ABBA 「未知の領域へ」 インタビュー全文公開(日本語訳)

NHK
2021年10月29日 午後4:31 公開

ABBAのベニーさんとビヨルンさんにインタビューしました!

ABBA ベニー・アンダーソンさん、ビヨルン・ウルヴァースさん(日本語訳)

聞き手は星麻琴アナウンサー

お時間いただき、ありがとうございます。お会いできてうれしいです

まず、なぜ40年ぶりにABBAの活動を再開しようと思ったのですか?

ベニー(写真左)ストックホルムを離れることなく、ABBAのツアーをやったらどうかというアイディアがあったからです。最初はそのためにホログラムを使うという考えでした。しかし、さまざまな理由でそれでは機能しないということがすぐにわかりました。実現できる別の方法を見つけたので、ILMという会社にアプローチしました。

ホログラムではなく、私たちのデジタル版をつくることできるとういことでした。実際には、3000人収容できるロンドンの特設アリーナで、必要なあらゆるテクニックを駆使して、10人のライブ・バンドと一緒に、デジタル版ABBAをステージ上で再現できるというものです。こういったことをやる予定です。そのコンサートでいくつか新曲を披露すべきではないかと考えました。それで、フリーダとアグネッタに連絡しました。「どうかな?このショーのためにいくつか新曲をレコーディングしてはどうだろうか?」と話したところ、彼女たちも「イエス!やりましょう」と言ってくれました。

ビヨルン(写真右)電話するとは思っていなかった、と。

ベニーということで、2曲、新曲をレコーディングしました。”I Still Have Faith in You”と“Don’t Shut Me Down”の2曲です。結果に非常に満足しています。まだできる、あるべきサウンドを出すことができる、彼女たちの美しい歌声は今も健在で、曲も問題なし、レコーディングも問題なし、ということで、「もう少しやったらどうか、どうなるかやってみよう」ということになりました。それで最終的にはフル・アルバムとなりました。

ビヨルンさん、彼女たちにベニーが電話するとは思っていなかったのですね。なぜですか?

ビヨルンいや、彼女たちが言ったのです。「ベニーから電話が来るとは思っていなかった」と。電話が来るのを待っていたかのように。そうではなかったのですが。しかし、彼女たちも本当に喜んでいました。スタジオに来る前、歌い始めるまでは彼女たちも少し不安だったと思います。うまく行くかどうかわからなかったので。でも、一旦戻ってきて、歌い始め、聞いたら、私たち全員、非常に前向きに、ポジティブに感じました。ABBAらしいサウンドになっていて、今までと同じく、きちんとできるということがわかりました。

ベニーさん、新曲”I Still Have Faith in You”のお話がありましたが、なぜunion(絆)がメイン・テーマだったのでしょうか?どんな絆を考えていたのでしょうか?

ベニー 曲を書くときに頭の中に何かあるわけではありませんでした。音楽はとにかく音楽です。音楽は音楽自体から構成されています。私のほうではまだ歌詞もありませんでした。ビョルンが歌詞を書いて初めて、生まれたものです。

ビヨルン ベニーが送ってくれたデモを聞いたとき、すばらしいクオリティだと思いました。何かビッグなもの、何か実際に存在するものがテーマの曲だと思いました。私たち、そして私たちが経験したさまざまなこと、そしてこれだけ時間が経っても私たちはまだ一緒なのだという事実がテーマであるべきだと思いました。それで、”I Still Have Faith in You”というフレーズは、私たちがお互いに言うことができる言葉だと思いました。

ベニー また、これがアバターのプロジェクトにもつながりました。

ビヨルン そうだね。成功の隅で、新たな魂が生まれました。それが、私たちがアバターに吹き込んだ魂です。

曲はABBAの再結成を反映したものでしょうか?

ビヨルン “There was a union”=絆があったというのは、なんらかの絆という意味です。額面上は、ABBAの絆という意味ですが、他の絆を意味する可能性もあります。

インタビューする星アナウンサー

今では皆さん、70代ですが、新しい曲を作るという挑戦をしようと思った原動力はなんでしょうか?

ベニー 先ほど言ったように、来年のロンドンでのショーのチケットを買いたいと思ってもらえるよう、その可能性を高めるために、私たちは、何かしたいと思っていました。私たちのできる一番いいことは新しい音楽を作ることに違いないと思い、こうなりました。

ビヨルン このプロジェクト自体、私たちがやってみようと思ったのは好奇心からです。

好奇心ですか?

ビヨルン そうです。できるのか?本当にこんなことが可能なのか?自分たちのデジタル版を作るなんて。できるのか、どんな風に見えるのか?それはどのような新しい体験になるのか?それ自体がたまらなく魅力的だと思いました。

ベニー そうです。

新しく何かを始めるのは大変ではないですか?

ベニー いいえ。40年前のほうがもっと簡単だったかもしれないとは思います。でも今回の決断をするのは簡単でした。

ビヨルン そうだね。

ベニー そんなに長くはかかりませんでした。スリリングな経験だからです。まだ誰も見たことがありません。私たちも見たことがないものです。どんなものになるのか、すぐに見ることができますよ。このショーを見に来るのは一種の冒険になると思います。

ビヨルン 私たちはどんな感じになるのか、ちょっとだけ見ましたが、本当に期待できそうでした。私もショーを見たいです。ABBAが好きかどうかにかかわらず、そういうショーがあれば私は行きます。絶対にそうです。

アルバムについてお伺いしたいのですが、タイトルの「ボヤージュ」にはどういう思いが込められているのでしょうか?

ベニー 何にでもタイトルが必要です。他のタイトルと区別できるように。私たちはロンドンのショーの名称がどうなるのか知りませんでした。プロデューサーがアイディアを思い付き、「ボヤージュはどうだろうか」と言ったのです。私たちも気に入りました。コンサートショーのタイトルでもあり、アルバムのタイトルでもあります。

実際に、それはボヤージュ=旅路でした。この40年間、私たちは一緒にいませんでした。ビョルンと私はいろいろなプロジェクトでいつも一緒でしたが、女性陣は女性陣でやっていましたし、グループとしてのABBAは一緒に旅をしていました。

ビヨルン 今も旅をしているところです。旅に出て、未知の領域に突入しようとしています。これがどのように受け止められるのか、私たちにはわかりません。私たちはリスクを取っています。それが旅に出るということです。どこに行くのかはっきりとはわからないまま旅路に出るのです。

今の旅路はいかがですか?

ビヨルン ボヤージュ=旅というのは、最終的にどこに行きつくのかわからないまま、夕日に向かって進んでいくことです。

期待しているような旅になると思いますか?

ビヨルン 旅というのは、単に、今起きていることの比喩、たとえです。

ベニー 単なる言葉です。

ビヨルン 実際に船に乗って旅に出ているのではありません。

ベニー 1972年から2022年までの旅路です。

ビヨルン 旅、道のりです。

わかりました。コロナの影響について現在…

ベニー 社会への影響はあります。私は今まで通りに仕事をしています。私は自分のスタジオに行って、座って、仕事をして、音楽を作ろうとしています。それはいつでも大丈夫でした。ストックホルムではそんなにマスクも見かけません。ここスウェーデンではパンデミックに非常にうまく対応してきていると思います。

ビヨルン いずれにせよ、作詞は一人でやることなので、私は自分の小さな部屋でずっと作業しています。女性陣がレコーディングのためにここに来た時、彼女たちはマスクをしていました。

ベニー 彼女たちはしていました。歌う時はしていませんでしたが。

ビヨルン 歌っているときは外しました。

ベニー そうだね。

ビヨルン でもソーシャル・ディスタンスは確保しました。非常にうまく対処することができました。

コロナの影響でまだ世界が分断されている中で、皆さんは音楽作りをされていますが、こういう状況下でコロナによる制約、影響はないのでしょうか?

ベニー 私たちは必要なことをやってきました。2メートルのソーシャル・ディスタンスを確保する、手洗いをする、混雑した場所には行かない、ということです。

ビヨルン 最初の日、最初の一週間、最初の数週間は大変でした。何なのか、誰にもわからなかったからです。だから、いくつかミスはあったかもしれませんが、その後は、うまく対応しているのではないかと思います。私たちもそうです。先ほど言ったように、曲を作るというのは、いずれにせよ、孤独な作業です。自分一人でやることですから。このプロジェクトにはコロナの影響がありませんでした。

ベニー 今後もないと思います。私たちはやるべきことは全てなんとかできています。ロンドンで影武者=アバターをやりますが、イギリスのほうが影響を受けていたと思います。ロックダウンもありました。スウェーデンではありませんでした。イギリスでは半年ぐらいきちんと仕事ができなかったのではないかと思いますが、ここではそうではありませんでした。こちらは大丈夫でした。

アバター制作の現場

今もコロナでまだ旅行ができないので、コンサートでアバターを使うことはパンデミック下という意味で役に立つのでしょうか?その可能性はどうでしょうか?

ビヨルン はい、もうイギリスへの渡航は可能だと思います。イギリスの人も集まることができます。群衆の大きさは関係ありません。私たちのアリーナは3000席ですが、会場に行くことは許可されています。コロナの影響がどうなるかはまだわかりません。将来的にわかってくるでしょう。ヨーロッパでは人々はもうコンサートに行くことができます。

ベニー 全てもう少し落ち着くよう、祈っています。オープニングまであと7か月ありますので、全て大丈夫になることを願っています。

ビヨルン 日本の皆さまにもロンドンに来て、見ていただけたらと願っています。

コンサートでアバターを使うというのは新しい挑戦ですよね。私たちもどんなものになるのか、楽しみにしています。

ビヨルン アバターでツアーができるというだけではなく、毎晩コンサートもできるというのはすばらしいことです。私たちはその場にいなくてもいいのです。実際に、アバターは私たちです。アバターに私たち自身をかなり注ぎ込んだからです。見ていただき、少し経ったら、人間を見ていると思うでしょう。

ベニーさんはどうですか?

ベニー 私もそう思います。私たちもまだ見ていません。ビョルンが言ったように、途中で作業を見ましたが、今のところうまく行っていると思います。かなりの作業です。今、おそらく800人ぐらいの人が作業をしていて、眉、鼻、唇、髪の毛など全てを、ラインごとにひとつひとつ描いています。私たちの顔にズーム・インすることもできます。100倍拡大できます。それでも非常にクリアです。かなりの作業です。スキルも必要だし、時間もかかります。そしてお金もかかります。でも、いいものになると思います。ビョルンが言ったように、私もこのショーが見たいです。

ビヨルン そうですね。

私の母がABBAの大ファンですが、多くの待ち望んでいると思います。おふたりのお気持ちは?

ベニー 私たちは自分たちのできることをしてきました。ベストを尽くそうとしています。曲を作る、レコーディングをする、ミキシングをする、決定をする、そして、それをリリースします。リリース日は、11月5日です。わかりませんが、とにかく皆さんに楽しんでいただければと願っています。もうやったことなので、それについて私たちができることはあまりありません。もうやり終えたことなので、私たちにできることは何もありません。何も変えることはできません。もう待つだけです。

ビヨルン 私は、ロンドンの「ボヤージュ」ショーのオープニングを本当に楽しみにしています。観客の中に座って、人々の反応を見たいです。素晴らしい体験になると思います。誰も前に見たことのないものになるでしょう。

楽しみですね。

ビヨルン はい、とてもわくわくしています。もしかしたら、いつか、東京でもアリーナを建てられるかもしれません。

最後の質問です。私の両親のような世代にどんなメッセージを伝えたいですか?

ベニー 今も応援してくれてありがとう!私たちが40年前にやったことを今でも楽しんでくれてありがとうございます。最新アルバム「ボヤージュ」も楽しんでいただけたらうれしいです。私からのメッセージです。

ビヨルン 私たちを見てください。あす、マラソンだって完走できると思います。まだ希望があります。目の前に人生が広がっています。

私のような若い世代へのメッセージもお願いします。

ベニー 大歓迎です。ようこそ!たくさんいますよね。アップル・ミュージックやSpotifyを見ると、どの年齢層が夢中になっているのかがわかります。若者が本当に大勢います。40年前はもちろん、20年前でもまだ生まれていなかった人たちです。すごいことです。

ビヨルン そうだね。

ベニー 若い人たちも大歓迎です。

ビヨルン 本当に大歓迎です。私たちも大変ありがたく思っています。私たちの音楽を気に入ってくれてとても感謝しています。

ツアーには若い世代もたくさん来るかもしれないですね。

ベニー 若い世代はハイテクが好きですからね。知っています。若者はハイテク好きですから。来てくれるでしょう。来てくれると思います。

ありがとうございました。

※インタビューは10月20日にリモートで行われました。読みやすいように一部修正しています。

※11月3日に公開しました。

「サイカル」のサイトでも記事を掲載しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/scicul/2021/11/story/story211103/