ロシア海軍の旗艦「モスクワ」沈没の衝撃 その意味するところは

NHK
2022年4月17日 午後6:00 公開

4月15日放送 見逃し配信は22日まで

黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が沈没したことをロシアが公式に認めました。

首都の名がつけられ、艦隊の指揮をとってきた旗艦を失ったことで、ロシア軍の士気に影響を与えるだろうと、専門家は分析しています。

ロシア海軍の黒海艦隊の旗艦「モスクワ」。

巡航ミサイル16発や魚雷などを搭載でき、ロシア海軍の主力と位置づけられています。

この「モスクワ」について、ロシア国防省は14日、「火災で船体が損傷し、港にえい航される途中だったが、船は安定性を失い、海が荒れる中で沈没した」と発表しました。

一方のウクライナ側は、「ウクライナ製の対艦ミサイル『ネプチューン』が『モスクワ』に命中した。『モスクワ』は大きな損害を受けて火災が発生し、海が荒れていたことに加え爆薬が激しく爆発したため、バランスを崩して沈没し始めた」と説明しました。

アメリカ国防総省のカービー報道官は。

「黒海艦隊にとっては大打撃だ。ロシア軍の戦力に影響を与えるだろう」。

「モスクワ」の沈没は、今後の戦況にどう影響するのか。

軍事戦略に詳しい防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんです。

青井キャスター:

「ズバリ、モスクワ沈没の情報の受け止め教えて下さい」

高橋杉雄さん:

「これでロシアの黒海方面における海軍力が大きな打撃を受けたというのが最初の印象ですね。次にウクライナのミサイルによるのか、爆発事故なのかという情報が錯そうというか2つの情報があるわけですけども、ウクライナが攻撃した可能性も十分にあって、きょうの報道なんかを見ると、(黒海艦隊の)ほかの5隻の船が沿岸から遠ざかっている、遠ざかっているとすればおそらくそれはウクライナ側のさらなるミサイル攻撃を恐れてということでしょうから、だとすればウクライナの攻撃が成功したということ」

1983年に就役した巡洋艦「モスクワ」

ソビエト崩壊後の1999年、ロシア黒海艦隊の旗艦となり、指揮と防空任務で重要な役割を果たしていたとされています。

青井キャスター:

「モスクワ、という船ですよね。どんな特徴があるものなんでしょうか」

高橋杉雄さん:

「1980年代の船、もう自衛隊ではほとんど存在しない年代の船ですからそれぐらいの船をまだ使っていなきゃいけない。決して強力な海軍と言えるわけではない。ただ黒海ということだけで見ると相手はウクライナ海軍だけですから、圧倒的な力になりますね」

青井キャスター:

「十分事足りというか」

高橋杉雄さん:

「相対的に見ると黒海の制圧のうえでは非常に有力な船であった」。

今回、ウクライナ側が攻撃に使用したとしているのが対艦巡航ミサイル「ネプチューン」です。もし、モスクワに命中したとしたらどんなことが起きたと考えられるのか。

高橋杉雄さん:

「ロシア・ソ連型、および中国型のけっこう特徴で(搭載している)このミサイルものすごく大きいんですよ。何で大きなミサイルを積んでいるかというと、アメリカの空母を攻撃するために、長射程で、高速で突っ込んでいくミサイルが必要なんですね。アメリカのトマホークなんかは垂直発射スタイルといって、船の中に縦に入りますけど、少なくとも80年代のソ連では、そういう形の搭載できなくて、しかも相当大きい、直径も大きい、確実にアメリカの空母をたたく。だから逆にいうと、ここに1発食らったら誘爆して全部だめじゃんというのは、昔から言われていましたね」

青井キャスター:

「そこに当たった可能性は?」

高橋杉雄さん:

「食らったら1発で吹っ飛ぶんで、おそらくこっちじゃないかと思うんですね、船体じゃないかと思う。ミサイル自体が接近してきて、1回上に上がって迎撃をかわして突っ込むんですけど、突っ込むのは、できるだけ水面に近い位置に穴を開けるように突っ込むんで、それを食らったんだろうと思いますね」

ロシア軍にとって大きな痛手とみられる、旗艦「モスクワの沈没」。

青井キャスター:

「首都の名前を冠した船が沈没、これプーチン大統領の心境というのはどう察しますか?」

高橋杉雄さん:

「平常心ではいられないと思うんですよね」

青井キャスター:

「それぐらいのインパクトだと」

高橋杉雄さん:

「であるから事故で沈んだとしても最前線で事故で沈むということと、ウクライナ軍に沈められるということと、どちらもカジュアルに言えば恥ずかしいことなわけですよ。ロシア海軍というのはもともとかなり消極的な作戦を中心とする海軍でもあるので、これによってやはりなかなか積極的な行動は取れなくなるのかなというように思います」

高橋さんは、「モスクワ」の沈没で南部での戦況については、ウクライナが有利になる可能性があると指摘します。

高橋杉雄さん:

「南部ヘルソンからミコライウにかけても引き続き激しい戦闘が行われています。S300(「モスクワ」の防空システム)によるカバーが失われるということはそこが弱くなるので、ウクライナ空軍がロシアの地上部隊を攻撃できる可能性が高まってくるということでこの南部戦線の動向には大きな影響を及ぼすような可能性があります」

一方、激しい戦闘が続く東部では依然、厳しい状況が続くと見ています。

高橋杉雄さん:

「全体としては東部の戦線の重要性は動かない、あるいは、より大きくなっていく。ロシア軍はすべての戦力、キーウ北方から転用した兵力を含めて、ここ(東部)のウクライナ軍を撃破しようとしている。東部戦線の戦いでロシア側が決定的な勝利をつかんだ場合にはキーウ攻略を狙った作戦をする可能性があるので、どういう判断して行くのか注目される」