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ワクチン接種 DXで迅速に

NHK
2021年5月28日 午後3:08 公開

新型コロナウイルスのワクチン接種は、自治体にとっても初めての経験で、どうしていいか分からないことも数多くあるようです。そこで、DX=デジタル変革で悩みを解決しようという取り組みが始まっています。

専用チャットアプリで情報交換 650自治体に広がる

10日から高齢者へのワクチン接種が始まった長野県富士見町。効率的な接種に向けて、自治体専用のアプリを使ったチャットを活用しています。

チャット上では自治体どうしで盛んに会話が行われています。例えば「余ったワクチンを市民に打つ場合、どのような運用をしているか」という質問が出ると、別の自治体が「キャンセル待ちの仕組みを作っては」と答えるといった状況です。ただちに解決しなければならない課題など、投稿は多い時で1日100件以上に上ります。

自治体は、情報漏えいを防ぐためインターネットから切り離されたネットワークを使っていて、市販のアプリを自由に使うことはできません。これまで情報交換はメールでのやり取りが中心でした。

そこで、新たに自治体専用のチャットアプリが開発され、効率的に情報を共有できるようになりました。利用している自治体は約650。これらの自治体がすべてネットワークで結ばれることで、ワクチン接種などについての素早い情報交換に活用されています。

富士見町では、さまざまな分野で担当者が抱える課題について、ほかの自治体の体験談などから解決できるようになったといいます。役場のデジタル化の推進を担当する、文書情報係の塚田郁雄さんは「ワクチン接種に関しては待ったなしのスピード勝負。(チャットの投稿は)非常に具体的で役に立つ」と話しました。

「ネットワーク拡大は住民サービス向上につながる」

自治体専用のアプリを開発したIT企業「トラストバンク」は、ふるさと納税の仲介サイトの運営を通じ、多くの自治体とつながりがあったことから、行政のデジタル化を支援するようになりました。

木澤真澄取締役は「ネットワークが広がっていけばいくほど、知見や知恵が、たまっていく。業務の品質が上がり、住民サービスの向上につながる」と話します。

職員のアイデア 発信して共有

富士見町の塚田さんはこのチャットアプリを使い、住民の接種記録を登録する作業について、みずから情報を発信しました。この作業は、国が勧めるタブレットを使うやり方では素早く処理することができなかったといいます。

そこで塚田さんは、バーコードを読み取れば自動的に表計算ソフトに入力される仕組みをみずから作成。読み取り作業を連続して行えば、多くの接種記録を一気に登録することができるそうです。

チャット上にこの情報を公開したところ、「使ってみたい」という申し出が相次ぎました。塚田さんは「いち自治体の中でもんもんとしているよりは、知見を持った方がいるので、大勢いると新しいアイデアが出てくる」と話しています。

デジタルというツールを使い、自治体の枠をこえて知見やアイデアを共有する。今、政府が進めているデジタル化の意味は、まさにそこにあります。自治体が“ワンチーム”となってワクチン接種の迅速化につなげてもらいたいと思います。

(経済番組 ディレクター 三ッ橋雅行)

【2021年5月28日 放送】