たびたびお伝えしているさまざまなものの「値上げ」。
ウクライナ情勢の緊迫化が拍車をかけています。
私たちの暮らしに半年先まで影響が続く懸念があるという見方もあります。
※3月2日現在の情報です。
3月2日(水)放送の動画はこちら。3月9日までご視聴いただけます。
【原油高 こちょうらん】
ロシアが生産量で世界の3位となっている原油。
ウクライナ情勢を受けて値上がりしています。
ニューヨーク原油市場では2日、原油価格の国際的な指標となるWTIの先物価格一時、1バレル=111ドル台をつけました。
2013年8月以来の高値で、価格の上昇に歯止めがかかっていません。
滋賀県の農園では、こちょうらんの農業用ハウスの室温を18度以上に保つための暖房器具の燃料価格が去年の同じ時期の1.5倍近くに。
【小麦高 お好み焼き】
お好み焼きに欠かせない小麦粉。
小麦価格が急騰を受けて店では、春以降価格やメニューの見直しを検討するとしています。
小麦の輸出量は、▼ロシアが世界1位、▼ウクライナが5位。
供給が滞ることへの警戒感から先物市場では価格が急騰しているのです。
【パラジウム高 自動車、スマホ、銀歯】
工業の分野にも及ぶおそれが出ています。
ロシアが世界の産出量のおよそ40%を占めている希少金属のパラジウム。
パラジウムが使われているのは、▼車の排ガスを抑える装置や▼スマートフォン、家電の電子基板、それに▼銀歯にも。
パラジウムの代表的な先物価格は、2日時点ではことしのはじめに比べておよそ40%上昇。市場関係者は、「ロシアが経済制裁の対抗措置として供給を減らすのではないかといった懸念が高まっているのではないか」と話しています。
【中長期にわたる家計への影響も】
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、ウクライナ情勢の緊迫化で私たちの家計は、中長期にわたって影響を受ける懸念が出てきたと指摘します。
熊野さん:
戦争のリスクを織り込みながら市況が上がっているので、どこまで上がるかということは予想がつかないのですが、上がると言うことはいずれ日本にも跳ね返ってくると。
家計で言うと、ガソリンや灯油については、年間7万円の支出があります。
政府はいくらか補助をしてそれを拡充するといっていますが、おそらくこれだけでは家計に対する痛みは緩和されないと。
熊野さん:
原油、灯油以外に18万円くらい電気ガス代というのがあって、これはもっとおそらく上がっていきます。
4月の電力料金が発表されていますが、基本的に去年の8月から4月にかけてもう20%上がっているんですね。
これは下手すると25%くらい上がる可能性があります。
エネルギー全体の価格上昇が今後は家計への重し、消費マインドを冷やす要因になると思います。
ガソリン・灯油以外の部分、電気代ガス代の上昇で家計への負担感が出てくるんじゃないかと警戒しています。
ガソリン・灯油はだいたい2、3週間時間差をおいて(影響が)やってきます。
電気代は3か月から6か月にかけて、少しこう長いスパンで悪影響が出てきますから、この3月の悪影響っていうのはおそらく9月10月ぐらいまで価格上昇が尾を引くのではないかという意味ですね。
ウクライナの今の波乱は、われわれの暮らしにも半年後まで重しになってくることが警戒されます。
熊野さん:
ロシアは資源国で、日本とロシアの間だけでみても、一番がエネルギー、2番が非鉄金属、この中にはレアメタルといわれて、ロシアでしか主に産出できないものがあります。
主にパラジウム、ニッケル、といろいろな希少金属が供給が途絶えるのではないかと。
あるいは、悪い連想としては、ロシアは経済的な制裁を受けていますから、その報復措置として、ロシアが日本を含めたG7諸国に輸出禁止をしてくるのではないか、と。
そういう連想もレアメタル、金属の市況を上げているという背景があります。