新型コロナは、オミクロン株の急激な感染拡大により自宅療養している人が増え続けています。自宅療養で症状が改善しない場合どうすればいいのか。そもそもオミクロン株にはどんな症状があるのか。宮田医師に聞きました。
Q オミクロン株の症状はどういうものがありますか?
咽頭痛、のどの痛みが多いですね。そこから咳が出るようになったり、節々全身が痛い、頭痛、鼻水、匂いがしない、味がしないという症状もあります。
Q 風邪と似ていますか?
普通の風邪のような症状が多いので、ご自身では風邪かコロナかどっちだろうと思うケースが多いと思います。
Q 自宅療養をする際、どういう時に相談窓口に電話すればいいのでしょうか?
当初は、のどの痛みが症状として出るケースが多いと思いますが、だんだん咳が出るようになり、その後、ぜんそくのように咳き込むようになるとひとつの危険信号ではないかと思います。軽い咳であれば、市販薬のせき止め薬を飲んで対処できると思いますが、かなり連続してぜんそくのような咳が出ると、重症化のリスクが高まっていますので、遠慮なく自分で抱えないように医療機関や相談センターなどに相談してもらいたいと思います。解熱剤を飲んでも高熱が続いたりする場合も同様です。そうした場合には、モヌルピラビルを飲んだり、入院したりするなど、適切に対応しなければ、対処が遅れると自宅で命を失うリスクがあるということです。
Q どんな「せき」がリスクがあるんですか?
止まらない咳です。発作のように出て、だんだん息苦しくなるような症状は危険です。
Q 東京都のHPに出ている「生活動作がつらい」とか「全身の倦怠感」というのは、どんな症状ですか?
全身の倦怠感は、「だるい」とか「しんどい」なら自宅療養を続けられると思いますが、体の置き所がないほど辛い、節々が痛くて全身が痛むと訴える患者もいます。そういう方は、水ものどを通りにくく、食べられない、飲み込めないという状況があることが多いですが、これは重症化のサイン。水も飲めないぐらい状態が悪ければ、自分で抱え込まず相談をしてください。
Q 息切れがある場合とは?
パルスオキシメーターがある人は、通常は99%とか98%ですから、93%以下であれば、重症化のサインですので、迷わずに入院先を探すことになります。93%を下回っていれば、ちゅうちょなく救急車を呼んでください。94%とか95%でも咳が伴うと苦しいことが多いので、相談してもいいと思います。
Q救急車は呼んでいいですか?
救急救命士がくることで情報がいろいろ分かって、自宅療養を続けられるという判断ができることもあります。自分ひとりでは苦しくて不安がある場合、安心にもつながるので、パニック状況の場合には呼んでもいいと思います。
Q 風邪と違いはありますか?
普通の風邪であれば、薬を飲んだり、休んだりしていれば改善します。改善がみられず、重症化していく、しんどい程度が風邪と比べて尋常ではないという場合は、オミクロン株による症状が重症化するサインかもしれませんので、なんらかの処置が必要です。せき止め薬が効かない、解熱剤を飲んでも高熱が続くといった場合は、重症化リスクがあると思ってください。そのサインを感じたら、医師の診察が必要です。せき止めや解熱剤が効かない患者に新薬のモヌルピラビルを処方したところ、短期間で症状がおさまり、入院を回避できたケースもあります。適切なタイミングで医師の判断で適切な処置をすれば入院の率を下げることにもつながります。
Qモヌルピラビルで入院を回避できた患者は何日目の投与だったんですか?
初日はのどが痛い程度。2日目にせきが出始め、せき止め薬を飲んでもらいました。しかし効果が現れず、3日目、息苦しさやせきがひどくなり、高熱も出ていたので、モヌルピラビルを処方しました。モヌルピラビルに効果があらわれなければ、入院も検討するつもりでしたが、症状がおさまり、改善に向かったので対応が間に合ったケースです。
こうした治療があることをよく理解して、症状が悪化し続けている人は早めに相談する、急激に悪化した場合には救急車を呼ぶなどして欲しいと思います。
【解説】宮田俊男医師 (クリニックの診療に携わる一方、医療現場の変革を目指し
多方面で活動している。)
【聞き手】
八田 知大リポーター(ニュースウオッチ9)