ウクライナ情勢 想定されるシナリオは?

NHK
2022年2月14日 午後1:00 公開

緊迫化するウクライナ情勢をめぐって事態打開を目指す動きも出ています。

しかし、仮にロシアが、軍事的な手段をとるとすればどのような選択肢が考えられるのか。

米ワシントンにあるシンクタンクCSIS=戦略国際問題研究所がまとめました。この中ではウクライナ全土の占領から、本格的な戦闘を伴わないサイバー攻撃まで、6つのシナリオがあります。

詳しく見ていきます。

【①ウクライナの東側を占領】

1つめのシナリオは、ウクライナの中央部を北から南に流れる「ドニエプル川の東側まで占領する」というものです。

ドニエプル川を境にウクライナを東西に分割し政権を破壊工作などで崩壊に追い込むことが狙いだといいます。

【②全土を占領】

2つ目のシナリオは、「ウクライナ全土を占領する」というものです。東側を占領するだけでなく西側まで侵攻するというのです。

報告書は1月にまとめられましたが、実際、ロシアはすでにウクライナ全土への攻撃に必要な兵力の70%を配置したという情報もあります。

【③黒海沿岸を占領】

さらに、ウクライナの南にある「黒海沿岸を占領する」というシナリオもあります。

黒海沿岸はウクライナの貿易の拠点にもなっており、ここを奪うことでウクライナ経済に打撃を与える狙いもうかがえます。

【④黒海沿岸+東側を占領】

「黒海沿岸を占領」するシナリオに加えて先ほど見た「ドニエプル川の東側の国土も占領する」シナリオもあります。

黒海の西には、ロシアの影響力が強い「沿ドニエストル地方」があり、ウクライナの隣国モルドバから一方的に独立を宣言し、ロシアが軍を駐留させていて、ここを足がかりに占領するというのです。

【⑤親ロシア派武装勢力支配地域に部隊派遣】

ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力が支配する地域に部隊を派遣する」というシナリオもあります。

この場合、本格的な戦闘は行われませんが、ウクライナ政府に揺さぶりをかける狙いがあるものとみられます。

【⑥サイバー攻撃】

国境周辺から地上部隊を撤収させる一方、「サイバー攻撃」というシナリオも考えられるということです。

この6つのシナリオについてCSISのセス・ジョーンズ上級副所長は、「ウクライナの東側を占領する」シナリオと「親ロシア派の武装勢力の支配地域に部隊を派遣する」の2つのシナリオの可能性が高いと指摘しています。

その上でジョーンズ上級副所長は「東西ドイツあるいは北朝鮮と韓国のようになるかもしれない。一方が親欧米で、もう一方がロシアに支配されたウクライナである。ロシアによる侵攻は新しい“鉄のカーテン”が設けられる決定的な瞬間になるかもしれない」と話しています。

今回ご紹介したシナリオはあくまでもアメリカのシンクタンクによる予測のひとつです。

大事な原則は、軍事的な力をちらつかせてみずからの主張を通すことは、断じて許してはいけないということです。

国際社会は、ロシアに対して強いメッセージを送り、軍事力が行使される事態は何としても避けなければなりません。