今週開幕するラグビーワールドカップ2023 フランス大会。日本代表の初戦は、10日(日)に予定されているチリ戦です。
今大会でベスト4以上を目指す日本代表の選手たちにインタビュー。
稲垣啓太選手、長田智希選手、福井翔大選手、堀江翔太選手のワールドカップにかける思いに迫りました。
(おはよう日本 副島萌生キャスター)
【スクラムの“要” 稲垣啓太選手】
3回目のワールドカップに挑む、稲垣啓太選手33歳。ポジションはスクラムの最前列で相手と組み合う「プロップ」です。
前回大会では、アイルランドやスコットランドなどの強豪相手にスクラムで押し勝ち、チームをベスト8に導いた立て役者の1人です。
副島萌生キャスター
ー前回大会から、どんな4年間でしたか?
稲垣啓太選手
すごく早かったなと感じますね。特に最初の2年間というのは(コロナ禍で)スポーツがストップしていた時期もあったので、そういったところも含めてあっという間だったなと。
ーワールドカップ前のテストマッチで出た課題とは?
スクラムがうまくいった試合といかなかった試合と、すごくきれいに分かれたと思うんです。サモア戦とフィジー戦は、スクラムがうまく機能しなかった試合。スクラムの前3人、後ろ5人のつなぎ目が途切れてしまっていました。
(その時は)後ろ5人の足のポジショニングに問題があったんですよね。僕らスクラムの前にいる3人は、試合中に後ろ5人のトラブルに気づけなかった。修正が遅かったのが問題でした。ハーフタイムを挟んで、コーチから指示があった時に気づけたけれど、それじゃ遅いんですよ。それを早めに自分らで気づいて対処すべきだった。そこが反省点ですね。
ー稲垣選手も押している中で(後ろの選手の問題に)気づけるもの?
見えないわけですよ。でも気づかないといけないんですよ。自分のポジション、セットアップの最初のルーティン、そこに問題がなければ(後ろの選手の)足のポジショニングだなと、(原因に)たどりつくんで。
勝つためには、“早く修正する”こと
稲垣啓太選手
日本国内のテストマッチでは、スクラムの課題を早期改善はできなかったんですけど、最終的には改善できてきているので、試合中にいかに課題に気づき、早く対処するかだと思います。
ー注目が集まる中、今大会をどのような大会にしたい?目標は?
たくさんの人々が期待をしてくれるのはうれしいですし、期待に応えたいです。そのためには結果を残すことだけですよね。
代表で結果を残すことをすべてに、いままで僕はラグビーやってきましたし、その上で試合で結果を出して、ラグビーを見て何か感じてもらえたらすごくうれしいです。
【期待の新星 長田智希選手】
続いては、今回初めてのワールドカップに挑む長田智希選手、23歳です。ポジションはバックスの要となる「センター」。リーグワンではルーキーながら9トライを決め、新人賞にも選ばれました。_スピードを生かした“突破力”が持ち味の、期待の新星です。_
ー試合が近づく今、気持ちとしては緊張?楽しみ?
長田智希選手
緊張はもちろんあるんですが、今は本当に楽しみな気持ちが大きいかもしれないです。2023年のワールドカップに自分が出場するのは正直難しいと思っていました。自分の仕事をしっかりして、いい結果を残したいです。
“突破力”が僕の強みだとは思うので、それをいかにチームの得点や、チームのいい結果につなげていくのかがテーマです。
7月に行われた、フィジーとのテストマッチ。後半、長田選手は自陣でボールを受け取ると、持ち味の“突破力”でおよそ70メートルを力走!あと一歩でトライを逃しましたが、その能力の高さを示しました。
ートライまで「あと1歩」、惜しかったですね。
自分のいいパフォーマンスができたという、そういう運の良さというかタイミングが良かったと感じています。それを出すための準備もしてきましたし。
でも、あの場面はスキル的な問題もあると思います。(試合後に)ちょっとランコースを工夫したりとか、ボールを少し離してキックして前に出るとかアドバイスをもらったりしました。
トレーニングで、トライまで“やりきる”部分っていうのを積み重ねていくことが、ああいった試合で最後に点を取りきれるかということにつながると思います。
ーワールドカップで、どんなプレーを見せたい?
「センター」というポジションなので、ボールを前に運ぶところだったり、ディフェンスでタックルで体を張って相手を止めていくところだったり…「センター」として、代表のプレーヤーとして求められている自分の仕事を、しっかり“やりきる”部分を見てもらえたらなと思います。
【躍動する若手 福井翔大選手】
続いてインタビューした福井翔大選手、23歳。長田選手と同じく初のワールドカップに挑みます。_ポジションはキャプテンの姫野和樹選手やリーチ マイケル選手と同じ、フォワードの第三列「フランカー」です。_
ー初めてのワールドカップ出場、どんな気持ちですか?
福井翔大選手
いやほんとにうれしかったですね。ニヤニヤが止まらない。でもやっぱり近づくにつれて緊張感はありますね。この前のオフで気合い入れて、髪の毛も巻き直しました(笑)。
ーワールドカップ代表発表前最後のテストマッチとなったフィジー戦の直後に、代表入りを聞いたとか。
そうですね。試合のあとにロッカールームで。心拍数が上がりすぎて、着てる服が揺れるっていう(笑)。ポロシャツ着ていたんですけど、ポロシャツが揺れていて恥ずかしいなと思っていました。
7月に行われたニュージーランドとのテストマッチで、存在感を放った福井選手。実は他の選手とは違う経歴の持ち主です。高校卒業後は大学ラグビーで実力をつけるのが一般的なラグビー界で、高卒では珍しいプロ契約を結び「埼玉パナソニックワイルドナイツ」に入団。チームには日本代表の堀江選手や稲垣選手などが所属し、共にタックルなどの自主練を繰り返してきました。
なかでも福井選手が得意としているのが、タックル後にボールを奪う「ジャッカル」。テストマッチでも「ジャッカル」を成功させ、手応えを感じています。
ーどんなところが通用したと感じましたか?
(タックルで)ひっくり返されなかったりとか、僕がいつもどおりにタックルにいったら、相手がちゃんと倒れたりとか…そういった普通のことなんですけど、それが(ニュージーランド相手に)普通にできたっていうことが意外といけるなって思いました。
ーワールドカップの舞台で、どういうプレーを見せたいですか?
僕はポジション的にジャッカルもそうですし、タックルとか全般的にやりたいです。相手を倒したいです。…任せてください!
【最年長・37歳だからこそ… 堀江翔太選手】
そして4人目がスクラム最前列の真ん中、「フッカー」の堀江翔太選手。今回が4回目のワールドカップ出場、日本のラグビー人気を牽引してきました。
ープレッシャーも高まっていますか?
堀江翔太選手
怖いです。(人気が)元に戻るのが怖いです。今は、日本でラグビーやったら(観客が)1000人くらい入るなんて当たり前なんですけどね。(代表に入った2011年)当時なんて、(観客が)300人とか何百人というのが当たり前だったので、それに戻りたくないなと思います。常に必死でラグビーをせなあかんと思っていますね。
ことし37歳を迎え、代表では最年長の堀江選手。初選出の若い選手もいる中、これまで積み上げた経験を惜しむことなく伝えていきたいと考えています。
ー最年長として、ご自身の役割をどう思っていますか?
ワールドカップは4回目ということもあるので、特に若い子たちに「すごいプレッシャーがくるよ」というのは、ワールドカップの前に話せればいいなと思っています。
ふだんの試合だったり、テストマッチだったりとは全然違うから、(実力を)出せるか出せないかは、本当にメンタルに大きく左右される部分だと思うので、(実際に)やってみないと、チーム状況はどうなっているかわからないですね。そこら辺は最年長として、うまいことチームを見ながらやっていきたいなと。出しゃばる部分と、出しゃばらない部分が非常にキーになってくると思うので、気を遣いながらいきたいと思います。
“何歳や!?”みたいなプレーで魅せたい
先月行われたワールドカップ前の最後のテストマッチ。前半、堀江選手は相手のディフェンスに阻まれながらも、体でボールを隠しながら後ろの味方に華麗なパスを送り、トライを演出しました。
そんな堀江選手、ワールドカップでどんなプレーを見せたいかたずねると…。
堀江翔太選手
僕的には、世界の観客から「年の割に、37歳やのにすげえな」と思われたいんですよね。「あいつ何歳や!?」みたいな。“30(歳)手前か?”くらいの動きをしたいです。
(自分は選手として)まだ世界には知られていないと思うんですよ。なので、世界に“こういう東洋人いるんだぞ”って知ってもらうためには、日本代表の戦術・戦略もそうですし、僕自身の能力も必要だと思うので、しっかりやりたいと思います。
ラグビーワールドカップ2023はNHKでも中継でお伝えします。日本代表の初戦、チリとの試合は9月10日(日)19時30分から総合で放送します。稲垣選手、長田選手、福井選手、堀江選手の活躍も期待です!
ラグビーワールドカップ2023 フランス大会の詳しい情報は、こちらの特設サイトでも!