大河ドラマ「鎌倉殿の13人」~大泉洋さん語る

NHK
2021年12月28日 午後0:00 公開

2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源頼朝を演じる大泉洋さんに和久田アナウンサーがインタビューしました。役作りについて「つらい」と語ったその真意とは?インタビューの放送は今夜(28日)です。

◎大泉洋(おおいずみ・よう)1973年北海道生まれ 俳優、タレント 大河ドラマは「龍馬伝」、「真田丸」に続き3作目  2020年に続き、2021年も紅白歌合戦の司会を担当

--紅白歌合戦の司会、よろしくお願いします。

大泉さん:

そうですね。紅白よろしくお願いします。どうなるんでしょうね。去年は内村さんがいらっしゃって本当に楽しかったです。内村さんからもメールをいただきまして「紅白頑張ってください。和久田さんはパーフェクトなので全て任せればいい」と。

--恐れ入ります。

大泉さん:

私はだから去年とあまり変わらないスタンスで好き勝手に。多分、和久田さんがピシピシッと。

紅白歌合戦は楽しい雰囲気で

--「そろそろお時間です」という役目だけさせていただきます。今たくさんの方がいろんなことを我慢していて、コロナ禍で2回目の司会ということになりますね。どんなステージにしたいといったイメージありますか?

大泉さん:

年末が近づいてきて、コロナのほうも何となく少し収束してきたような気配もあるから、楽しい雰囲気が出るとさらにいいなと思います。ことしはNHKホールではないので、やはり少しずつ変わりつつある年になるというか。

僕も白組のキャプテンっていうことでなくなるし、(川口)春奈ちゃんもそういうことで(紅組のキャプテンでない)ということで、「何かちょっと紅白が変わり始めたな。それが素敵だったね」と思ってもらえるような紅白になるといいですよね。また去年の楽しかった紅白ができるんだっていう気持ちに近いです。本当に楽しませてもらえてるっていう気分かな。

源頼朝は“つらい役”

--ありがとうございます。ここから大河ドラマのお話を伺っていきたいと思います。今回、演じられる源頼朝は武士が政権を担う時代を作った、誰もが知る英雄ですが、演じる前はこの頼朝像についてどんなイメージを持ってらっしゃいましたか?

大泉さん:

私なんてそんなに歴史の勉強もしてこなくて、高校の地理歴史の教員免許は持っているんですけども、大して勉強しなかったものですから、そんなに知らないんですよね。

--いやいや、そんなことはないと思います。

大泉さん:

源頼朝は皆さんが持っているイメージしか私もなくて。(脚本家の)三谷(幸喜)さんからが直接連絡をいただいたんです。今回のドラマも数年前に「源頼朝でお願いします」みたいな感じで「おお、頼朝、ハイハイハイ、鎌倉幕府の征夷大将軍じゃないですか、いいんですか僕で?」みたいな感じでした。だから「ああ、かっこいいな、いいな」と思って引き受けたんですけど、やってみてこんなつらい人かと思って。

--どういうことすか?

大泉さん:厳しいですね、頼朝さんは

--厳しいですか?

大泉さん:

厳しい。正直こんな簡単に引き受けていい役じゃなかったですね。あんまり言わなかったな、三谷さんもそういうこと。

--演じるのがたいへんということですか?

大泉さん:

つらい役ですね。だから引き受けて、「是非是非お願いします」と言ったあとで、台本がきはじめたぐらいの時に、「頼朝さんはどんな方なんですか?」なんて話をしていた時に「本当にとっても有名で、誰もが知っている源頼朝ですけど、頼朝を好きな人はあまりいません」と。とにかく歴史上の人物としては人気がないって書いてありました

--え、そうですか?

大泉さん:

決断がやっぱりシビアですもん、後半なってくると。義経との確執なんて・・・。義経が人気あるから、それは配慮してかなきゃいけないところとかつらいし、全然知らなかった細かいエピソードも、頼朝さんの決断ってすごくシビアですよ。でもそうやって本当に武家のトップに立っていくし。彼の実現したかった世界というのはこれだけ厳しい決断の上にあるんだよねとは思うけど、つらいですね。

ちょっと私、人気なくなると思います

娘には見せられない

--大丈夫ですよ。大丈夫です。

大泉さん:

途中まではいいんですよ。最初の3か月間はいいと思う。私も「ドラマ史上、ここまでおもしろかった頼朝はいない」と思っています。とてもおもしろいですから。こんなに笑わせてくれる頼朝さんはいないと思うんですよね。ただ、そのあとが厳しい。どっちかと言うと、「ゴッドファーザー」みたいになっちゃうから。1月から始まって、そうだな、4月からは娘には見せません。役としてはつらいね。特に娘に見せるには厳しい

--そうですか。「龍馬伝」、「真田丸」に続く大河ドラマですが、架空の人物ではなくて歴史上の実在の人物の役作りはどう行うのでしょうか?

大泉さん:

「真田丸」の時は、(真田)信之さんという、それこそ長野の人が本当に尊敬していて「信濃の獅子」などと言われている方なので、割と今と近いんですよね、やっぱり戦国になってくると

だから演じるときにも、これも(脚本を手がけられた)三谷さんにお願いしたんだけども、「長野の方が本当に信之さんを尊敬しているから、あんまりおもしろくしないでくれ」と言ったわけです。そしたら三谷さんが、「でも仕方ないよ、僕が君を描くんだから」とメールが来ました。

--大泉さんが演じられることを前提で書いてらっしゃったのですね。

大泉さん:

「しょうがない」と言われて、諦めたんです。ただ、どうですか、頼朝さんとなると、あまりにも古いじゃない。しかもあの肖像画ですら今では「頼朝さんでない」と言われていて。

一番のよりどころは三谷さんの脚本

--今回、どうやって臨まれたのですか?

大泉さん:

そこはもう脚本ですけどね。やっぱり三谷さんがどう描くのかというところで、一番のよりどころはやはり三谷さんの脚本だったかなと思います。あとは現場に時代考証の先生がいらっしゃったりするので、その場、その場の頼朝さんの行動だったり、北条家の動きだったり、分からないことはお聞きしたりしましたね。

--演じるにあたって、教科書で語られない人間「頼朝」を丁寧に演じたいっておっしゃっていたと思うんですが、役作りをする中でどんな人物だととらえていかれたのですか。

大泉さん:

この人は孤独だったんだろうなとは一番思いましたね。教科書の中で見ていると、頼朝って強くて、最終的には勝つし鎌倉幕府を開いて、本当に英雄なわけだけど、歴史をたどっていくと、最初にこの人は平治の乱で負けるところから始まるわけですよね。そこでもう家族は殺されて自分は流されて。ある時ふと何かのきっかけで突然、時代のヒーローになるんですけど、ずっと自分の家来、自分を昔からの守ってくれた人がいない人だから、孤独なのかなと思うんですよね。

それゆえの行動というか、本当に人を信じることがなかなかできないと思うんですよね。こどもの時からずっとひとりで流されて生活していて、自分はどうやったら生き抜いていけるのかというのを瞬時にいろいろな人を見て判断していったのかなという気はするんです。だからこのドラマ中でもぱっと義時のことを「お前は弟だと思っておれは接する」と言うわけだけど、やっぱりどこかで「こいつは信用できる」と、人を見る目がすごく確かだったのかなという気はします。でないと、この人は生き残っていけなかったのかな。だから自分で演じていながらも、「この人がもっと幸せなこども時代を過ごしていたら何か違ったのかな」と思うのね。

頼朝さんの決断はやはりつらいですね。この人がもっと愛にあふれていたら北条の時代すら、もうちょっと違ったんじゃないかなという気もしますよね。義時さんが頼朝を見て大きくなっていくから、鎌倉時代がもう少し長く続いたのかなという気もしてしまいます。僕は頼朝を演じているから、どこかで頼朝に同情しちゃうところはありますね。かわいそうだよね。

凜とした小池栄子さん

--頼朝はカリスマ性もあって、冷酷な面もある中で、人間らしさはどのように表現されるのでしょうか?

大泉さん:

やはり三谷さんが上手に描いているんじゃないかなと思います。見ていただければ分かると思いますけど、やっぱり義経に対してどういう思いでいたのかというのはしっかり脚本に描かれていると思います。脚本の中に本当にちょっと描かれているところとかを僕ら役者は拾ってそこを見せていくんでしょうね。

やっぱり上手だなと思いますよ。平家を滅ぼすところとか、この頼朝さんは本当の自分の側近に対してはそこまで感情を見せないんですけど、(北条)政子の前とかで自分の本当の気持ちを見せたりするんですよね。そういうところは人間らしいな思うし、政子さんに対して頼朝さんって特別だったのかなと思いますよね。頭が上がらなかったところはあるみたいですね。それは時代考証の先生もおっしゃっていました。頼朝さんは政子さんにどこか頭上がらないところがあって。小池栄子ちゃんが演じているから余計に説得力がありますよね。

--小池さんとはこれまでも共演の経験ありますが、北条政子と小池栄子さんの共通点を感じるところはありましたか?

大泉さん:

どうなんでしょうね。北条政子さんに会ったことないから分からないけど、小池栄子さんの持つ凛とした強さみたいなものはとても合う気がするし、でもそこにこの人の持つかわいらしさだったり、コミカルな一面とかが存分に発揮されているから、とても魅力的なキャラクターにはなっていると思います。かわいらしい人なんですよ、小池さんって。

若干僕のことを呼び捨てにしますけど、ツンデレなんですよね。「大泉、大泉と呼び捨てにすんな」って毎回怒ってはいるんですけど、そうかと思ったらやたら褒めてくるんだよね。「お前、そこを褒めておけばおれのこと呼び捨てにしていいと思ってる?」みたいな。

源頼朝に見るドリーム感

--ことしを振り返ると、やはり新型コロナの第5波の感染拡大もあって、閉塞感もある1年だったなと思います。頼朝というのは新しい時代を切り開き、自らの力で進むべき道を見いだしていった役柄だと思うんですが、このコロナ禍だからこそ、その頼朝という役柄を通して、届けられるメッセージはどういうものだと思われますか?

大泉さん:

いただいた役を演じるのに本当に必死で、それが結果的に皆さんに何かお届けできればいいなと思います。役者ってあまり「こういうことを伝えたい」って思って演じてないと思うんですよ。特にメッセージを持って演じているわけじゃないもんですけど、そう言っていただけると、これからそういうことも胸に秘めて今日から演じていきます

でも、頼朝さんは自分が作りたい世の中に対して本当に貪欲に犠牲を払っても真っすぐに進んでいく人ではあるので、そこに自分のプランを実現していく力みたいなものはとても清々しい気はします。ちょっと悲しい生い立ちであっても、チャンスをものにしてのし上がっていくっていうところは、ドリーム感はあるんじゃないですかね。皆さんが見て、少しでも元気になってもらえるように演じようと思いました。

北海道に帰ってうるっと

--この1年半、大泉さんご自身も俳優としてコロナの影響が仕事に出たり、それからふるさとの北海道に帰れなかったりなど、コロナ禍での閉塞感や窮屈さはお感じになりましたか?

大泉さん:

そうですね。やっぱり北海道に帰れなかったというのは、この1年半は確かにそうですよね。生まれてこの方、初めてでしたね、あんなに長く北海道に帰れなかったのは。30歳を超えるまでは北海道にずっといたわけですから、短くはなりましたけど、4か月間帰れなかったんですよね。

だから、4か月帰れなくて、久々に仕事で北海道帰った時にちょっとうるっとしましたよ。千歳空港から札幌に向かう車中で景色を見ているときに「帰ってきた」って思ってね。ここまで北海道に帰れなかったことが僕にはなかったんだなって思ってね。ちょっと不思議な感じがしましたね。

あと仕事も完璧に1か月間全くなかったからね。そこは不安にもなったし、みんなそうだと思うけど、僕らの仕事ってこういう事態が起きた時に、一回なくなるんだなってみんな思うよね。いわゆるこのエンタメが本当に有事の緊急事態になった時にいらないんだよね、と皆おそらくちょっと思うんですよね。そうなんだなって。いらないんだよね、とちょっと落ち込むんですよ。

でも、仕事が戻って来た時、みんなが苦しい時を乗り越えたあとに必要にはなってくるんですよね、エンタメって。そこで、僕らだって求めているし、求めているものに僕たちは応えなきゃいけないと思って、「やろう」、「もうひと踏ん張りしよう」という気になるんです。一旦パーンと仕事がなくなっちゃった時にみんな自分たちの仕事を振り返ったんじゃないかなと思います。役者だったりアーティストだったり。

--そこどう乗り越えたのでしょうか?

大泉さん:

今言った通りで、「今は必要ないかもしれない。だけど、必ず必要になってくるからその時にいつでも応えられるようにしておかないとね」と思うし、何も動いてない時に何かできることがないかなと考える時間でもあったと思います。

こんなに笑える大河ドラマはない

--思うように仕事ができなかったり、こんなはずでなかったと思ったりした方も多いと思います。今回、三谷幸喜さんの脚本ということで、今沈みがちな世の中を励ましたり和ませたりする要素も込められているのではないかと思うんですが、演じてみていかがですか?

大泉さん:

とてもおもしろいドラマになっているので、とっても和むんじゃないかなと思います。大河ドラマでこんなに笑えるってことはないと思います。どうしてこんなに、大河ドラマでおもしろくしなきゃいけないんだろうって。あの人は大河ドラマという壮大な設定をもらってずっとボケてるというか、なんかずるいよね。大河ドラマなのに笑い。大河で何してるんですかみたいな。何かそういうおもしろさを感じますね。

「(脚本家が)三谷さんでなきゃ絶対OKでないでしょ」って感じなんだよね。セリフとかも。だって、源頼朝が「ちょっといいかな」って言うんですよ。絶対に言わないじゃないですか。源頼朝が「よし、挙兵するぞ。兵を集めろ」と言って、うわっと盛り上がって。「兵はどうなった?」と言って、「はい、これだけ集まりました」って。めっちゃ少ないんですよ。だけど、みんな「これは幸先いいぞ。やったな」って言った時に頼朝が「ちょっといいかな」と。絶対ないと思うんですよね。

--ないですね。

大泉さん:

すごくえらい人だから「ちょっといいかな」って気をつかう必要ないからね。「ちょっといいかな。聞いていた話と違うんだけど」って。絶対ない。絶対ない。「ちょっといいかな」ということは、自分が話しかけることに対して気をつかっているわけだから。「ちょっと止めて悪いけど」って意味だからね。三谷さんでなければ時代考証の人もOKしないと思うんですよね。

こどもたちが夢を持てる時代に

--いよいよ2022年を迎えますが、新しい世の中を築いた源頼朝を演じる大泉さんとして、これからの時代にどんな願いを託すか。どんな時代が来て欲しいとお考えでしょうか?

大泉さん:

とっても難しいですね。この間、まだ大学に通っている女優さんとお仕事をしてお話をしました。大学生って今、ほとんど学校に行けてないって言うし、友達も作れない、と。大学って、それこそ本当に友達作るっていうのが大事な場所じゃないですか。私は、大学時代に会ったやつと今でも仕事しているわけです。それが、このまま行くともう3年生になっちゃうし、3年生になったら「もう就職活動」となったら友達も作れないで終わっちゃうのかなって思うと、そんなつらいことないな、とは思いますよね。

だから、このコロナという時代の中で本当にたいへんではあるんだけど、もうそういうことがなんとか起きない世の中にして欲しいなとは思います。どうしようもないのかもしれないけどね。それこそ、ことしはSDGsという言葉が街にあふれていますけど、それぞれが本当に気にしていかなきゃいけない時代だよね。それぞれ僕らの意識から変えて行かないと世の中変わっていかないのかなと思います。

例えばことしの紅白もテーマがカラフルってことになって、少し違うふうになって来て、そういう時代の変化は感じ始めました。僕ら、撮影の現場なんかも、昔ってもう少しやっぱりピリピリしてたんですよ。結構、大きな声が響いたもんですよ。もっと言うと、たまに手が出てる現場もあったりしたけど、そういうのってなくなってきましたものね。だから、時代は少しずつ動いてはいるよね。

今のこどもたちが夢を持って生きられる時代に僕たちがしていかなきゃいけないなとは思いますね

--ありがとうございました。

※インタビューは11月18日に収録し、読みやすくするために一部修正しています。

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