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異常気象 フランスワインの味を守れるか?

NHK
2021年10月7日 午後2:10 公開

このところ異常気象が続くフランスでは、名産のワインが大きな危機に直面しています。原因の一つは、気候の変化で原料のブドウが深刻な被害を受けたことです。そこで生産者や国が対策を始めています。

生産量3割減 ワイン大国の危機

新型コロナによる制限が緩和されたフランスでは、再開した飲食店で大勢の人がワインを楽しんでいます。

人気なのがラングドック地方の赤ワイン。ある男性客は「しっかりした味でチーズが入った料理と合う」と話しました。

ラングドックはフランス南部のワイン産地です。 しかし産地を訪ねると、異変が起きていました。250年余り続くワイナリーで生産するティエリー・ギバルさんによると「例年なら8万本のワインを生産できていたが、ことしは3分の1になりそうだ」というのです。

フランスのワインの産地は、ラングドック地方のほかにボルドーブルゴーニュシャンパーニュなどあり、それぞれが独自の味わいでフランスワインのブランド力につながっています。  しかしこれらの産地では、2021年の生産量が例年より3割も減る見込みです。

ソーラーパネルでブドウを守る

フランスではこのところ異常気象が続いています。21年はブドウの成長が早すぎて、春先の霜で実が傷むなど気候の変化による被害が深刻でした。

そこで今始まっているのが、ソーラーパネルを使った対策です。霜の被害や暑さからブドウの木を守り、設備のコストは発電した電気を売ることで賄う仕組みです。

ソーラーパネル設置会社のアヌリーズ・サロメさんは「ソーラーパネルを設置することで、気候を数年前(の状態に)に戻すことができる」と話しています。

気温の変化に強いブドウを

国を挙げた対策も始まっています。ボルドー地方の国立の研究所では、気温の変化に強いブドウを作り出す研究をしています。

ブドウの木は「台木」と呼ばれる土台に実をつける枝を接ぎ木して作られ、その実がワインの味を決めます。研究所では、台木のみを乾燥に強い性質を持つ木に変える実験を行っています。

そうすれば、産地の味わいを維持しながら気温の変化に強いブドウを作れるというのです。

研究所のナタリー・オラさんは「フランスにとってワインは、文化としてだけでなく、経済的な観点から見ても非常に大切。温暖化対策の研究を続けていくことが重要だ」と話しています。

フランスでは、農産物の輸出のうちワインが最も多い16%を占めています。ワインの温暖化対策が経済的にも大きな課題となっています。

(ヨーロッパ総局 記者 古山彰子)

【2021年10月7日放送】

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