“ジャマおじ”“ジャマおば”を回避せよ~安宅和人さん語る

NHK
2021年11月29日 午後2:30 公開

ウィズコロナ・アフターコロナを生き抜く術、仕事術を慶応義塾大学環境情報学部教授でヤフーCSO=チーフストラテジーオフィサーの安宅和人さんに聞きました。

◎安宅和人(あたか・かずと) 1968年富山県生まれ 慶應義塾大学SFC教授でヤフーCSO 「シン・ニホン」の著者

安宅和人(あたか・かずと) 1968年富山県生まれ 慶應義塾大学SFC教授でヤフーCSO 「シン・ニホン」の著者

山口周さんのインタビューはこちら

11月29日に放送されたインタビューの動画はこちら

--コロナ禍によって日本の何が浮き彫りになったとお考えですか?

安宅さん:

3つくらいあると思うが、一番大きいのが平時と有事のスイッチ能力がほとんどないこと。基本的に平時のことだけを考えて社会が回っていて、有事になったときにすっと変わることができないというのが一番歴然となった。

2つめはデジタル問題の議論の裏側で、何でも人でやろうとしてきた社会だと。人かつアナログ。機械でやれることも人でやってきた。

3つ目は、われわれがこのまま何となく我慢してれば何とか楽になるという体質があるということ。我慢していると、息を止めていると過ぎ去るという気でみんな生きている。平時と有事のスイッチの問題の裏側なのかもしれないけど、放っておいたら何かもとに戻るんじゃないかという意識がとても強い。そんなことないわけ。

今のCOVID(新型コロナウイルス感染症)の出現は明らかに構造的な問題で、人間と環境のぶつかりの激しさが増しているせいであって、もっともっと来ることはほとんど確実なのに、いま我慢してれば去って行ってもとの社会に戻るという気持ちがすごくある。そんなことない。もっとくる。冷静に考えると。そういう、我慢して今はなんとかという発想がとても強いと、この3つはとても感じる。

2つ目はデジタルの問題に見えているものの本当の背景は、自動化したらいいこと、もっと簡便になればいいことを一切やらない

--3つ目について、それはなぜでしょうか?

安宅さん:

根性論的な理由なんじゃないか、と。今までとりあえず我慢してたら「元寇も去ったし」みたいな考えが何となくあって、でも冷静に考えたら明治のときも開国のときも、戦争に負けたときもそうだけど、我慢して過ぎ去ったのではなくて、くちゃくちゃなのでめちゃくちゃいろいろやってるから、こうなったけど、そのことは記憶から落ちている。

大量生産ではなく社会刷新が本当の勝負

--最近は?いまの状況はなぜ起きたとお考えですか?

安宅さん:

最大の理由はおそらく普通の産業革命の、あらゆることを刷新していくことで、日本は勝ち切ったということ。前の産業革命における最後の勝者は日本。世界一速い、デジタル化したスマートデバイスがいっぱい日本から出てきていて、この波が自分たちの子どもだと思っていた。でもそうじゃなかった。異質な変化であることを理解できていなかったというのが大きい。2つ目は、いまの世界で富の生まれ方が根底から変わったことを理解していなかったことが大きい。目に見える世界で「大量にものを生産することが勝負」みたいに考えていた。そうじゃない。

実際にこの20年起きたことはインターネット、データ、AIなどを活用して今の社会を刷新することができるかどうかというのが実は本当の勝負。ただでかければいいというのは中国とかインドに勝てないし、先進国の仕事ではなくなっている。新しいソフトウエア、データ、インターネット、デジタルと一連に言われているものを使い倒して刷新できるかどうかが、求心力の中心になることをとらえきれなかったのが大きい。 その話は。われわれはまったく受け入れることができないまま今にきている。

3つ目は2つ目の延長で、そういう世界観であれば、そこに即した大きい箱で決まってることをやる人を育てることが正しいとなってしまう。どちらかというと、軍事教練的というか、組織で通す所で回りやすい、ここの仕事をやると考える人を育てる教育をしていたが、そういう人じゃないわけ。 どちらかというと枠組みを変えてどういうふうにしていくか仕掛けていく人、狭い領域で 2つも3つもつなぎ合わせてやっていく人が必要だが、そっちをやっていない。

最初に一気にお金を入れると勝負がつく

--日本は何がいけてないのでしょうか?

安宅さん:

スケール型で勝負できると思っていることで、いまはデジタルなりデータなりAIなり使って刷新できることがカギであり、そこがすべての富を吸収して変化を起こしているとき、それは待っていれば過ぎ去ると思っていることで、今までのタイプの文系寄りの人材育成で、そっち側は放っておいていいと考える発想でやってきたことがすべて。

もう1つつけ足すならお金の入れ方。いわゆる大量投資型のビジネスには一見見えないけどやっぱりスケール、特にデジタルサービスはあるスケールを取り切ったら、一気に楽になって、あとはチャリンチャリン儲かるビジネスにかわる。

プラットフォームというのは最初に一気に金を入れると勝負がつく。これは大量生産の方式のときに銀行が大量に貸し付けをすることによって「線路も引いたし、発電所もつくったし、道も作ったし」と言ってるのと似てるんだが、その入れなきゃいけないスピードがけっこう速い。今までの金融システムではうまくいかなかった。これを特にシリコンバレーを中心とするベンチャーキャピタルのまったく新しい金の入れ方を成し遂げたので、一気にスケールをとることが可能になっていて、それに対しわれわれすべはなかったというのが長らく続いてきた。

日本は先に仕掛けてこなかった

--考え方の部分で日本は何が足りなかったとお考えですか?

安宅さん:

繰り返しなんですけれども、スケール型で何とか勝負になるという発想が間違っていたことを理解できなかった。それを事実として受け入れていないことが大きい。 今テスラ(アメリカの電気自動車メーカー)が車を、エネルギー業界そのものを刷新してるように、デジタルの力、あるいはデータやAIの力によって業態の垣根が壊れて刷新されていく過程にある。

ハードの延長で何かやっていたらできるわけじゃなくて、実は(日本は)そこが崩れてしまうことを見越して先を仕掛けることを基本的にやってこなかった。高級カメラは日本が相変わらず市場の大多数を持っているが、カメラの市場はつい20年ぐらい前まではカメラがあってフィルムがあってプリント。これがカメラ市場だった。今は本当にデータを見るとびっくりするが、99%以上スマートフォンでとって、それをクラウドに上げて、それをインスタグラムでシェアするわけ。根底から組み変わった。みたいなことがあらゆる業界で起きている。

今までの産業区分のままで、ただスケールというのは全く違う話であって、隣り合う関連のところまで刷新できるかどうかが勝負の時に、そのことは本筋じゃない、今までの産業区分のままでただ考えていればいい、変革なんか考えている暇があったらとりあえず今は頑張ってコストダウンだ、みたいな発想だと、それはならない。 今はさすがに気づいている人が多いと思うが、この半年か1年くらいで。気づくなら10年、15年前に気づかなきゃいけなかった。

ガラガラポンの時代が再び 希望もてる

--それは国民性の問題でしょうか?

安宅さん:

国民性があるとは思わない。今はとりあえず、そういう軍事教練延長でスケール型の人材育成で育ってきた人が社会のどまんなかにいて大多数なので、みんな自分の延長で生きていければ楽だから、それでいいんじゃないかと思っている人がほとんどで、これが国民性なのかはよく分からない。なぜなら戦争が終わったとき、抜本的に刷新する人が山のようにいて、アジア人の下着も全部変わり、世界の電気製品も劇的に変わり、車も圧倒的に低燃費に変わったし。 あらゆるものを僕らは刷新をかけてきた。世界そのものを変えた。 何もかも。そのようなことをやれる時代があったことを考えると国民性だと考えることは間違っていて、今の時代の人の特質。そこをもう1回ガラガラポンの時代がきたということ。

今の状態がそうであって、ただ希望はけっこう持っていて、今若い人たちで「仕掛けていこう」「変えよう」という人がどんどん増えているのは間違いない。残念ながらまだ国に閉じた話が多い。僕らがなぜこれだけ豊かな国になれたか、全世界的な刷新を激しくやったから。ほとんどの領域で。カメラもそうで、レンジファインダーが世界制覇してた時代に、 一眼レフという海のものとも山のものとも、微妙なもので一か八か敵に勝負して、圧倒的に世界をかえた。かれらは全刷新を行った。

ソフトとハードがくっついた革新であって、しかも今までの時計というより時計+なんとか、車というよりも、車とエネルギー、あるいは空間の持続可能性みたいな境界をこえた変革だと強く認識してやっていけば、一気に変わる。50年間分のマインドセットが一掃されれば、そこの前までの人たちは割とそれなので。1945年とか70年みたいな人がいっぱいいれば、また戻る。こういう時はあります。25年ぐらいですか、僕らは寝てきた。少なくとも1997年までは日本はトップだったので、この25年分目覚めれば、日本はいける

われわれの世界に対する貢献の筋が変わってしまった、どういうふうに役立つとこの世の中に意味があるのか、どういう人が必要なのかわかりシャキッとすれば、いちばん大事だのは言われたことをやるよりもすてきな未来を描いて、それを仕掛けることで。戦争直後に死ぬほどやったことを同じようにまたしかける。振り子がこっちから振り切ってまた戻ったところ。今は臨界点であると信じたい。 NHKが取材にくるということは臨界点が近いと思うので希望を感じます。

どけどけ!“ジャマおじ”“ジャマおば”

--岩盤のようなシニア層は…

安宅さん:

量的には岩盤チックに見えるが、ひとりひとり話すと誰ひとりそんなに反対しない。ただどうやって自分がやればいいのかわからないので、あまりにも量がいるので岩盤チックに見えている。その方が何もしないと“ジャマおじ”、“ジャマおば”に見えるのは事実。彼らの心は邪魔しようというつもりはないが結果的に邪魔しているだけ。

志は全然そんな悪い心の人がいるわけではない。変容をアシストすることはここから先の起爆になると思う。若い人がもっと仕掛けることも考えた方がいいし、世界的にこの国が貢献するという何か、どんな領域でもいいが世界的に刷新するという意識でやる人がどんどんふえてくるとめちゃくちゃいいと思う。当初の仕掛けていた人がまだ死に絶えていないはず。まだ70代くらい。その方々の経験値も含めて持ってきて、若い人を支えて、その真ん中の人は心の刷新をして、スキル刷新をして。日本人は学習能力が高いので。自由方式ということでいくといくのかなと。

基本的には希望しかない。1つのポイントは、今デジタルとか言っている場合じゃない状態で、世界は。COP26(気候変動対策を話し合う国連の会議)とかやってるが、明らかにCOVIDもそうだが、人間と地球との対立が激しすぎて、ここをうまく合うようにするってめちゃくちゃ重要。その視点で考えて加速できるかが1つ。あとそれはできる限りの努力はするけど、残念ながらパンデミックやディザスター(災害)が増えるのはほぼ確実。パンデミックはすごい勢いで過去30年増えてきた。エボラ出血熱・デング熱・SARS・MARS、今回のCOVID・・もっと増えると思います、構造的なものなので。ディザスターも温暖化はあるところまで絶対すすむので、増える。

パンデミックや自然災害への備えは

ディザスターやパンデミックに対して耐え得る社会、ディザスターレディでありパンデミックレディの社会をうまく作れるかが問われてるところで、僕らがやれることはたくさんある。その視点であらゆる商品やサービスや世界を変えることができると途方もないチャンスがある。そこの手段として、デジタルデータAI、ソフトウエアの力を使うのももちろんだが、そこの違う局面にいま入った。完全に不連続ですよ、これ。ある種の隕石的局面であって、ここをうまくしのげれば人類は生き延びれる、しのげなかったら人類の数を削るかひとりあたりの環境負荷を下げるしかない。

ここで勝負できると、とても大きい。 実は大きい勝ち筋になる。つまりソフトウエアに閉じ切った話じゃなくて、リアルワールドをソフトウエアやデジタルの力を使って全部刷新できるかどうかが、僕らの人類の未来に、残すに値する世界を残せるかどうかのポイントだと思う。

変化か代謝か

--ミドルマネジメント層の覚醒も必要なのでしょうか?

安宅さん:

うん。阻害しているとは思う、結果的には。意識なく。何の悪気なく阻害していると。ただ普通に考えると社会には代謝のメカニズムがあるので、メタボリズムが。その方々は変わるか代謝されるかのどっちか。変わるんじゃないかと思いますけどね。

実際、今アメリカやシンガポールに僕の周りの若い優秀な連中は抜け出していっている。それでいいのかな。せっかく高付加価値型で劇的に収入を得ることが可能な局面が来ているのに今までの大量生産ハングリー型の思想の延長でしか未来が描けないととんでもない話。今、未来に希望を持てることを仕掛ければ、少なくともキャピタルから巨大な金が入ってくるし、金も回りやすいので利益も出やすいので、もったいない。

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才能ある若い人に席を譲ろう

--“ジャマおじ”、“ジャマおば”にはどう対応しますか?

安宅さん:

革新を起こすというマインドもなく、新しいデジタルに関する見識もなく、かけあせて何かやろうとしなければ何も起きない。しない方々は本当に邪魔になっているかもしれない。その方々は普通に考えれば若くて才能のある人に席を譲ってその人たちを支える側に回るべき認めてお金を入れて人をつなぐ・・これが多分今のミドルやシニアマネジメントがやるべきこと。 どんどん認めてあげて、お金を入れて、人をつないであげる。そのサポーター側に回ることが一番重要。これができないとなると本当に「あの人がいたから起きるべきことが起きなかった」となる。

でも戦後だって明治だってやったわけで、 今できない理由はないという見解。できる。バトンを渡す。僕も邪魔になりたくないので、ただ励まして人を紹介して。僕は金持ってないけど、つなぐことはできる

変革者はいつだって少数派

日本を変えようと思う人はどんな時代だって少数派。僕の周りはそういう人ばっかりだけど、いるはいる。その1%だか2%の変わった人たちはいっぱいいる。そういう人たちを見ながらやっていけばいい。そんなに心配しなくていい。その人たちが岩盤のように何も変わらないとなると暗いので、少なくとも若い人たちがおもしろいことを仕掛けようとしていたら邪魔しないこと。

僕は「日本がどうやって生き延びられるのか?」みたいな質問をやたら受けるんだが、国も含めて、そんなことを考えてるから生き延びられない。 それが間違った問いなんです。われわれはどういうふうな視点で未来から見たときにこの世の中に貢献できるかを考えないといけない。それをやってたら勝手に後で富も何もかも降ってくる。

その視点で今、自分が関わっている産業がどうなるのか考えて刷新していけば、勝手によくなる。デジタルとは限らない。どこで僕らは劇的に貢献できるかという視点で見ると、やることは山積み。どんどんやっていく。

このままいけば20~30年で北極の氷が全部溶けると言われていて、そうなれば水面が1m上がる世界中の大都市は東京も含めてかなり海岸沿いにある。ニューヨーク、東京、大阪、名古屋。大都市は海岸沿いにあるもんです。じゃあどうやって守るのか。これは考えなきゃいけない。都市を水没させるわけにいかない。そこの問題もやるべきことは大きい。

本当に環境省の言う通り風速70m以上の台風が普通に来るなら、ふつうの街や建物はもたないので、どうやってプロテクトする(守る)のか、全世界的に解かないといけない。特に太平洋の台風の半分以上が集中する日本では大問題。それは解くべく問題としてわかってるんだから、やればやっただけすごいことが起こる。単純な強靭化の問題ではない。しなやかさの視点でどう空間をつくればいいのかということもあり、そういう状態でもやられない田畑を考えるととても大きい問題。

解くべき課題は山積みであり、これは半ば約束された未来なので、そこに対してどういうふうに未来の我々の子や孫たちが生き延びれるかという視点で仕掛ける。そうしていったら勝手に日本はこの世の中で、あの人たちがいてよかったという社会になると思いますし、それにかかわっている人たちには巨大な富も振り込まれる。 国家も豊かになる。

そこに貢献できずに今単純でデジタル化で遅れてるから追いつこうという話では追い出される。それではない。それは手段であって、どういう世界を作りたいかこそが大事。そこに対し寄与できること、ちっちゃくてもいいからやる。スケールすれば大きい価値があるので。

空いた時間に何を仕掛けるか

--普通に働いているサラリーマンは何をすればよいとお考えですか?

安宅さん:

安定した仕事があるのはすばらしいことで、「おめでとうございます」と。僕は普通の給与所得はベーシックインカムと考えるべき。あした路頭に迷わないという安心を与えるもの。ただそれが24時間365日張り付かないといけないものではなくて、仮に1日8時間、週5日40時間張り付かなければならないとしても、たった40時間。それは1週間、24時間かける7から比べると数割にすぎないわけで、残りの時間は大量に空いている。ここをどう使い倒すかを問うべきだと思います。

しかも今みたいな時代において特にホワイトカラーの方はかなり自在性があがっているはずで、完全に元に戻る職場ってそんなないと思う。今この職場も空っぽで戻らないね。今週200人集める会議をハイブリッドでやったら(リアルの)参加者がゼロだった。空いた時間が結構あるんで、そこで何を仕掛けるか考えて、だれがどういうおもしろい人がいるか、支えるか考えて、一緒にやると。その前に学ぶべきものは学んでいただいて、現場に出てもらう。空いてる時間はたくさんあるじゃない?そこを使ってやる。

やばい未来をつくろう

--“じゃまおじ”、“じゃまおば”になってはだめですね。

安宅さん:

街にいでよ、野にいでよ。いろんな外に出ていろいろな話を聞いて、この人たちは何でこんなことに熱狂的になってんだってことをいろいろ聞いてみる。日本も国外も含めて。始めは多分引っかからないと思う。何を言ってるかわからなくて。いつか引っかかる。そこから芽が出て木が生える。これが出てきたらきっとそれは未来につながる。この感性をまずつくっていただいて、空いてる時間で。そこで面白い人がいたら一緒にやる。すてきな人がいたら自分が支えてあげる、いい人を紹介できそうなら紹介する、お金があれば流し込んであげる。なにかやってると未来は変わってくる

特に50歳くらいまでの人たちは世界と日本が激しくつながっていた世代なので世界とのやりとりに慣れている。あと対人交渉が強い。これが強み。今の若い人は「電話しろ」って言うだけで「パワハラです」っていわれるらしいから。つまり人をつなぐ力って途方もない経験として残っていて、実際に動き回る力もある。 そこを補完してあげる。あと交渉。契約も結構難しい。あれは大人の仕事。そこは絶対に助けられる。やれることは多い。うまくチームを作る、若い面白い人たちと

国内にいなかったら国外の人も捕まえてチームを作る。日本人が「ちょんぼしない」というある種の信頼は途方もなく強い。逃げたりしないとか、言ったことは本当にやるとか。炭素削減の日本の目標だけが必達なんだと思う。世界の他の国は本当に目標で、日本はゴール。これはだいぶ違う。本当にやっちゃう国なので。このマインドセットで世界を変えていくなら、途方もなく大きい。どういうことでやばい未来をつくるんだと、自分の周りで考える。本業でもサイドワークでも趣味の領域でもいい。それをやっていただくとすごくおいしい未来がやってくる。

混ぜるな危険

--ダメなふるまいとは例えばどんなことでしょうか?

安宅さん:

その人たちが譲るべき仕事を譲らないのはダメ。サステナビリティ的なトランスフォーメーションをデジタルでやりましょうとなったとする。そこを自分が描けないとなったら、どう考えたってそれが得意なやつに考えさせて中心にならせるべき。その人たちを据えることなくふんぞり返ってるのは極端にダメな例。そういう人がもしいるとしたら、とても困った状態だろうなと思う。

古く長い組織、例えば100年、200年続く組織、うどん屋、うなぎ屋みたいなところがあって、そこのタレに流し込むと何を入れてもそこの店の味になっちゃう。だから器をわけろといいたい。大きい組織の場合は。大きくなくてもわけた方がいい。歴史のあるところは器をわけたほうがいい

まったく新しい革袋に新しい酒造りを行うみたいなことをやる必要があって、そこにアドバイスも何度かするけど、完全に血が混ざらないようにするのはめちゃくちゃ大事。そうすることによって新しい人たちが新しいロジックで羽ばたけるようになる。これは中規模以上の企業向けのアドバイスなのかもしれないが、 ここは絶対に割ったほうがいい。

ウィズコロナ時代の収入構造

--ウィズコロナ・アフターコロナと言われるが、生き抜く術をどう考えますか?

安宅さん:

どのように考えても1、2年はコロナ状況がつづくと想定通り、2年近くたってまだ続いている。多分完全に消え去ることはない。半年か1年に1回ずつ接種する、「ことしのCOVID」という時代が当面続く。それはウィズコロナでありウィズパンデミックな状況。今ものすごい勢いで、永久凍土地帯が爆発してて、25m、50mの大きいクレーターがいっぱい発生している。そこに炭そ菌だか天然痘だかあらゆるものが噴き出ている可能性がある。だからパンデミックはもっと増えるとは思います。 生活空間についてはもっと開疎というが、ある程度オープンと疎の状態を実現することが必要。 特に人が集まってる都市空間で開疎にするのが超絶重要。

ウィズコロナ、アフターコロナでは、一本足打法的な収入構造を断ち切ったほうがいい。定職があるのはいいことだが、2本目、3本目の柱を立てて置いて、アセットマネジメントで自分の資産を回すようにして、2~3年は何とか生き延びれるような状態をつくっておくのは常に必要。

--ありがとうございました。

聞き手は経済部・古市啓一朗記者、ニュースウオッチ9・中江文人ディレクター

インタビューは都内のヤフー東京本社にて