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食品ロス削減へ 注目の“自治体アプリ”

NHK
2021年10月5日 午後1:00 公開

食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」が大きな課題になっています。この食品ロスの削減に、兵庫県姫路市では自治体みずからが作ったアプリが効果を発揮し、全国の自治体から視察も相次いでいるそうです。どんなアプリなのでしょうか?

売れ残った食品をマッチング

姫路市内のパン屋「ブーランジェリーはっくるべりー」。スマホを手に来店した客が買ったのは「もったいないパン」です。前日に売れ残ったパンを詰め合わせたお得なセットで1080円、店頭には出していません。客はアプリを通じて商品を予約し、店まで受け取りに行きます。

もったいないパンを買った客の一人は「6人家族だからものすごく重宝している」と話していました。

姫路市が開発したアプリは、市内の食品会社や飲食店などが売れ残った商品を登録し、市民がインターネットで予約して購入する仕組みです。手数料などの費用はすべて市が負担するため、無料で利用できます。

このパン屋では、アプリを使い始めてから食品ロスを出すことがほぼなくなりました。

代表取締役の平山幹久さんは「職人が手をかけたものをむだなく食べていただける。ありがたいサービス」と話しています。

コロナ禍で疲弊した食品業界を支援

市がこの取り組みを始めた背景には、食品ロス削減に加え、コロナ禍で打撃を受けた食品業界を支援するねらいもあります。

客足の減少などで余ってしまう食品を少しでも利益につなげてもらおうと考えたのです。

市の「もったいない本部長」を務める井上正也さんは「飲食店が疲弊していたので支援が何かできないか。店舗数の増加、ユーザーの増加を今後積極的に図っていきたい」と話します。

サービス使い販路拡大

このサービスによって新たな販路を開拓した業者もあります。

市中央卸売市場にある青果店「中安青果」は、学校給食やスーパー、飲食店などが主な取り引き先で、流通の過程で傷などがあるものを取り除くため、常に食品ロスが出るのが悩みでした。

さらにコロナの影響で食品ロスは一層増えています。青果店の里頭輝彦さんは「給食関係のキャンセルがあったり飲食店の注文が激減していたりして、卸す量がだいぶ減ってきている」と話します。    

そこで、市のサービスを通じて初めて一般客向けに販売を始めました。例えばキャベツやニンジン、玉ねぎなど箱いっぱいの野菜が入ったセットは1000円と定価の半額以下です。

利用客の一人は「もう何度もお世話になっている。夜中でも予約できて、自分の都合のいい時間に取りに来られるのがすごく便利」と話しています。

口コミで評判が広がり、今では20人を超える常連客ができました。

里頭さんは「以前だったら廃棄していた部分が、少しずつではあるが少なくなってきている。助かっている部分もある」と話していました。

姫路市のこのアプリは、パン屋や青果店のほかにも飲食店や食品メーカーなど21の事業者と5000人の市民が登録しています。出品すると大体売れるそうで、これまでに2900件ほどの取り引きが成立したということです。取り組みが広がってほしいと思います。

(大阪局 ディレクター 矢野菜奈)

【2021年10月5日放送】

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