「サル痘」を緊急解説 症状は? 感染経路は?

NHK
2022年7月25日 午後11:10 公開

厚生労働省によりますと、欧米などを中心に報告されている「サル痘」の患者が国内で確認されたということです。国内でサル痘の患者が確認されたのは初めてです。サル痘とはいったいどのような感染症なのか。科学文化部の籔内潤也デスクが解説します。

科学文化部   籔内潤也デスク

発見の経緯は?

いま分かっていることは、ヨーロッパから帰国した東京都内の30代男性の感染が確認された、ということです。欧米で感染が広がっていて、WHOも「公衆衛生上の緊急事態」を週末に宣言しました。韓国や台湾、タイでも感染が確認されています。日本でも確認されておかしくないと考えられていました。

サル痘の症状は?

特徴的な発疹が全身に出るということです。そのあと、発疹はかさぶたになって治ります。自然に治ることも多く、重症化する人は少なく、欧米では亡くなった人はいないとされています。なお、いま欧米で広がっているサル痘では発疹が下半身にのみ出るケースもあるとされます。痛みは激しいと言われています。

どのように感染するのか?

動物にかまれることでも感染しますが、いま広がっているのは、人から人への接触が中心です。体液・発疹に触れることで感染します。近距離で飛沫を浴びても感染するとされています。

いま、欧米で感染しているのは若い男性が多いです。男性どうしの性交渉で感染が広がったとみられています。ただ、気をつけたいのは、誰でも感染する病気だという点です。WHOは「病気を理由に不当な扱いを受ける人がいてはならない」としています。

治療薬はある?

アメリカの製薬会社が、天然痘の治療に向けて開発した飲み薬があります。この薬はヨーロッパでは、サル痘の薬として承認されていて、日本でも東京・大阪・愛知・沖縄の4か所の病院で「特定臨床研究」という枠組みで投与できるようになっています。

感染拡大についてどの程度警戒すればいい?

押さえておきたいのは、新型コロナのように広がりやすい病気ではないということです。ヨーロッパでは感染が抑えられているところもあります。ただ、ドイツでは、患者が入院していた部屋でベッドの縁や便座などからウイルスが検出されたという報告があります。これに対して、専門家は、コロナ対策で行っている手洗いや消毒、マスクが有効ではないか、としています。現時点では大きくは感染が拡大しないとみられています。落ち着いて対応することが必要かと思います。