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コロナ禍の課題 地方の声で解決
NHK
2021年6月15日 午後12:45 公開

新型コロナの感染防止対策や、ワクチン接種をいかにスムーズに行うか。青森市のIT企業が、「地方だからこそ課題を解決できる」と製品開発に力を入れています。

青森発 地方のニーズをつかむIT企業

店の入り口などに置く検温用のタブレット端末。画面の前でマスクを外すと、体温表示とともに「マスクを着けてください」と音声が流れました。AI=人工知能を使ってマスクを着けているかどうかを識別しています。人手不足に悩む地方の店舗や施設でも、無人で検温とマスクの着用を促すことができます。これまでに5000台が売れました。

開発したのは、青森市に本社がある社員およそ30人のIT企業「フォルテ」です。社長の葛西純さんはもともと大手通信会社の技術者でしたが、「身近な課題を解決する製品をつくりたい」と10年前に事業を始めました。

拠点に選んだのは地元・青森。顧客との距離が近いため、新しい製品づくりのヒントを聞きやすいと考えています。葛西さんは「地方にいればいるほど、より潜在的なニーズをつかめる。アイデアの種をつくるのは青森だからできる」と話します。

地元企業や自治体の“声”から新製品が続々

葛西さんは地元の企業や自治体などに直接課題を聞き、製品づくりに生かしています。例えば、飲食店向けに開発中の機器は、センサーが客の声を検知し、その大きさを3段階の光で知らせます。赤色の光は、感染対策のため声の大きさを抑えたほうがよいことを意味します。

飲食店から「会話を控えるよう客に呼びかけたいけれども、遠慮してしまう」という声があり、それに応えて開発を進めています。ある飲食店の店主は「注意しにくい部分があるので、こういう機械があるとお客さんが自覚して自重してくれると思う」と、期待を寄せていました。

さらに葛西さんは「新型コロナのワクチン接種を効率的に行いたい」という自治体からの声を受けて、新たなシステムを開発しました。

ワクチン接種を受ける人全員に、受付でQRコードを発行。問診や接種、次回予約などの各段階でタブレット端末を使ってコードを読み取り、「誰が」「どの段階にいるか」を記録します。接種の状況や混雑具合が一元的に把握できるといいます。

人手や予算に限りがある中でもスムーズに接種できるように開発したということで、大規模な接種会場の設置を検討する全国の自治体や、職域接種を行う予定の企業などに売り込んでいきたいと考えています。

葛西さんは「いろいろなものがデジタル化された時に、業務の生産性を上げて人手を減らすことが、これから自治体には必要になってくる。地方にいたほうがDX(デジタルトランスフォーメーション)をつくりやすい」と話しました。

デジタルサービスの開発は場所を選びません。地方のニーズを吸い上げたサービスがこれからも生まれることを期待したいと思います。

(青森局 記者 吉永智哉)

【2021年6月15日放送】

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