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“2人乗りの電車”? フランス発次世代移動手段

NHK
2021年6月24日 午後0:32 公開

一見、遊園地のアトラクションのようなこの乗り物。東京オリンピックの次となる2024年のパリオリンピックでお披露目される予定の次世代の移動手段「アーバンループ」です。“経済的で環境にやさしい”をコンセプトに開発が進められています。

最高時速60キロ “1時間に最大3000人を輸送”

アーバンループの開発が行われているのは、フランス北東部のナンシー近郊。現場を訪れ、試乗させてもらいました。

車両は2人乗りで、座席が向き合うコンパクトなつくりになっています。動き出すと「意外とスピードが速い」と感じました。自動運転で、最高時速は60キロまで出るそうです。

車両には、1センチ単位の精密さで位置情報を割り出す装置が搭載され、車両どうしの間隔などを安全に保ちます。これにより、5キロの区間で同時に150台の車両を走らせることができ、1時間に最大3000人の輸送が可能だといいます。

動力源は線路を流れる電気で、走行中に温室効果ガスを排出しません。1キロ走るのに必要な電気代も、実験では0.6円余りと1円を切りました。車両が小さいため、地下鉄や路面電車に比べ建設費用も大幅に抑えられます。

プロジェクトの責任者、ジャンフィリップ・モンジョさんは「ねらいはパリやニューヨーク、東京などの大都市につくることではない。財政的、技術的に地下鉄を建設できない中規模の都市にとっての解決策」と話しています。

環境への負荷を減らす乗り物を

開発を担ってきたのは、地域の学生たちです。地元のナンシー理工科大学など9つの大学が2017年、授業の一環として、経済的で環境にやさしい乗り物を共同で研究。たどり着いたのがアーバンループでした。

大学を中心に、プロジェクトを進めるための企業が設立され、今もおよそ100人の学生がインターンなどを通じて関わっています。

プロジェクトに携わるナンシー理工科大学の学生、ロマ・サバリさんは「本当に楽しい。学んできたことを、気候変動の対策という具体的な目的のためのプロジェクトで実践できる」と話しました。

緊急時の安全対策が十分かどうかや、線路を敷く用地の確保など、実用化に向けて、つめるべき課題もありますが、国も取り組みに期待。3年後のパリオリンピックで、競技会場の1つと最寄り駅を結ぶ予定です。

フランスのジェバリ交通担当相は「公共交通機関が抱える課題は、環境への負荷をいかに減らすかだ。アーバンループはその課題に応えていて、プロジェクトの成功に疑いはない」と話しました。

アーバンループの建設コストは、地下鉄の20分の1、路面電車の4分の1で済むということで、環境にも財政にもやさしい新たな公共交通機関として実用化を目指しています。今後は、パリオリンピックでの運行に向けて、実証試験を重ねる予定です。

(ヨーロッパ総局 記者 小島晋)

【2021年6月24日放送】