア大学のグループの研究では、新型コロナのmRNAワクチンを3回接種した人などの血液を使った実験で、「BA.4」と「BA.5」は、これまでの「BA.2」に比べて、ウイルスの働きを抑える中和抗体の効果が4分の1以下になっていたという報告があります。

さらに、感染やワクチン接種によって得られた免疫は、時間の経過とともに弱まることもあります。オミクロン株に対しても、ワクチンの3回目接種から時間がたてば発症を防ぐ効果は下がりますので、こうしたことから感染が広がっているとみられます。

Q)「BA.5」の症状や重症化のリスクについてはどんなことがわかっていますか?

A)わかっていない部分も多いのですが、もともとオミクロン株は、肺よりも喉の近く、上気道でウイルスが増えやすく、せきや喉の痛みなどの症状が出やすいとされています。「BA.5」は、どのような症状があるのか。これまでと違うのか。まだはっきりとはわかっていません。

重症度に関しては、東京大学の佐藤佳教授らの査読前論文によると、動物実験では、従来のオミクロン株よりも病原性が高まっているという可能性が指摘されています。こうした実験はありますが、実際にはワクチン接種などもありますし、感染した場合に重症化しやすいかはわかっていない部分も多いです。

WHOは「初期のオミクロン株と比べて重症度が変化している証拠はない」としています。ただ、重症度が高くなかった場合でも、感染者数が増えると、入院者数や死亡者数が増える可能性があると、ヨーロッパでも指摘されている状況です。

Q)続いて、ワクチンの効果が気になりますが、これまで開発されたワクチンは、この「BA.5」にも効果はあるのでしょうか?

A)ワクチンの効果は、もともとの新型コロナウイルスに対してと比べると下がりますが、一定程度あると考えられています。

イギリスの保健当局は、「BA.5」に感染した人に対するワクチン効果は、「BA.2」に感染した人への効果と比べて、大きな違いはなかったと報告しています。

この秋以降は、「BA.5」に対応したワクチンもつくられるとみられていますが、アメリカのFDA=食品医薬品局は、今のワクチンは新型コロナに感染した場合に、重症化するのを防ぐ基盤になるとしています。

厚生労働省の専門家会合も「3回目のワクチン接種、高齢者には4回目接種を着実に実施することが必要」としています。

Q)そのワクチンについて、直近のデータを見ていきたいと思いますが、2回目接種済みが80点9%。そして、3回目接種済みが62点3%。

5歳~11歳以下の小児接種は、2回目接種済みが17点5%となっています。

(※7月13日時点:内閣官房まとめ)

こうしてみると、特に、小児接種の割合は、まだ低いようにも見えますが、こどものワクチン接種の現状については、籔内さんはどうみていますか?

A)子どもは感染しても重症化する割合が低いですし、ワクチン接種は努力義務にはなっていないことも背景にあるとみられます。

アメリカのCDC=疾病対策センターのデータでは、オミクロン株に対して、ワクチンで子どもの感染を防ぐ効果は31%と低いですが、重症化するのを防ぐ効果は68%と、比較的高いというデータも出ています。

また、副反応は大人よりも低いことがわかってきています。

いま、学校での感染が増えています。

接種するかしないかは、それぞれの考え方にもよりますが、専門家はワクチンの利益とリスクを比べて、接種するかどうか、子どもの希望も聞いて判断してほしいとしています。

Q)最後に、改めて私たちは何に気をつけて、どう備えるべきでしょうか?

A)「BA.5」は感染力が強いとされますが、国立感染症研究所では、来月はじめには、ほぼ完全に「BA.5」に置き換わってしまうと試算しています。

感染力が強くても、感染経路はこれまでの新型コロナウイルスと変わりません。

今回、行動制限はとられませんが、感染すると重症化しやすい人がいるということを念頭に置いて行動すべきだと思います。

重症化する人を減らすために、換気や検査、ワクチン接種など、基本的な感染対策を徹底することで、なんとか感染の広がりを抑えられるようにしたいと専門家は考えています。