田中正良キャスターが3月2日(水)、日本に駐在するウクライナのコルスンスキー駐日大使に緊急インタビューしました。
場所は東京都内のウクライナ大使館。言語は英語。
大使は「意図的に住宅地が攻撃されている」などとしてロシア軍の行為を厳しく非難。
その上で「勝利するまで戦う」と述べ、国際社会の支援も受けながらロシアに徹底して抵抗していく姿勢を強調しました。
2日に放送された動画はこちら。3月9日までご視聴いただけます。
--ウクライナでいま何が起きているのでしょうか?
大使:
非常に厳しい状況が続いています。ハリコフでは歴史的な場所も激しく爆撃を受けて破壊された。さらに住宅地も意図的に攻撃され死者と何十人もの負傷者が出ている。
--ロシアは軍事施設が標的だと言っているが、それは真実ではないということですか?
大使:
全くそのとおりだ。
人々はとてつもない怒りをおぼえている。
彼ら(ロシア軍)は多くの民間人を殺した。400人近くの人が残虐に殺された。
ウクライナ全土の全く罪のない人たちだ。
大使:
ロシアはハリコフで燃料気化爆弾のような残虐な兵器も使用している。
さらに精神面にも影響を与えるような攻撃もしてきている。
例えば、キエフでは小児病院が攻撃された。
--子どもがいる病院を攻撃ですか?
大使:
そうだ。そこで死傷者が出たという報告もある。
さらに、学校も攻撃された。
つまり、精神的に非常に敏感な場所を攻撃して、私たちを制御不能に陥れたいのです。
【勝利するまで戦う】
--ロシアとは圧倒的な兵力差があるウクライナですが、欧米各国はウクライナに自国の軍の部隊の派遣は行わないという立場です。ウクライナの人々はいつまでロシア軍に抵抗を続けられますか?
大使:
我々が勝利するまでだ。
どんなに時間がかかってもいい。
我々は長年にわたりロシアの脅威にさらされてきた。
ここで終止符を打たなければならない。
【我々自身の戦争である】
--ロシアの強大な軍事力を前にどう抵抗を続けますか?
大使:
残念ながら我々の戦力はロシアと同等ではないが武力以外にも強大な力に対抗するすべはある。
我々は他の誰にはともに戦うことを求めていない。
これが我々自身の戦争であることは理解している。
我々が求めているのは武器の供与や政治的な支援、そして人道危機を切り抜けるための経済的な支援だ。
(各国は)それぞれができる方法で支援してくれている。
このように友好国の支えもある。
我々は生き残る。
【プーチンは予測不能】
--プーチン大統領が核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げる命令を出しました。ウクライナやアメリカに対し核兵器を使うのでしょうか?
大使:
もちろんアメリカに対し使うことはないでしょう。
即座に激しい報復にあうし、アメリカは自国や自国側の国々を防衛する能力がある。
ただ我々に対してとなると、使用に踏み切るおそれはある。
非常に危険な行為で食い止めることが必要だがプーチンは予測不能だ。彼の考えは誰にも分からない
--その最悪のシナリオはどうすれば防げるのでしょうか?
大使:
彼に“結果”について認識させなければならない、とても厳しい結果が待っていうということを。
重要なのは懸念を抱く各国がそれぞれプーチンに対し無抵抗の人々に対して大量破壊兵器を使用することは決して容認されず虐殺やジェノサイドにほかならないというメッセージを送り続けることだ。
【田中キャスターの取材後記】
ウクライナの大使のことばの端々からは、ロシアの侵略に対する怒りと同時に国を守りたいという強い決意が伝わってきました。
ただ現地では、すでにおよそ400人の方が攻撃の犠牲になっているといいます。
今回の事態を見ていく上で、私たちはロシアの侵略は決して許さないという気持ちとともに、命の大切さを最優先に、世界に冷静な対応を働きかけていくことも重要だと感じます。
※インタビューは3月2日(水)に行われ、読みやすいように一部修正しています。