卵の殻 “廃棄物”がよみがえる?

NHK
2022年3月30日 午後0:48 公開

家庭や工場から出る「卵の殻」は年間26万トンにも上り、大半はゴミとして捨てられています。これをうまく再利用できないか、企業が動き始めています。

卵の殻から子ども用いす 不要なら砕いて元の素材に

3Dプリンターで成型された、子ども用のいす。素材は卵の殻と樹脂を混ぜたもので、70%が卵の殻です。卵の殻のカルシウムによって陶器のような肌触りになるといいます。

いすを開発した東京のデザイン会社「NOD」は、環境に配慮したものづくりができないかと模索する中で卵の殻に目を付けました。

この素材でできた家具は、使わなくなったあと細かく砕けば元の素材に戻すことができるといいます。

溝端友輔CEOは「自分が出した身近なゴミとか、使いきれていないものを素材に戻して、新しい製造の仕方とかモノの買い方の選択肢ができればいい」と話します。

卵殻膜からできた糸 抗菌効果など期待

卵の殻が持つ特長を生かした再利用も進んでいます。

卵などから健康食品や医薬品を開発している京都市の会社「ファーマフーズ」は、卵の殻の内側についている「卵殻膜」に注目しました。卵殻膜は卵の中身を細菌などから守る役割を担っています。

この会社では、溶かした卵殻膜を繊維の原料に混ぜて「」をつくることに成功しました。この糸から作った下着や靴下などには抗菌や消臭の効果が期待できるということです。

会社では商品化に向けて繊維を扱う商社と協力し、商品のラインナップを増やそうとしています。打ち合わせで繊維商社の大川圭二部長は「ルームウエアだったり、あとは当然肌着」と提案しました。

持続可能な社会を目指すSDGsへの関心が高まる中、地元の銀行もこの会社を評価し、15億円の融資を決めました。

滋賀銀行ESGファイナンス戦略チームの古和田達也主任は「SDGsに取り組んでいることは企業の長期的な成長をはかるうえで重要な指標になっている」としています。

会社では卵の殻から作られる糸を年内にも発売したいと考えています。

品質管理・品質保証部の古賀啓太部長は「お客様からも環境配慮という声を非常に多くいただくし、そういったものを提供できること自身が企業にとって強みにもなる。(SDGsは)取り組まねばならない課題だ」と話しています。

コストが課題に

ただ、課題になるのがコストです。卵の殻でできたいすは現状では5万~10万円。糸も通常のものの数倍の価格になるそうです。コスト削減に向け今後の頑張りに期待したいと思います。

(大津局 記者 光成壮)

【2022年3月30日放送】

この記事は動画でもご覧いただけます(ココをクリック)

あわせて読む

服から服へ “完全循環”への挑戦

焼却処分されてきたエアバッグの素材をファッションに

自治体×企業 めざせゴミゼロ

長く着続けられるファッション