ニュース速報

温暖化で日本ワインはどうなる?

NHK
2021年9月22日 午後1:06 公開

日本で栽培されたブドウを使って醸造も国内で行う「日本ワイン」は、海外でも評価が上がっています。一方で産地では温暖化の影響も懸念され、対策が始まっています。

暑さに強い「マルベック」栽培スタート

ワイン用ブドウの生産量が全国1位の長野県。千曲市の北澤ぶどう園は、3代にわたってブドウを栽培しています。

栽培品種の一つで白ワインの代表的な品種「ソーヴィニヨン・ブラン」は、さわやかな酸味が特徴ですが温暖化の影響を受けやすいといいます。

農園を営む北澤文康さんは「今後温暖化で暖かくなってくるとだんだん厳しくなっていく」とみています。

長野市の8月の最高気温は30度を超える日が多くなり、長期的にみると気温が上昇傾向にあります。ブドウをワインにする際に気温が高すぎると、色味や酸味が落ちてしまうと言われています。

そこで北澤さんの農園では暑さに強い品種の栽培に乗り出しました。南米を中心に栽培されている赤ワイン用の「マルベック」です。

このブドウは深い赤みのあるワインに仕上がるのが特徴で、日本では栽培する農家が少なく、新たなニーズを取り込めると期待を寄せています。

北澤さんは「ワイン用ブドウは世界中に何百種類とあるので、そういう中からいい品種を選ぶ。そういうことを駆使してこれからやっていく必要があるんじゃないか」と話しています。

ブドウの成熟を涼しい時期に 産学が共同研究

一方、日本のワイン産業発祥の地・山梨県では、栽培方法を工夫して温暖化に対応しようとしています。

100年以上前からブドウの栽培とワインの醸造を行う、大手メーカー「サントリー」の「登美の丘ワイナリー」では、2021年から山梨大学の岸本宗和 准教授と共同で、赤ワイン用のブドウの成長を遅らせて涼しい時期に成熟させる取り組みを始めています。

その方法は、ブドウの花が咲く5月に枝を大胆に切り落とすというものです。すると切り落とした枝の近くから新しく枝が生えて、実をつけます。

同じ品種のブドウでも、8月の時点で比べると、通常の栽培方法で育てたブドウはすでに色づいていますが、一度枝を切り落として栽培されたものはまだ青々としています。

収穫のピークを9月中旬から涼しい11月にずらすことに成功。ワインの色や香りを保てると考えています。

ワイナリーの大山弘平栽培技師長は「100年以上の歴史がある中で先輩たちがやってきたように、考えられる、やれることがあるかぎりここ(の土地)にこだわってやっていきたい」と話しています。

伝統的なワインの産地が始めた工夫をみると、温暖化の進行が実感されます。おいしいワインをつくり続けてほしいと思います。

(経済部 記者 保井美聡)

【2021年9月22日放送】

動画はこちら

あわせて読む

カリフォルニアワイン産地 温暖化で山火事常態化