ニュース速報

“副業”公務員が日本一のりんご産地を守る!

NHK
2021年11月9日 午後1:07 公開

りんごの生産量が全国一の青森県弘前市では、農家の3割が労働力不足を認識し、5割が将来の担い手確保に不安を抱えています。そこで市が打ち出したのが市役所職員の副業。産地を守る切り札になるでしょうか?

市職員のりんご生産副業制度スタート

弘前市が9月に開いた記者会見。農林部の中田善大部長は「りんごについては日本一の産地なので、市役所の職員がりんご生産アルバイトでの兼業を推進する」と発表しました。

市の職員が基幹産業のりんご生産の分野で副業することを認めることにしたのです。補助金の給付などで農家と利害関係がある部署の職員を除き、誰でも副業を希望することができます。

これまで農家からおよそ60件の求人があり、30人ほどの職員がこの制度に手を挙げました。

「りんご生産を本業の観光PRに生かしたい」

実際に副業を始めた加藤吉晃さん(32)はふだんは観光のPRを担当しています。特産のりんごのことを知り本業の観光推進につなげたいと、土日を使って生産に携わることにしました。

加藤さんは「自分がどこまでやれるかというのはあるが頑張ってやってみたい」と話しました。

繁忙期の10月には農作業用のつなぎ服を着て初めて副業に挑みました。訪ねた農家は家族のほかに数人の臨時作業員がいるものの、人手が足りない状況でした。

加藤さんは農作業のスピードに戸惑うこともあり、りんご生産の大変さを初めて実感したといいます。「すごい面積の中を手作業でやるということなので、やっぱり人手は必要なのかなと感じた」と話しました。

人手が増えれば単価もアップ?

人手の増加は、農家にとっては売り上げ拡大の可能性にもつながります。

取材した日に加藤さんが行った作業は、りんごの実の周りにある葉を取り除く「葉取り」と呼ばれる作業です。太陽の光を当てやすくして実の色づきをよくすることで、3000円程度だったりんご1箱当たりの単価を、さらに1000円~2000円引き上げることができます。

これまでは出荷するりんごの6割しか葉取りができていませんでしたが、その割合を高められるのではないかと期待しています。

りんご農家の佐藤恵一さんは「りんご農家は季節・忙しい時期が決まっている。1人でも多く、1時間でもちょっとでも来てくれると本当に助かる」と話しました。

弘前市では労働力をさらに増やすために、民間企業にもりんご栽培を副業として認めてもらえないか打診しているということです。取り組みが広がれば、地域の産業を盛り立てる力になるのではないでしょうか。

(弘前支局 記者 平岡千沙)

【2021年11月9日放送】

この記事は動画でもご覧いただけます(ココをクリック)

あわせて読む

お役所改革進める佐賀県 “公務員という職種はない”

アボカドを宮崎の新ブランド農産物に 地銀が動き出した

ぶどうのおいしさ AIで“見える化”

大阪産マンゴーの可能性