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ビットコインは“グリーン”になれるか?

NHK
2021年9月2日 午後1:37 公開

ビットコイン」に代表されるデジタル上の暗号資産(仮想通貨)について、いま環境への配慮が大きな課題となっています。

暗号資産では、保有や取り引きの際の安全を確保するために、データが暗号化された上で世界中のネットワークに分散されています。そのそれぞれの拠点で大容量のサーバーを動かさなければならないことから、膨大な電力が必要になります。

環境に配慮した“グリーン”なビットコインは実現できるのでしょうか?

膨大な電力を消費 エネルギー生産地が「ビットコインの街」に

“ビットコインの街”とも呼ばれるアメリカ・テキサス州。あるスーパーにはATMが置かれ、本来インターネット上で取り引きされるビットコインを現金で買うことができます。より多くの人に暗号資産に触れてもらうねらいです。

この街を支えるのが膨大な電力です。テキサス州に拠点を置くビットコインの関連企業「ウィンストン」を訪ねると、施設の心臓部にあるのは、高さ7メートルに積み上がった大量のサーバー。この場所の気温はサーバーの熱で60度以上になっています。

これらのサーバーは、1時間動かすだけで2万世帯分に相当する電力が必要だといいます。このため企業では、アメリカを代表するエネルギーの生産地・テキサスをビジネスの場所に選びました。

今、テキサスへの注目は一段と高まっています。当局による規制が強化された中国から企業が流出し、その受け皿になっているのです。

地元自治体の経済担当ジム・ギブソンさんによると「毎週3、4件の電話が中国からかかってきている」といいます。

脱炭素の流れに逆行?

しかし今、新たな課題が焦点になっています。きっかけは、暗号資産の推進派であるテスラのイーロン・マスクCEOが5月、ツイッターに「環境の犠牲の上に成り立つものであってはならない」と投稿したことでした。

EV(電気自動車)をビットコインで買えるようにすると表明してきたマスク氏のこの一言で、上昇してきたビットコインの価格は急落しました。

大量の電力消費を伴う暗号資産の仕組みが脱炭素の流れに逆行していると、問題視されるリスクが高まったのです。

対応迫られる関連企業

大量のサーバーを稼働させているビットコイン関連企業のウィンストンも、対応を迫られています。

協力企業と連携して、夏の暑さなどで電力需要がひっ迫した際に取り引きを一時的に停止し、電気を使いすぎない仕組みを導入。さらに全体の3割にあたる電力を風力発電などで賄うようにしました。

チャド・ハリスCEOは「再生可能エネルギーを使うことが会社としての責任であり、その割合を増やすように日々努力すべき」と話しました。

「関連企業が再生可能エネルギーにかじを切れば・・・」

エネルギー政策に詳しいテキサス大学のジョシュア・ローズ博士は、集積する暗号資産の関連企業がグリーンにかじを切れば、エネルギーの姿も変わると指摘。

ビットコイン企業が100%再生可能エネルギーの電力会社と契約すれば、風力や太陽光発電の拡大につながる」と話しました。  

デジタル化と脱炭素は大きな流れですが、デジタル化は電力を消費します。この2つをどう両立させるか、ビットコインに限らず大きな課題となりそうです。

(ロサンゼルス支局 記者 山田奈々)

【2021年9月2日放送】

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