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注目の“ジャクソンホール会合” 金融緩和の行方は?

NHK
2021年8月27日 午後0:47 公開

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長が、日本時間の27日夜、「ジャクソンホール会合」と呼ばれるシンポジウムの中で講演を行います。会合は例年、アメリカの避暑地・ジャクソンホールで行われてきましたが、2020年、2021年とオンラインで開催。そこでのパウエル議長の発言がなぜ注目なのか、解説します。

FRBはこれまで、コロナ禍で打撃を受けた経済を支えようと、市場から大量の国債などを購入。その代金を支払うことで市場に大量の資金を供給し、お金を借りやすくすることで経済を支える「金融の量的緩和」政策をとってきました。

こうした政策の効果とワクチンの普及などでアメリカの景気は回復しています。そこで今、緩和の規模を縮小する「テーパリング」への政策変更をどう進めていくかが焦点となっているのです。

パウエル議長 緩和縮小への慎重姿勢に変化は?

まもなく行われるパウエル議長の講演の注目点は何か、ワシントンで取材している吉武洋輔記者の最新報告です。

ワシントン支局 吉武洋輔記者

私が注目しているのは『緩和縮小への慎重姿勢に変化は?』という点です。アメリカ経済はすでにコロナ前の水準に回復しました。物価は、FRBが『この程度に抑えたい』としている2%を大きく上回っています

FRBの内部では、景気がこのままうまくいくなら『ことし中に緩和縮小を開始すべき』という意見が大勢を占めるようになり、金融市場では、FRBが早ければ9月にも緩和縮小を決定もしくは予告するのではないか、という見方が出ています

ただ、パウエル議長本人はこれまで決して政策転換を急がない立場でした。『物価の上昇は景気の急回復による一時的なものだ』と繰り返してきましたし、雇用の改善についても『感染拡大前に比べるとまだ弱い』と慎重です

こうした姿勢に変化が見られれば緩和縮小の現実味が一段と高まるため、講演の一言一句が注目されているのです

デルタ株猛威でも緩和縮小できるか?

ただ、世界ではデルタ株の感染が拡大していて、アメリカは日本以上に感染者が多い状況です。そうした中で経済を下支えする政策を縮小して大丈夫なのでしょうか。

吉武記者

デルタ株が経済に及ぼす影響への警戒は確かにあると思います。一方で、以下の写真は8月上旬に、ワシントンの空港と観光地のラスベガスで私が撮影したものですが、デルタ株による感染拡大の中でも、たいへんなにぎわいでした

アメリカでは経済活動の規制を再び強化する動きは広がっていませんし、市民生活にはウイルスとの共存=ウィズコロナと言える状況も出てきていて、以前のように感染者が増えるとただちに経済が悪化するとは言い切れない、とアメリカにいて実感します。パウエル議長が、こうした経済の先行きをどう読むかが、重要なポイントとなってきます

市場反応を意識するFRB 一言一句どう配慮?

アメリカ経済が回復する一方で、デルタ株という懸念材料があり、FRBは難しい判断を求められています。リーマンショック後のFRBの金融政策を振り返ると、今回と同様に、2008年11月に量的緩和を決定し、12月にゼロ金利政策を導入。その後徐々に経済が回復しました。

しかし、13年5月に当時のバーナンキ議長が量的緩和を縮小させる可能性を示唆したところ、市場は予想外だと受け止め、金利の急上昇や株安という市場の混乱を招きました。実際に量的緩和縮小が決定されたのは13年12月で、半年もかかりました。

FRBは、マーケットの混乱を招かないよう、政策の方向性を事前に市場に織り込ませることにそれまで以上に気を配るようになりました。結局、ゼロ金利政策が解除されたのは15年12月で、量的緩和縮小決定からさらに2年もかかりました。今回のパウエル議長の講演では、市場の反応を意識した言いぶりも注目されます。

【2021年8月27日 放送】

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