若い世代の“自己肯定感”は ~君の声が聴きたい~1万人アンケートより

NHK
2022年5月9日 午前11:00 公開

【君の声が聴きたい 子ども・若者はいま何を思うか?“1万人アンケート”】

若い世代の声に耳を傾け、幸せを感じられる社会への手がかりを探るNHKのプロジェクト『君の声が聴きたい』。

子どもの幸福度をはかるユニセフの調査で、日本は精神的な幸福度が38か国中37位でした。

若い世代の人たちは今、何を思っているのでしょうか。

NHKでは、10歳から25歳の1万人にアンケートを行いました。

その結果、今の自分に満足しているか、聞いたところ、「満足している」は半数以下。

また、自分の将来に期待が持てるか、聞くと、「とても思う」「まあそう思う」は半数以下にとどまりました。

いったいなぜなのか。

声を寄せてくれた人たちを取材し、浮かび上がってきたキーワードは「自己肯定感」です。

(5月6日放送)

放送分はNHKプラスで5月13日まで視聴できます。

【若者たちの本音 “自分に自信がもてない”】

『私なんかに何かが成せるわけがない』

アンケートにそう声を寄せてくれたナナさん(仮名)、18歳です。

ナナさん:

「昔から演技をしたりとか、人前で歌ったりとかっていうのがすごく好きで」

幼い頃から俳優や声優になりたいと思っていたナナさん。

しかし、その夢を両親に認めてもらえないと感じ、苦しんできたといいます。

ナナさん:

「冗談なんだろうなって感じで流されて、で、なかったことにされるみたいな。昔から割とその勉強、勉強って感じだったので」

両親に勧められるまま、高校は進学校に入りましたが勉強についていけず、通えなくなる時期もありました。

自分に自信が持てないのは、なぜなのか。

ナナさん:

「自分で決めたことってあまりなくて。割と親にこれ勧められたからそっちでいいかなとか、先生がこう言ってたからこうしよっかなぁみたいなのが多いなって」

「夢のような理想の自分になりたい」けれど、今の自分は「とても不満」。

そう声を寄せてくれた高校2年生のリョウさんです。(仮名・16)

自信が持てなくなった理由のひとつに、親から、きょうだいと比較された経験があると言います。

高校受験の時…

リョウさん:

「『お姉ちゃんのほうが、塾行ってないのは同じなのに成績は高い』とか、自分はできないんだ、みたいに思ってしまうんで.やっぱだめだなあ。自分も嫌いになってきて、つらい気持ちになりました」

リョウさんは、小学6年生からバレエを続けていて、週6日練習に通っています。

それでも、自分に自信を持つことはできないのか…。

リョウさん:

「頑張れるって言っても、普通ぐらいなんで。やっぱり、自分よりうまい人、何人もいるので、あんまり自信は持てないです」

【「自己肯定感」持つには “子どもの声を聴く”】

どうしたら自己肯定感を持つことができるのか。

子どもの発育に詳しい専門家は、自分を受け入れてもらう経験が重要だと指摘しています。

玉川大学教育学部 大豆生田啓友教授:

「声というのは、その子の思いでもあるわけです。声をきちんと聴いてもらった子は、その場に対する安心感や自己肯定感が育ちます。自分ってほかの人から分かってもらえる、聴いてもらえると、すごく自信になっていきますので」

【「自己肯定感】を育む “互いを否定せず 認め合う”】

声をあげやすい場を幼いころから作っている保育施設があります。

青井アナ:「NHKのアナウンサーの青井と申します。5歳、えっと、40歳です。よろしくお願いします」

5歳から6歳のクラスで毎日行われているのが…。

青井アナ:「何するの?」「ミーティング?」

「ミーティング」。自分たちの考えを話し合う取り組みです。

先生:「赤ちゃんってどんなときに泣くか知ってる?」

子ども:「怒ったとき」

子ども:「うんちが出たとき」

子ども:「おしっこが出たとき」

子ども:「起こされたとき」

先生は、子どもたちの多様な意見をすべて受け入れ、次の議論につなげていきます。

先生:「赤ちゃんのときは、うんこ出たって、おしっこ出たって、食べたくなったって、眠たくなって泣いていたのに、どうして泣かなくなるの?」

子ども:「喋れるから」

続くお題は「将来の夢」。

先生:「大きくなってやりたいことは?」

子ども:「えっと、オープンカーに乗りたい」

大切にしているのは、どんな意見でも自由に言い出せる場の空気。

子ども:「大きくなったらさ、天井までジャンプしてさ、天井に手をついてみたい」

先生:「青井さん、できそう。真ん中へどうぞ」

青井アナ:「行くよ、せーの」

子ども:「うわあ~~」

青井アナ:「届きました~」

ミーティングを通じて子どもたちは、互いの意見を否定せず、認め合うことを学んでいくのです。

子ども:「パトカー」

先生:パトカーに乗りたいの? おまわりさんか、ドロボーかが乗れるんだけど、どっちがいい?

子ども:「おまわりさん」

先生:「そうだよね」

子ども:「社会を守るからね、おまわりさんは」

青井アナ:「いま話し合い、ミーティングどうだった?」

子ども:「楽しかった」

子ども:「しゃべるのが楽しい」

子ども:「聞くのが楽しい」

子ども:「おしゃべりをさ、大人が聴いてくれると、なんかいいなと思う」

りんごの木子どもクラブ代表柴田愛子さん:

「大事にしていることは、どの子の意見も否定しないこと、比較しないこと。大人の正しさに誘導しないこと。どんなあんたでも良しとしてあげるということで自分に誇りをもって進んでいけるかなと。やりたいことをやっていく人生は、失敗があっても自分を生きていけるということになると思うのね」

青井アナ:

大人だって、話を聞いてもらったり、自分を肯定してもらったりすると嬉しいわけですよね。それは、子どもたちにも変わらない事だなと改めて感じました。

山内アナ:

すごくのびのび楽しそうに見えました。

10代の自己肯定感ですが、自分も何か意見を言ったり主張をしたりするのに必要以上に躊躇していたかもと思いました。

青井アナ:

自分の一番の味方は自分であって欲しいなと思いましたし、自分も10代の頃、正直将来なんて見えなかったです。ですから周りにいる親だけでなく、友人や大人たちも含めて、話を聞いてあげてほしい。そして、自分からも誰かに声を届ける事が大切なのかもしれないと思います。