🆕青井キャスタヌが取材 “䞖界の頭脳が集結する最前線”

NHK
2023幎3月8日 午埌3:25 公開

幎、ノヌベル生理孊・医孊賞を受賞したスバンテ・ペヌボ博士が客員教授を務める沖瞄科孊技術倧孊院倧孊オむスト。ペヌボ博士は「は非垞にダむナミックな組織。䞖界䞭から極めおすぐれた才胜のある科孊者を呌び蟌んでいる」ず話しおいた。日本の倧孊の䞭で異圩を攟぀ずは。研究の最前線を青井キャスタヌが取材した。    

青井キャスタヌずスバンテ・ペヌボ博士

《巚倧キャンパス内でどんな研究が》

沖瞄科孊技術倧孊院倧孊は沖瞄県恩玍村にある。「ここは異囜の地のリゟヌトホテル」それが第䞀印象だった。倧孊党䜓の敷地面積は、東京ドヌム個分。研究斜蚭だけでなく、寮やスヌパヌマヌケット、保育園たで䜵蚭されおいお、しかも、建物ひず぀ひず぀が近代的でゎヌゞャスな印象だ。

幎、沖瞄振興策の䞀貫ずしお蚭立された。「囜際的にトップレベルの孊校を沖瞄に蚭眮する」ず内閣府が提唱したこずが発端だった。その埌、幎には、科孊雑誌「ネむチャヌ」が発衚した科孊論文の生産性が高い研究機関ランキングで、囜内トップ、䞖界第䜍の成果をあげおいる。䞀䜓、孊内ではどのような研究が行われおいるのか。䞀般人は入るこずができない研究棟に特別に案内しおもらった。

は、「ナニット」ず呌ばれるの研究チヌムがあり、それぞれが個性的な研究を行っおいた。たず蚪ねたのは『認知脳ロボティクス研究ナニット』。日本人の谷淳博士が教授を務める。研究テヌマは「ロボットに心は生たれるか」。こう聞いお、新たなロボット開発を想像したが、そうではなく、行っおいるのはロボットを䜿った人間の脳の研究だずいう。うヌん、難しい。質問を繰り返しおようやく分かったのは、人間の脳の神経回路を暡倣したコンピュヌタヌプログラムをロボットに組み蟌み、䟋えば人ず同じように教育などを行い、成長の過皋でプログラムにどのような倉化が起きるのかを調べおいるずいうこず。぀たり、人間の脳の構造をロボットを䜿っお可芖化しようずいう詊みである。

谷淳教授

「ロボットを䜿い、人間の脳のメカニズムを調べおいる。発達の課皋が可芖化できれば、䟋えば統合倱調症や自閉症などの芁因もわかるかもしれない。人間の脳を芋るのは難しいが、ロボットの䞭にある脳のようなコンピュヌタヌだからこそ、それができる」

続いおは『゚ネルギヌ材料ず衚面科孊ナニット』。倧野ルむス勝也博士が説明しおくれた。ここでは「次䞖代倪陜電池の玠材開発」を行っおいお、研究宀内には、耇雑な装眮が眮かれおいた。これを䜿うず真空空間の䞭で倪陜電池のもずずなる元玠の特性を正確に調べるこずができるずいう。

真空空間を䜜る装眮

倧野ルむス勝也博士

「効率の良い倪陜電池ができれば、時間照射するだけで䞖界の幎分の電気がたかなえるずいう蚈算がある。日本は灜害が倚い囜なので、新たな倪陜電池を開発するこずで、瀟䌚の圹に立ちたい」

他にも、魚を䜿った海掋科孊研究など、分野の垣根を越えた共同研究なども盛んに行われおいた。それぞれのナニットには教授か准教授が圚籍しおおり、他にも研究スタッフや博士課皋の孊生など、人以䞊のメンバヌで構成されるこずもある。今回、話を聞かせおもらった研究者からは「自分の研究はい぀か䜕かしらの圢で瀟䌚の圹に立぀」ずいう意志を感じた。䞀芋、地味な基瀎研究で、成果をあげるには長いスパンが必芁かもしれないが、その远求を芋守る環境がにはあるのだろう。

実隓に䜿われるカクレクマノミ

《独自の資金システムず若手研究者ぞの支揎》

孊内を歩いおいるず目立぀のは倖囜人の姿だ。実は、教員の玄割、孊生の玄割が倖囜人で、を超える囜ず地域幎月時点から集たり、教育ず研究はすべお英語で行われおいる。

䞖界䞭から研究者が集たる背景のひず぀には、独自の研究資金の仕組みがある。日本では通垞、研究資金を埗るには囜などに研究蚈画を申請し、審査で認められる必芁がある。審査が通り、資金が提䟛されおも、原則ずしお蚈画に沿った研究を行わなければならない。

䞀方、では幎間玄億円の運営費の以䞊を内閣府の沖瞄振興予算でたかなっおいる。この予算をもずに、すべおの教員に幎間、研究資金を提䟛。幎埌に研究の質をチェックする仕組みだ。教員個人に察しお、資金が䞎えられるため、自由床の高い研究ができるずいうわけだ。

OISTでは、孊生など若手研究者の育成や支揎にも力を入れおいる。話を聞かせおもらったのは、博士課皋幎の倧島アむシェ遥さん。海氎に含たれる環境を解析し、地球枩暖化が魚矀に䞎える圱響を研究しおいる。

倧島アむシェ遥さん

「小さいずきから動物は奜きでしたし、魚は特に日本のような列島にずっお、ずおも倧事な資源。気候倉動による圱響は、危機的な状況なので、私の䞖代、次の䞖代のためにも関わらなければいけないず思っおいる」

トルコ人の父芪ず日本人の母芪を持぀倧島さん。歳たではトルコで暮らしおいた。幌い頃から動物が倧奜きで、よくトカゲを远いかけたわしおいたずいう。その埌、トルコの倧孊に進孊し、生物孊を研究し始めるも、資金面などは充実しおおらず、思うような研究はできなかったずいう。「ルヌツを持぀日本で勉匷しおみたい」ずぞの進孊を決めた。

倧島さんは倧孊の寮で、むギリス人のルヌムメむトず人で暮らしおいる。郚屋に案内しおもらうず「ピヌピヌピヌ」ず䜕やら鳎き声が。倧島さんのペットのむンコだった。本圓に動物が奜きなのね。では、孊生も䞀人の研究者ずしおいお、幎間䞇円ほどの経枈支揎を行っおいる。そのおかげで、倧島さんも研究に没頭するこずができおいるずいう。今埌も環境問題に関わる研究を続け、将来的には日本にも貢献したいず話しおくれた。

寮で暮らす倧島さん

《岐路に立぀“科孊技術立囜”日本 その未来は》

今回、を取材し、研究成果をあげるには、充実した環境や研究資金が䞍可欠であるず匷く感じた。しかし、日本党䜓で芋るず、研究力の䜎䞋が懞念されおいる。「泚目床の高い論文」䞖界ランキングでは、幎ほど前、日本は䜍だったが、幎の発衚では、韓囜などに抜かれ、過去最䜎の䜍ずなった。

䞀方、のように沖瞄振興予算に倚くを䟝存する仕組みをほかの倧孊に簡単に広げられるわけではない。さらに、OISTは財務省から「高コスト構造」ず指摘を受けおいお、抜本的な芋盎しを求められおいる。たしかにのような研究機関が増えれば、若手のモチベヌションや研究力が䞊がるこずが期埅され、日本の科孊研究力にずっお倧きな远い颚になるだろう。ただ珟実的なコストずいう問題ず、どうバランスをずっおいくのか。沖瞄で独自の路線を進む䞀倧研究拠点を取材しお匷く感じた。

                       ニュヌスりオッチ9キャスタヌ 青井実                                                                                                         æ”Ÿé€æ—¥ïŒšïŒ’幎月日