今、原材料価格の高騰や原油高などの影響で、全国で給食費の値上げが相次いでいます。
何とか費用を抑えようとする動きもある一方で、最近の給食事情が、それを難しくしていることもわかってきました。
(5月26日放送)
【岐阜県山県市】
山県市の小学校では先月から給食費の値上げに踏み切りました。
これまでは月額で4536円でしたが、それが4947円に。毎月400円あまり、保護者が支払う金額が増えました。
高富小学校 大村統子校長:
「負担をおかけすることなんですが、値上げをしてもいまの給食を続けてもらいたいと言って下さる方が多かったので苦渋の決断をさせていただいた」
【高松市】
給食費を据え置くかわりに、メニューを見直す動きも。
高松市にある小学校の今月の献立表です。
人気なのが、みかんジュース、黒ごまプリン、そして日向夏ゼリー。
しかし今月、そのお楽しみのデザートは休止となりました。
男の子:「物価が給食にまで出るのは悲しいです」
女の子:「私ってデザートとかすごく好きなんで、なくなるのが残念」
男の子:「黒ごまプリンが楽しみにしてました」
【鳥取県若桜町】
自治体が給食費を負担する動きもあります。
鳥取県の山あいにある若桜町では、10年ほど前から給食費の半額を補助してきました。
今回、原材料価格の高騰などで、保護者の経済的な負担が増えているとして、町は無償化に踏み切ることにしました。
対象となるのは、町唯一の小中一貫校に通う116人。
町は、こうした支援策で、子育て世代を呼び込みたいとしています。
若桜町 上川元張町長:
「昨年1年間で、町内で生まれたこどもが2人ということでなんとか子どもの数を増やしたい」
【学校給食歴史館】
値上げの背景には、「給食の歴史」も関係しています。
日本で最初の給食とされているのが…。
学校給食歴史館 吉田昭夫館長:
「文献によると、おにぎりに塩鮭、菜の漬物。明治22年、山形の鶴岡市。貧しくて、お昼にお弁当持って来れないということで、お寺の住職が私財を出して。これでもだいぶ子どもたちは満足していたのではないか」
戦後、食糧事情がひっ迫する中、「シンプルな給食」の時代が続きます。
変化が起きたのは高度経済成長期。給食は、一気に華やかになります。
・アメリカからの小麦粉を利用したソフト麺
・瓶の牛乳、生の果物も
さらに…食生活や食文化について学ぶ、「食育」のためには多くの食材が必要になるといいます。
吉田館長:
「外国のメニューを給食に提供しました。クスクスの煮込みスープ、給食ってこんなのも出てるんです。食育を通して、子どもたちに勉強しながら、おいしく食べてもらうのが目的になっています」
給食の食材を保管する倉庫を訪ねてみると・・。
ここで取り扱う給食用の食材は、年間で1000品目以上。埼玉県内の小中学校などで提供されます。
食育の推進などによるメニューの多様化。
原材料価格高騰の影響を受ける食材も多くなるといいます。
「少しでもコストを下げて給食を提供したい」 そんな思いでいま、学校の栄養士には、油を使わなくても調理できる食材を提案しています。
埼玉県学校給食会 田島和彦常務理事:
「こどもたちのためにおいしいものを提供していきたい。学校給食の現場も大変苦労されている。少しでもお力になれるよう努力はしたいと思ってます」
(5月26日放送)