日本選手初のホームラン王 大谷翔平!データでひもとく打撃の秘密

NHK
2023年10月6日 午後4:58 公開

日本選手として初めて大リーグでホームラン王のタイトルを獲得した大谷翔平選手。

なぜタイトルを獲得できたのか。さまざまなデータを駆使してその理由に迫りました。

特大ホームラン量産の訳は?

今シーズン44本放ったホームランの中でも、目立ったのは特大ホームランです。特に6月30日(現地時間)に放った30号の飛距離は150メートル超え。今シーズン大リーグで生まれた全てのホームランの中で最長飛距離でした。

そんな大谷選手の今シーズンのホームラン平均飛距離は128.5メートル。大リーグで過ごした6年の中で最長を記録しました。

しかもこの数字は今シーズンの大リーグで1位。本数だけでなく、飛距離でも他を圧倒したのです。

なぜ、ここまで飛距離が伸びたのか。元大リーガーの井口資仁さんに聞きました。

井口資仁さん

ことしはバットを少し長くしたということが要因だと思うんですよね。それを振ることによってしっかり遠心力がつきますから、飛距離が伸びてきたのかなと思います

――バットを長くすると、コントロールするのが難しくなりそうですが?

井口さん

そうですね。遠くに飛ばす利点がありますけど、マイナスの方で言うと扱いづらくなる、コンタクトが難しくなる、芯をとらえるのが難しくなるというのがバットを長くするということなので、そこを恐れずにいろいろトライしていく姿は素晴らしいと思いますし、そういうものを恐れずに自分自身の上を向いていく姿勢、この辺が大谷選手なんじゃないかなと思います

打球の速度も過去最高に

大谷選手の進化が現れたのは、飛距離だけではありません。

こちらは大谷選手の平均打球速度を年度別に示した図。今シーズンは151.9km/h。過去最速の打球速度を記録していました。

井口さん

昨年まで、どちらかというと全てを一生懸命に振っているというふうなバッティングに見えていたんですよね。ことしは20号あたりからボールをコンパクトに捉えて当てる。体の前の範囲だけを全力で振ってという感じになってきましたよね。

一番ことし特徴的だったのは、左ひじがしっかり体の中にくっついて出てきているところですね。左ひじが体について出てくると、グリップも体の近くを絶対通ってくるので、そこからしっかりとバチンとボールを弾けるんですね。左ひじがどうしても離れていくとバットは遠回りしてきますから、最短距離でバットの軌道が出なくなりますし、力もロスしてしまう。ことしはしっかりと左ひじが入ってきているので、体の中で一番力の伝わるところで打てているという事ですね

これまでHRを打てていなかったゾーンも射程範囲に

左ひじを体に密着させ、コンパクトに捉えるスイングを身につけたことで、飛距離でも打球速度でも過去最高を記録した大谷選手。しかし、進化はそれだけではありません。

こちらはホームランの本数をゾーンごとに示した図。外角高めのゾーンに注目すると、過去2シーズンは0本だったのに対して、今シーズンは4本ものホームランを放っていることが分かります。さらに、内角のボール球に注目すると、過去2シーズンで1本だったのに対して、今シーズンは4本打っています。

――外角高めの球や、内角のボール球を打てるようになった要因は?

井口さん

これまでですと、バットが少し遠回りして出てきていますので、高めに対してはなかなかいい接点がなかったんですよね。それがことしに関しては、しっかりと左ひじをしぼってバットが出てきました。かつ体の中でボールとの距離を取れていましたので、ポイントの近いところ、より力の伝わるところで外角高めを打てたと思います。

内角をさばくというのは、体からバットが離れていたら、絶対に打てないところ。内角は本当に体にバットがくっついているような形で打てていましたよね。それがことし内角をさばけた理由だと思います。左ひじが入ってくることによって内角もさばけますし、外角高めでもしっかりと押し出せる。ことしのポイントは、左ひじがしっかり体に近いところに入ってきたところだと思いますね

右ひじ手術の影響で、来シーズンは打者に専念すると言われている大谷選手。最後に、井口さんに来シーズンへの期待を聞いてみました。

井口さん

来シーズン開幕からバッターでできるということで、手術に踏み切っているわけですから、おそらく開幕には打者としては万全に迎えられるシーズンになると思うんですよね。

“打者大谷”を100%で見られる年だと思いますし、本人も打者として全てを出し切れる年だと思いますので、投手として見られないのは非常に残念ではありますけど、打者大谷が1年間打者としてだけやったら、どれぐらいできるのかというのは、非常に楽しみな年だと思うんですよね。私自身もそれを見てみたかったので。そういう意味では、ことしも三冠王を取れる位置まで来ていましたから、そこに近い成績というのは来シーズン期待していいのかなと思います

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