ニュース速報

サプライチェーンの中核 東南アジアで何が?

NHK
2021年10月14日 午後0:49 公開

日本企業の生産を支える東南アジアで新型コロナウイルスの感染が続き、自動車メーカーの大幅な減産やアパレルメーカーの発売延期を招いています。現地では何が起きているのでしょうか?

工場にテントで寝泊まり・・・ ベトナムの厳しい操業規制

ベトナム南部のホーチミンにあるアパレル会社の縫製工場では、機械が布をかけられて停止したままです。会社は日本のアパレル企業とも取り引きしていますが、9月の生産量は2020年の同じ月の3割ほどにまで落ち込みました。

背景にあるのが、新型コロナ対策として政府が導入した厳しい操業規制です。

求められたのが、外部との接触を減らすため従業員が住み込みで働くことでした。従業員は9月まで、工場の中のテントで寝泊まりしないと働くことができませんでした。生産ラインに入る従業員の数にも制限がかけられました。

こうした条件を満たせずに稼働を停止した工場も多く、世界中でメーカーの調達が滞る原因の一つになっています。

アパレル会社の創業者、ファム・バン・ビエさんは「住み込みの期間が長すぎて従業員は精神的にもとても疲れている。政府はビジネスを分かっておらず、混乱しているんだと思う」と話しています。

900超の工場で感染拡大したタイ 対策に追われるメーカー

一方タイでは、工場で感染が拡大することで生産が落ち込みました。4月以降、900か所を超える工場で6万5000人余りが感染しました。

日系メーカーに自動車部品を供給するアユタヤの工場でも、一時300人余りが感染し製品の出荷が数日遅れる事態になりました。現在は、抗原検査を受けなければ工場に入ることができません。

従業員の一人は「私もほかの人たちもみんなとても不安に思っていた。この工場だけでなく、ほかの工場でもたくさんの感染が出た」と話します。

この工場では人手を確保するため、影響が比較的少なかったほかの部品メーカーに頼み込んで従業員を派遣してもらいました。

工場では、感染状況がいくぶん落ち着いた今も毎日、感染対策チームが「症状は出ていない?」などと従業員の容体の確認に追われています。

さらに、感染を広げないための対策にも力を入れています。従業員の送迎などに使う車には座席ごとにQRコードを設置し、スマートフォンで記録することで、誰がいつその席に座ったかを把握します。感染者が出た場合に、近くにいた人をすぐ隔離できるようにしています。

この自動車部品メーカーでは、感染の収束が見込めず生産への影響がなお予断を許さないことから、対策を尽くすほかないと考えています。

イェープ社長は「自動車の需要は高まっているが、コロナの感染が非常に深刻だ。必要な対策はすべて実行していく」と話しました。

日本企業にとって東南アジアは、生産拠点が中国に集中するリスクを避けるためにも重要な地域になっていました。しかし、その東南アジアからの調達が困難になっています。世界的に感染症が広がる中で企業がサプライチェーンをどう維持するか、難しい課題となっています。

(ハノイ支局長 道下航、アジア総局 記者 影圭太)

【2021年10月14日放送】

こちらの記事は動画でもご覧いただけます(ココをクリック)

あわせて読む

供給リスクなどに備える“レジリエンス投資”広がる

サプライチェーンに潜む“人権リスク”

半導体不足 医療機器も直撃

半導体なくして日本の成長なし

東南アジアリゾート 観光復活を模索